インタビューココだけ | ガールズ&パンツァー 最終章

『ガールズ&パンツァー 劇場版』の舞台でお馴染み、温泉施設の若き支配人 小俣和大 [大洗町回覧板 こちらガルパン出張所]

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『ガールズ&パンツァー』の舞台・大洗で、より作品を身近に感じている方々に、作品と出会ったきっかけやエピソード、作品への思いなどを聞いていく『大洗町めぐり~大洗の今、そしてこれから~』。第7回は潮騒の湯 支配人 小俣和大さんにお話を伺いました。

『ガルパン』って王道でありながら捻った部分もあって、その絶妙なバランスが見た人を惹き付けるのだと思います。

──まずは「潮騒の湯」のPRをお願いします。

眼前に広がる太平洋を見ながら天然温泉に入り、お食事やご宴会などを楽しんでいただける施設です。ゆったりした空気の中でゴロゴロしていただき、あまりセカセカしない田舎の良さが味わえる場所となっております。

──ここで使われている「太古の化石海水」とはどのような温泉なのでしょう?

「塩化物強塩泉」と呼ばれるナトリウム素温泉です。地中深くに溜まった数千年前の海水が、地熱で温められたものを温泉として引き出しています。山の硫黄系温泉よりも塩分が濃いので、保温効果が高いのが特徴です。

▲大洗サンビーチ入口の側にある「潮騒の湯」。
小俣氏の紹介にあるように大洗海岸が一望できる展望露天風呂が名物で、ジェットバスやサウナなどの各種浴槽も完備。また『ガルパン』をテーマにしたコースや黒森峰グッズの販売もある。大洗駅から離れているため、タクシーか有料送迎の利用がお勧め。

──では『ガールズ&パンツァー』という作品に関わられた経緯をお聞かせください。

2012年の9月頃、以前から顔見知りだった常盤良彦さんが、才谷屋龍一さんが描く『ガールズ&パンツァー』のコミック第1巻を持ってきました。そして「大洗が出るので、これ読んどいて。そして飾っておいて」と告げて颯爽と去って行ったんです。ところが第1巻を読んでも大洗は名前しか出てこなくて、「何だったんだろう?」と思ったのが『ガルパン』との最初の出会いでした。そうしたら11月の「あんこう祭」で『ガルパン』がフィーバーしている事を聞いたんですよ。そこから気になり出し、ようやくアニメを観始めました。

──作品からはどのような印象を受けましたか?

最初は女子高生と戦車の組み合わせにピンと来ませんでしたが、第1話を観たら意外とすんなり理解できたんですよ。ストーリーも入りやすく違和感もなかったです。見始めたタイミングこそ遅かったですが、もう何回も観ています(笑)。

──大洗の風景が描かれた第4話をご覧になった感想はいかがでした?

街並みが忠実に再現されていましたね。それまで大洗ってアニメとは無縁の町だと思っていたので驚きました。肴屋本店さんの前は自分の通勤路なので、そこが描かれたシーンはものすごい衝撃を受けました。

──好きなチームはどこでしょう?

黒森峰女学園です。テレビでは最強のライバルチームでしたが、映画では最も頼もしい味方になってくれるのが良かったです。『ドラゴンボール』で言えばベジータのようなポジションですね(笑)。

──施設内に設置された戦車パネルがマウスですが、これは小俣さんのリクエストだったのでしょうか?

特にリクエストしたわけではありませんが、常盤さんとお会いする度に「マウス、カッコイイですね」と言ってたんですよ。常盤さんからは「商店街よりもサイズの大きい施設なのでマウスにした」とお聞きしていますが、そこは忖度してくれたのだと思っています(笑)。黒森峰好きとしては嬉しかったですね。

──お好きな戦車はやはりドイツ系ですか?

一番好きなのはティーガーですが、マウスも好きです。存在を知ったのは『ガルパン』を通じてですが、それから興味を持つようになりました。史実ではほとんど動かなかった失敗作だそうで、もし動いたらあんな化け物みたいな戦車になるんですね。そんな幻の戦車の活躍を見せてくれるのが『ガルパン』の魅力の一つだと思います。

──お好きなエピソードは何でしょう?

実はイベント用のクイズを作っていて、それもあって印象的な話はいくつもあるんですよ。その中から絞るとなると『劇場版』ですね。大学選抜チームとの最終決戦で西住姉妹の戦車だけが残ったので、最後はまほが妹を庇うと思うじゃないですか。そんな自分の予想とは逆に、みほが犠牲になってまほが敵を倒したので驚きました。あの予想外の展開がすごく気に入っています。

──その『劇場版』に潮騒の湯が登場した経緯をお聞かせください。

劇場公開の1年ほど前に「ロケハンさせてください」とお話をいただき、その時に映画の中で描かれる事を知りました。そうなった経緯自体は分かりませんが、以前からプロデューサーの杉山潔さんには何度もお会いしているので、杉山さんからご提案があったのだと思っています。

──劇中で描かれたのは女湯なので我々は入る事ができませんが、イベントでは男性客にも開放されるそうですね。

大洗町には「あんこう祭」と「海楽フェスタ」という2大祭があって、それらの開催日は町内の宿泊施設がすべて埋まってしまうんですよ。その状況を知った杉山さんからの依頼で、二大祭の開催日は宿のない観光客のために施設をシェルターのように解放する事になりました。この期間中は宴会場を含めてすべての施設を開放するので、寝たい時はお好きな場所で雑魚寝していただいています。そして、この日に関してはお客さんの男女比が9:1なので、女湯として使っている浴室を入れ替え制にさせていただいているんですよ。これにより映画に出た場所を大勢の方に見学していただけるようになりました。申し訳ありませんが浴室内は撮影禁止となっていて、その代わり心にしっかり焼き付けていただいてます。

▲『劇場版』のエキシビションマッチ後に登場したジェットバイブラ風呂のシーン。▼実際のジェットバイブラ風呂。劇中に登場したのはもちろん女湯だが、「あんこう祭」と「海楽フェスタ」開催時は男性も入る事が可能。

──『劇場版』がTV放送された時、ツイッターで実況されていたのは小俣さんですか?

実況していたのは、当館のガルパンファンのスタッフです。まさかの全カットで驚きました(笑)。あの日は大広間のテレビ前にお客さんに集まっていただき、「もうすぐここが映りますよ」と盛り上げていたんですよ。ところが「あれ? 出てこない」で解散になり、お客様に慰めてもらっていました(笑)。まぁストーリーに深く絡まないシーンですし、尺の都合でカットされるのは仕方ないですよね。結果的には話題になって良かったです(笑)。

──施設を訪れる客層の変化はありますか?

『ガルパン』ファンらしき方が訪れるようになったのは2013年の「海楽フェスタ」あたりからです。そして、その年の7月にコラボ企画のタオルを初めて販売させていただいたのですが、その時に大勢のお客様に来ていただいたのが印象的でした。それからファンの方に何度も来ていただくようになりました。

──『劇場版』の影響は大きかったのではないでしょうか?

もちろんです。『劇場版』公開後は従来の倍以上のファンのお客様が来られるようになりました。本当にありがたい事です。皆さん、施設の正面やゲームセンターを撮影していかれますね。女湯は男湯と似たような構造なので「それなら良いか」と納得してくださる方も多いです(笑)。

──他に客層の違いは何か感じられましたか?

それまでは30代以上の方が多かったのですが、『劇場版』公開後は高校生や大学生などの若い方が増えました。それはウチを訪れるお客様やイベント会場を見ていて感じました。でも、やはり中心は30~50代の方々、その次が20代前後の方々と、お客様は増えても客層の配分は変わっていません。

──ガルパンファンの印象はいかがでしょう?

温泉施設という性質上、お客様の中にはお行儀の悪い方もいらっしゃるのですが、『ガルパン』ファンにそのような方はいらっしゃらないんですよ。我々が対応しなくても列を乱さず並んでくださるし、本当にマナーの良い方ばかりです。

──そう言えば『ガルパン』が縁で大洗に移住した方が、ここに勤務していらっしゃるとお聞きしましたが。

そうなんです。現在2名のスタッフがウチで働いています。そのうち1人はもともと茨城在住でしたが、もう1人は富山県からはるばる移住してきたんですよ。杉山さんがいらっしゃるとスターを見るような目になり、「杉山さんがいらっしゃいました!」と報告してくれます(笑)。

──『ガルパン』が長きにわたり愛される理由は何だと思いますか?

やはり作品自体が面白いからだと思います。上手く言えませんが、『ガルパン』って良い意味での王道で、それでいて捻った部分もあるんですよ。先ほどお話しした『劇場版』のクライマックスと同じですね。その絶妙なバランスが見た人を惹き付けるのだと思います。

──大洗を訪れるファンが今も絶えないのはなぜだと思いますか?

それは大洗で仕事をする私達にとって永遠のテーマですが、おそらくは昭和を思わせるような古い街並みと、おっちゃん、おばちゃんの気取らない空気が良いのかも知れません。それがファンがイメージする『ガルパン』の世界観そのままなんだと思います。こういうのって町があまり出しゃばるとダメなんですよ。作品のイメージを壊しかねません。ファンの方々が大洗を訪れる入口はあくまでも『ガルパン』ですからね。ですから商店街に関してもキーマンがバランスを考え、ファンを幻滅させないようなイベントを考えています。

──潮騒の湯として今後は何か企画されていますか?

先ほどお話ししたシェルター企画は今年の「あんこう祭」でもやる予定です。もう恒例になっていますからね。最初に始めたのは2014年の「海楽フェスタ」の時でしたが、その時はお客さんがどれだけ来るのか未知数だったので、杉山さんと廣済堂出版の武田頼政さん、軍事研究家の吉川和篤先生にトークショーをしていただいたんです。そうしたら施設内に入りきれないほどお客様がいらしたんですよ。それを毎回やると他の宿泊施設を利用する方に申し訳ないので、今はトークショーなしのシェルター企画だけを続けさせていただいています。あと『ガルパン』以外では元旦だけのサービスとして、大広間で初日の出が見られるよう朝6時から営業しています。実際に日が昇るのは6時40分頃ですが、大広間で眺める初日の出は格別ですので、ぜひお越しください。

──最後に次の方をご紹介願えますでしょうか。

私と一緒にイベント用のクイズを考えている、大洗ホテルの島根隆幸さんにバトンを渡そうと思います。お互いに牽制し合ってつい難易度の高い問題を考えてしまい、それで回答者ゼロという酷い結果になった事もあるんですよ。そこで今は簡単な問題も入れるようにして調整し合っています。島根さんには「今後ともマニアックすぎない問題をお願いします」とお伝えください。

PROFILE

小俣和大(こまた・かずひろ)
1983年2月11日生まれ。水戸生まれの大洗育ちで、現在も大洗に住んでいる。2010年に潮騒の湯に入社し、(本人曰く)たまたま支配人に就任。調理部やメンテナンス部などのリーダーと連携をとり、施設全体を管理する多忙な日々を送っている。『ドラゴンボール』と『新世紀エヴァンゲリオン』のド真ん中世代で、好きなアニメは『ワンピース』などの少年ジャンプ系作品。

<Blu-ray&DVD情報>


ガールズ&パンツァー TV&OVA 5.1ch Blu-ray Disc BOX
2018年12月21日(金)発売!

<上映情報>
ガールズ&パンツァー 最終章 第2話
2019年6月劇場上映予定!

ガールズ&パンツァー 最終章 公式サイト

大洗町回覧板 こちらガルパン出張所

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