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新たな“ニュータイプ”の物語を描いた意欲作が初Blu-ray化!『機動新世紀ガンダムX Blu-rayメモリアルボックス』光岡湧太郎インタビュー

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月と荒野を舞台に描く少年と少女の成長譚! 1996年のTV放送から20年以上の時を経て、『機動新世紀ガンダムX』が、TVシリーズ全39話に加え、貴重な映像や資料などを1BOXに凝縮したBlu-rayメモリアルボックスとして2018年3月23日発売! そこで今回は、本作でナレーションやD.O.M.E役を担当した光岡湧太郎さんを直撃。当時の収録秘話などを伺ったスペシャルインタビューの模様をお届けする!

『ガンダムX』は「破壊と再生の物語」

──本日(2017年11月某日)は、3月23日発売の『機動新世紀ガンダムX Blu-rayメモリアルボックス』の特典としてオーディオコメンタリーを収録されていましたが、何話をご覧になったのでしょうか?

光岡第38話ですね。主役のお二人(ガロード役の高木渉さんとティファ役のかないみかさん)と3人で。D.O.M.Eが登場する回ですね。

──オーディオコメンタリーはいかがでしたか?

光岡僕は初めてだったので緊張しました。でも、お二人は慣れていらっしゃったので、うまくリードしてくださって、途中からは楽しくやらせていただけました。

左から高木渉さん、光岡湧太郎さん、かないみかさん

──『ガンダムX』でナレーションをされていた頃はおいくつだったのでしょうか?

光岡36歳の時です。20代前半から30代後半まで、劇団青年座に所属しておりました。そこで知りあった後輩が作ったカンパニーでの外部公演に、27歳くらいから、今はもうないのですが、新宿シアタートップスという小劇場で定期的に出演しておりました。すぐ隣には紀伊国屋ホールがありました。いつの日か自分達の座組で紀伊国屋の舞台に立つ、当時演劇を志す若者の目標にもなっておりました。そういう時代でした。そこをメインとしての舞台活動が6、7年続き、自分の中で方向性が変わってきたというか、混沌としていた時期に『ガンダムX』のオーディションのお話を頂いたと記憶しております。

──ナレーションのお仕事は『ガンダムX』が初めてだったのでしょうか?

光岡コマーシャルといった短いナレーションはやらせていただいていたのですが、アニメのレギュラーや、ドキュメンタリーの長尺ものは担当したことはなかったですね。

──光岡さんの語りは、優しさというか穏やかさがあって、歴代のガンダム作品とはまた違った趣があると思います。

光岡そう言っていただけると恐縮してしまいますが(笑)、技術のつたなさに自分で落ち込むこともあるんです。けどナレーションを聞いてくださった方から「他の人と違うんだよね」とか「前の仕事のあの感じがいいんだよ」と、新しい仕事に呼んでいただくこともあって。そういったことが続いて今まで来たような感じですね。

──ナレーションに関して、高松信司監督や音響監督から何かオーダーはあったのでしょうか?

光岡オーディションでも本番でも、具体的なご要望をいただいたことはなかったかと思います。ちょっと鼓舞するような調子はありつつ、自由にやらせていただいたような気がします。ただ、アフレコ収録は『ガンダムX』が初めてで、自分の番が来たらマイクの前に移動するといった段取りが最初はわからなかったんですよ。かないさんとは以前から知り合いだったので、僕が出番を忘れていたら背中を押して合図をしてもらったり、スタンディングではマイクがどこまでの音を拾うのか、そういう細かいところをいろいろと教えてもらいました。

──ナレーションは、芝居とはまた違ったコツやスキルが必要とされると思うのですが、そういったことはどのように学ばれたのでしょうか?

光岡青年座にはすばらしい先輩方が多くいらっしゃって、直接の指導やアドバイスという形ではなかったのですが、先輩方の作品を見ることが学びになっていましたね。例えばモノローグだったら、語りがそのまま世界観を表現しているともいえますが、その語り方ではなくて世界観を作ることが大切なんだと。言葉を粒立てたり、活舌をよくすることを最初に考えるのではなくて、世界観に目を向けることがすごく大切なんだと。先輩たちの演技を見ていくうちにそういったことに気づくことができたんです。監督やスタッフの方から具体的なオーダーをいただければ、もちろんそれを汲み取っての仕上がりにしていますが、最初のテストでは自分なりに解釈した世界観を大切にしています。

──ナレーションでは冒頭のほかに次回予告も担当されていました。具体的なイメージや指示などは収録であったのでしょうか?

光岡元気よくとは言われたかもしれませんね。ハイティーンのファンもご覧になっていたとは思いますが、メインのターゲットは子供でしたから、情緒的というよりも元気よくいこうと。自分なりのカラーを出そうと思った気がします。

──次回予告はエンディングの中に含まれていて、曲とともに次回のシーンと光岡さんのナレーションが入り、次回でキーになるセリフで締めるというフローが印象に残っています。

光岡DVDメモリアルボックスの特典として次回予告集が収録されているのですが、そちらでは最後のセリフも僕が担当したバージョンを収録したんです。「不愉快だわ…」という女性(サラ)のセリフもあって、ちょっと恥ずかしかったですね(笑)。

──印象に残っている話はありますか?

光岡オープニングとラストシーンですね。英字タイトルから始まってナレーションが終わると、カッコいいオープニング曲と映像が流れるのが印象的でしたね。ほかのガンダムシリーズにも通じるところがありますが、『ガンダムX』は“破壊と再生の物語”が絶妙なバランスで語られているんです。オーディオコメンタリーでも「混沌の先には必ず再生があって、そこを目指して進もうとする若者たちを描いている、素敵な作品だね」と高木さんとかないさんとで話していたんです。

──『ガンダムX』は宇宙世紀の『ガンダム』以外で初めて〈ニュータイプ〉を扱った作品でもあって、いろんなメッセージを込められていたようですね。

光岡最終話はD.O.M.Eが強引に導くのではなく、道を指し示す存在で、人々はそれぞれの思いで再生への道を探っていくラストが印象深かったですね。そこも皆さんに見ていただきたいところですね。

D.O.M.Eは誰にでも当てはまるような、普遍的な存在

──D.O.M.Eの声も光岡さんが担当されていました。役のオファーがあったのはいつごろだったのでしょうか?

光岡中盤くらいになって、音響監督の浦上靖夫さんから直接お話がありました。終盤の展開を説明されて、「ラストに登場するD.O.M.Eをやってほしい」ということでした。D.O.M.Eについては、浦上さんから判で押したような具体例は挙げられてなかった気がします。託されるというか「自分で考えてみな」と言われていたと思います。それから自分なりに考えてみて、この作品は最初のニュータイプであるD.O.M.Eの目線で語られていて、その神様みたいな存在が最後に登場してガロードたちと会話をする、という流れになるのかなと理解しましたね。

──D.O.M.Eは意識だけの存在で、とらえどころのない役だったと思います。

光岡D.O.M.Eは普遍的というとおかしいかも知れませんが、誰にでも当てはまるような役だと思いました。上から目線ではなくて自然体でサラリと語ったほうが、メッセージを受け取る人も逆に鮮明になるんじゃないかと、そういう語りを収録では心がけていたように思います。すごく重要で大変な役ではあったのですが、D.O.M.Eは光る球体だったので、口パクを合わせなくてよかったのは助かりました(笑)。

──振り返ってみて、光岡さんにとって『ガンダムX』はどんな作品でしたか?

光岡僕は今年57歳で『マジンガーZ』や『オバケのQ太郎』『パーマン』、手塚治虫作品に魅せられた世代なんです。ガンダムの世代からは外れていたのですが、若い人たちに「『ガンダムX』をやったんだよ」と言うとリアクションがすごいんです(笑)。その反応に改めて素晴らしい作品に参加していたんだなと感じますね。

──最後にファンの方々へメッセージをお願いします。

光岡何でもそうだと思うんですけど、ものづくりにはそのチームの雰囲気が重要で、『ガンダムX』は本当にチームワークがよかったですね。堀内賢雄先輩がリーダーで良い雰囲気を作ってくださり、キャストの皆さんは、いつも話し合いながら演じられていました。今でも、大活躍のウィッツ役の中井和哉さん、サラ役のかかずゆみさんはデビューして間もない頃でありましたが、当時から、技術はもちろんの事、表現力が豊かだなと、感心しておりました、というか、尊敬しておりました。才能豊かなキャスト、スタッフの方々の中でお仕事させて頂いた事は私の誇りであります。ファンの皆さんには、最新技術で甦った『ガンダムX』をBlu-rayでもう 一度体験していただけたら嬉しいですね。樋口康雄さんの音楽も素晴らしいですし、全体を通して見ていただけると、新しい発見もあって楽しんでいただけると思います。

PROFILE

光岡湧太郎(みつおかゆうたろう)
岡山県出身。俳優、ナレーター、声優。ヘリンボーン所属。多くの舞台やTVドラマ、映画に出演し、存在感のある芝居には定評があるだけでなく、ナレーションでも高い評価を得ている。2017年に語りを担当した「BS1スペシャル 原爆救護 〜被爆した兵士の歳月〜」がATP賞(全日本テレビ番組製作社連盟)でグランプリを受賞。

<Blu-ray発売情報>
メカ・石垣純哉(新規描き下ろし原画)、キャラ・西村誠芳(※アーカイブ原画)、
彩色・ときた洸一による特製収納ボックス
※『機動新世紀ガンダムX』VC・LD全巻購入特典収納ボックス用イラスト(1997年)


機動新世紀ガンダムX Blu-rayメモリアルボックス
2018年3月23日発売(2019年3月22日までの期間限定生産)

商品詳細・オーディオコメンタリー記事へのリンクはこちら

機動新世紀ガンダムX 公式サイト

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