インタビューココだけ | 機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER

ニュータイプを撃て!『機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER』中村悠一×木村良平スペシャル対談

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

有料配信で大ヒットを記録したガンダムシリーズ最新作に新作シーンを加えた特別編『機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER』が、2017年11月18日(土)より全国15館にて2週間限定で劇場上映される! そこで今回は、イオ・フレミング役の中村悠一さんとダリル・ローレンツ役の木村良平さんを直撃し、劇場上映を間近に控えた現在の心境から作品の魅力など、様々な話を伺ったスペシャル対談の模様をお届けする。

『サンダーボルト』独自の世界観が新機軸を打ち出す

──『機動戦士ガンダム サンダーボルト』第2シーズンの『BANDIT FLOWER』が劇場上映となりました。まずはお二人の現在の心境を教えてください。

中村『BANDIT FLOWER』が劇場上映できたのは、『DECEMBER SKY』を観てくださった方々の反応が想像を超えて良かったからであろうと思いますし、支持していただけたのが素直に嬉しいというのが感想ですね。

木村『BANDIT FLOWER』を劇場で上映できるというのは嬉しいですよね。劇場で観ると、魅力がより増す部分も多いかと思います。この機会をぜひ皆さんには楽しんでいただけたらと思います。

──数あるガンダム作品の中で『サンダーボルト』がファンから支持を受ける魅力はどこにあると思いますか?

木村ガンダム初心者の僕でも作品世界に浸ることができますし、人間ドラマや各勢力の関係性は『サンダーボルト』独自のものだったりするので、女性も含めいろんな方々に気兼ねなく「観にきてください!」とお勧めできる作品になっていると思いますね。

中村漫画原作の太田垣康男先生とお話をする機会があったんです。この作品を作っている方はガンダムが好きで、観ていた側からクリエイターになって、自分が観ていたものから刺激を受けて“理想形”としてこの作品を作ったんだろうなと、僕自身が感じていたことをぶつけてみたら、「そんな感じです」とおっしゃっていました(笑)。でも、これだけ長く続いているシリーズだと、送り手が思う“ガンダム”とお客さんが好きな“ガンダム”が必ずしも同じ方向を向いているとは限らないんですよね。僕自身もそうなんですけど、これは“ガンダム”っぽくないなとか、これは“ガンダム”っぽいとか、自分のガンダム像を基準に判断してしまうんですよ。ガンダムに対する固定概念があって、例えばガンダムがプロレスをする『機動武闘伝Gガンダム』は放送当時には反発もあった。でも、『Gガンダム』はガンダム世界に新しい基軸を生みだして、今は広く認知されていますよね。『サンダーボルト』も新機軸を打ち出した、『ガンダム』の進化した形のひとつだなと僕は感じたんです。太田垣先生もそういう思いを作品に込められた部分はあるみたいで、それにプラスして“音楽”がアニメならではの要素として加わって『サンダーボルト』の魅力になっているのかなと感じます。

新しい仲間を得たイオと、苦境が続くダリル

──第2シーズンのイオをご覧になった感想をお聞かせください。

イオ・フレミング役の中村悠一さん

中村『BANDIT FLOWER』のイオは、前作の『DECEMBER SKY』とは戦う目的が違う気がしています。前作ではダリルという好敵手を見つけて、最新のフルアーマー・ガンダムで潰すのが目的だった。達成したいことが自分の中にはっきりと存在していたんですけど、今回は最後までダリルと再会しないですし、そもそもダリルが生きているのか死んでいるのか、宿敵の存在を意識しているのかも感じさせないまま物語は進んでいくんです。それよりも死んだと思っていたクローディアが南洋同盟の仲間になっていたことが、イオにとっては衝撃で、その理由を知りたい。その点で彼の行動原理はまったく違うと感じましたね。

 

──『BANDIT FLOWER』の収録で心がけた点はどこでしょうか?

中村今回のイオは、露骨に誰かと戦いたいというアグレッシブさは最初のほうだと見受けられないので、そこのアプローチは前作とは違うかなとは思いますね。それに前回と全く異なるのは、今回は“仲間”がいるんですよね、戦場に。前回は拠点のビーハイヴに相棒のコーネリアスやクローディアがいただけで、戦場では一匹狼だった。今回はビアンカをはじめとする新しい仲間がいて、その違いは意識しています。ビアンカとのセッションや日常的なシーンは前作ではなかったもので、イオが表情を緩めているカットもあって印象に残っていますね。

──イオのやわらかな部分を感じたと?

中村年相応というか、若者同士の会話のやり取りを意識しています。前回はずっと殺伐としたセリフしか言っていなかったですけど(笑)、そこがやっぱり違うかなとは思いますね。

──対するダリルをご覧になっての木村さんの感想はいかがでしょう?

ダリル・ローレンツ役の木村良平さん

木村そういう意味ではダリルの状況はイオとは逆かもしれないですね。ずっと何かを背負って、抑圧された状態が続いている。記憶は退行しているけど幸せそうに笑うカーラ先生を見守っていたいのか、目を背けたいのか、本心はわからない。一方で彼には隊長としてやるべき任務があって、それが恐らくカーラのためにもなると信じている。連邦のガンダムを倒した英雄みたいな扱いで慕われつつ、部下の中にはヤンチャなヤツもいて、大変ですよね(笑)。しかもサイコ・ザクはない。でも余計なことを考えないで任務に没頭できるのは、今の彼にとってはひょっとしたら救いなのかも知れませんね。

 

──ダリルを演じるうえで、心がけたところはありますか?

木村シナリオを読ませていただいたうえで、そこから僕が感じた今回のダリルを演じようと思いました。

プレスコはアクションシーンには不向き?

──『サンダーボルト』の収録はプレスコ方式でしたが、アフレコ方式との違いがあるのでしょうか?

中村完全なプレスコ方式だと、絵も何もない状態で音声だけを収録していくのかも知れませんが、『サンダーボルト』は絵コンテを見ながら収録したんです。絵コンテがあることで、僕的にはセリフの間や尺、ここをもうちょっとテンションを上げたいとか、そういう細かな調整ができたのはやりやすかったと思います。難しいのはアクションシーンで、完成形がないのでどの程度の動作なのかがわからない。かといって役者に完全に任されているわけでもないですから、そのさじ加減は松尾(衡)監督と相談しながら他の役者さんたちも収録していましたね。僕が覚えているのはクローディアを見つけたときのシーンで、イオが駆け出していく描写がわからなくて。収録中の画面は階段を降りるイオの絵で止まった状態なんです。駆け降りるだけだと思っていたら、監督からは「途中で階段を飛び降りるから、その踏み出しと着地の息を足してほしい」というオーダーがあって、そこはプレスコでは難しいですね。

木村感情のこもった会話だとナチュラルに、気持ちを入れて演じさせてもらえるので原作漫画は手放せないですね。画面に映るのはあくまで絵コンテなので、原作漫画から少しでもキャラクターの心情や雰囲気を読み取るようにしています。松尾監督とも前作と今作を通して信頼関係を築けているので、安心して演じられますね。

──松尾監督から役柄について何かアドバイスはあったのでしょうか?

木村最初に収録した際に、若い感じで演じてほしいとおっしゃっていました。僕がダリルの絵から受けていた印象よりも監督のイメージは若かったのを覚えています。

中村松尾監督は、演出が細かいようで細かくない、不思議な方なんですよね。「ここの戦闘はもっと加速のGが掛かってるような感じで」とか、細かいオーダーはあるんですが、ダメ出しが少ない。キャラクターの造形も最初に決めて説明したら、あとは役者の中で消化して表現していってください、という方針だと思うんです。

何気ない会話にキャラクターの心情が投影されている

──印象に残っている掛け合いはありますか?

木村僕はビアンカ役の古川由利奈さんが、中村さんの演技にくらいついているのが見ていて楽しかったですね。

中村僕もそうですね。今回のイオはビアンカとの掛け合いがいちばん多いですから。ビアンカとの戦闘や日常の会話は観ていて面白かったですね。イオもビアンカも若いですけど、一年戦争の激戦を生き残ったパイロットで、経験値も高いはずなんです。出撃前にジャズの話で盛り上がって、生き残ったらセッションをやろうというやり取りに緊張感がないのは、歴戦の兵士ならではの余裕なんでしょうね。そのあたりが個人的に演じて面白いというか、いいシーンだなと思いましたね。

木村ピクニックから帰ってきて、カーラ先生を上司に引き渡した後、若い兵士がダリルをねぎらいつつハキハキと語りかけるんですが、ダリルは「理解しています。大丈夫です…」とあえて遮ってしまうシーンです。そこが印象に残っていて、すごく違和感を感じました。『BANDIT FLOWER』のダリルを象徴しているようなシーンであり、今回のダリルを演じる入口になった気がしますね。本音を吐き出してしまいたいけれど、思うようにできない。

アッガイダンスと、イオの本質が見える追加カットに注目!

──『BANDIT FLOWER』の好きなシーンを教えてください。

木村断然“アッガイダンス”です。アッガイ部隊が水中のユーコン級潜水艦から出撃するときに、挿入歌の軽快なリズムに合わせてモノアイが踊るんですよ! モノアイの動作を確認するためかもしれませんけど、あれは“アッガイダンス”ですね(笑)。カーラ先生とのピクニックのシーンもそうですが、ダリルサイドでも前作から音楽とシナリオがよりリンクしていて、すごく嬉しいですね。イオサイドとの対比にもなっているので、ダリルサイドでも、演奏シーンがあるといいですね。

中村第2シーズンのWEB配信から『BANDIT FLOWER』として編集するにあたって、追加された新作カットがあるんです。今回のイオは、前作と比べて割とおとなしかったなと思っていたんですよ。前回は言葉も汚くて、今の社会で使ったら即、アウトですよ(笑)。僕はマイクの前で心を痛めながら演じていました(笑)。今回は敵に激しい執着もなくて、任務として戦っているように感じていたんです。でも追加シーンはイオの本質的な部分が垣間見えるようになっています。松尾監督もイオの底意地の悪さを出したかったみたいですし、イオに前作の勢いがなくなっていると思われている方には、劇場版を見ていただけると楽しめるのかなと思います。あとは、アッガイのデザインが面白いですよね。アッガイのオリジナルデザインは『ファーストガンダム』ですでに完成されていて、35年以上も愛されてきたモビルスーツ(MS)なんです。『サンダーボルト』ではアッガイに新たなテイストでアレンジを加えていて、そのアレンジの仕方が非常に面白い。アッガイってこんなに汎用性が高くなるんだと(笑)。本来のアッガイは水陸両用で、汎用性をオミットしたMSのはずなのに、汎用性を与えているのが個人的に面白くて。任務の内容がそれぞれ違うからオプションパーツもバラバラで、そこも興味深いですね。

もしイオとダリルが再会したら?

──『BANDIT FLOWER』ではイオとダリルの直接対決はありませんでしたが、もし2人が再会したら、どうなるんでしょうか?

中村もし再び相まみえて、イオがアトラスガンダムに乗っていたらダリルはおしまいですよね。乗っている機体が違いすぎるので(笑)。

木村めっちゃかわいいんだぞ、アッガイ(笑)。

中村地上での戦いぶりを見ていると、イオはだんだん重力下での戦いに慣れて、それを生かした戦法をとっていますよね。対するダリルはサイコ・ザクを失ったままで、不慣れな義手でMSを乗りこなすのが大変で、相当ハンデのある状態で戦っている。

木村そもそもダリルは狙撃兵ですしね。

──ダリルがサイコ・ザクを取り戻したら負けないですよね。でもサイコ・ザクは宇宙仕様だから地上では戦えない?

木村地上でも戦えるサイコ・ザクを希望します! ダリルがサイコ・ザクに乗ったときの解放感というか、無双ぶりがいいですよね。

中村『BANDIT FLOWER』のラストで、レヴァン・フウという南洋同盟の親玉が登場してきますよね。レヴァン・フウは、どうやらイオとダリル共通の敵になりそうなので、2人が鉢合わせしたからといって戦うかどうかは、まだわからないですけどね。

──最後にメッセージをお願いします。

中村第1シーズンの『DECEMBER SKY』はひとつの区切りではありましたが、皆さんに応援していただいたおかげで第2シーズンの『BANDIT FLOWER』に突入することができました。『BANDIT FLOWER』はあえて“歯切れの悪い”終わり方に仕組んでありますから(笑)、続きが観たくなると思います。引き続き応援していただいて、第3、第4シーズンと漫画原作が続く限り、アニメも継続していけるのが理想形だと思います。ガンダムファンの力が試されるときなので(笑)、宜しくお願いします!

木村皆さんのおかげで第2シーズンを作ることができて、追加カットとともに『BANDIT FLOWER』として劇場で上映することができました。ぜひその贅沢な空間を楽しんで、「面白かったよ!」とお友達にも勧めてもらって、次につなげていけたらと思います。宜しくお願いします。

PROFILE

中村悠一(なかむらゆういち)
2月20日生まれ、香川県出身。シグマ・セブン所属。主な出演作に『おそ松さん』松野カラ松役、『マクロスF』早乙女アルト役、『機動戦士ガンダム00』グラハム・エーカー役、『おおきく振りかぶって』阿部隆也役など。

PROFILE

木村良平(きむらりょうへい)
7月30日生まれ、東京都出身。劇団ひまわり所属。主な出演作に『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』スレイ役、『黒子のバスケ』黄瀬涼太役、『マクロスΔ』キース・エアロ・ウィンダミア役、『活劇 刀剣乱舞』和泉守兼定役など。

<上映情報>

機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER
[同時上映]機動戦士ガンダム Twilight AXIS 赤き残影
2017年11月18日(土)より全国15館にて2週間限定劇場上映!
※上映劇場にてBlu-ray初回限定版「COMPLETE EDITION」の先行販売を実施!

<Blu-ray&DVD&4K ULTRA HD Blu-ray発売情報>

機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER
COMPLETE EDITION【BVC限定/初回限定生産】
2017年12月8日発売
Blu-ray:¥10,000(税込)


機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER
2017年12月8日発売
Blu-ray:¥7,000(税抜)
DVD:¥6,000(税抜)
4K ULTRA HD Blu-ray:¥9,000(税抜)

機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER
COMPLETE EDITION BVC特設サイト

機動戦士ガンダム サンダーボルト 公式サイト

AUTUMN0928

続きを読む

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

インタビュー

© Bandai Namco Filmworks Inc. All Rights Reserved.