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メインスタッフインタビュー第1回「谷口悟朗」全文掲載

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第1シリーズと「R2」を合わせた全50話を3本の映画に再構成し、全編新規アフレコ収録と新作カットを追加して、劇場3部作として新たに生まれ変わった『コードギアス 反逆のルルーシュ』。その第1部「興道」が、いよいよ10月21日(土)より全国79館にて劇場公開される! そこで今回は、サンライズで作業中の谷口悟朗監督を直撃し、プロジェクト誕生の経緯や制作の苦労など様々な話を伺った。

ファンの方に、きちんと自分の口から御礼を言いたいという想いがありました

──まずは劇場3部作での制作が決まった経緯についてお聞かせください。

谷口サンライズ主導でプロジェクトの展開をやって頂いていたのですが、なかなか軌道に乗らなかったんです。シリーズを展開させることが元々の趣旨でもありましたから、それだったらバンダイビジュアルの湯川(淳)プロデューサーと私と大河内(一楼)さん(シリーズ構成)がある程度乗り出してもいいのではないかと。そして、プロジェクトとして広げていこうと考えた場合、やはり最初のTVシリーズを一度まとめるべきではないかと思ったんです。というのも、10年経っているので、タイトルは知っていても観たことがない人や、当時まだ小さくて観ることができなかった人に対して、配信などがあるとはいえTVシリーズ全50話を観てくださいというのはちょっと酷ですしね…(笑)。それを3本くらいにまとめる形なら可能ではないかというところで3部作にさせてもらいました。最初は1本でまとめて欲しいと言われて情報を整理してみたんですけど、正直2本でも厳しいと伝えました。結局ダイジェストになってしまうんです。ダイジェストとしては既に「SPECIAL EDITION」が存在していますし、同じことをやっても意味がない。じゃあ、3本だったらどうだろうと。基本的に『コードギアス』は攻めるシリーズだと思っているので、この劇場3部作でどんどん展開させていこうというのが元々のスタートですね。

──劇場3部作の制作が決まり、シリーズ構成の大河内一楼さんとはどんな話をされましたか?

谷口『コードギアス』にはプロジェクト会議が定期的にあって、我々が立ち会っての会議も行っています。その関係で、劇場3部作の制作については大河内さんも当然同じタイミングで知っていました。今回の劇場3部作に関しては、脚本から作っていくと大混乱を起こしかねないと判断し、直接映像やコンテから作業したんです。内容に関する確認は、制作の途中途中で、メールベースでやり取りしていましたね。

──昨年11月に開催されたイベント「コードギアス 反逆のルルーシュ キセキのアニバーサリー」で電撃発表された訳ですが、多くのファンの前で発表することができたお気持ちは?

谷口あのイベントについては発表以上に、私としては、10年間応援して頂いているファンの方に対して、感謝の意を表すことの方が大きかったですね。『コードギアス』に関しては、今までほとんどファンの方の前に顔を出していなかったので、集まって頂いたファンの方に、きちんと自分の口から御礼を言いたいという想いがありました。一つの作品を10年も追い続けることが、どれだけ大変かを十分に理解しているつもりですから。まずはファンの方に御礼を言うことを最優先に考えていました。

夜中に何回か「あっ、そうか。あそこをこうすれば繋がるじゃん!」とか夢見て起きましたから(笑)

──第1シリーズの放送から約10年、こんなにも『コードギアス 反逆のルルーシュ』がファンに愛されている理由はどこにあると思いますか?

谷口もう、全く分かりません(笑)。多分、人それぞれ色々な楽しみ方があるんだろうなとしか言いようがなくて。それが具体的に特定の何かということではなくて、作品の空気感とかそういったものなのかもしれないですね。役者さんの芝居や音楽、そういうもの全てを引っ括(ひっくる)めてという感じがします。

──実際に作業が始まって、一番苦労されたのはどんなところですか? また、本作はとても情報量の多い作品だと思いますが、3部作にまとめる際に気をつけたことや意識されたことは?

谷口今も苦労しているんですよ、本当に(笑)。夜中に何回か「あっ、そうか。あそこをこうすれば繋がるじゃん!」とか夢見て起きましたから(笑)。実際にやり始めてみて、こんなに苦労するとは思わなかったですね。湯川プロデューサーからは「もう4部作にしますか?」という提案も頂いたのですが、やっぱり4部作だとTVシリーズ50話観てもらうのと同じくらいの負担をかけてしまうことになってしまうんです。シリーズの再起動をかけるプロジェクトの根っこになるものなので、私の方から、当初1本2時間以内にまとめてくれと言われていたものを、1本2時間20分くらいにさせて欲しいと頼みました。

──第1部「興道」は2時間15分くらいでしたね。

谷口やっぱりこのくらいの時間がないと伝えるべき情報が伝わらなくなってしまい、出来事の羅列になってしまうんです。そういう作り方がダメという訳ではなく、各作品のプロジェクトで要求されていることが違うし、ダイジェストの手法は本作には適さなかったんです。今回はどちらというと、ルルーシュが如何(いか)なる目標を立て、それに如何(いか)なる障害が立ちはだかって、それに対して彼はどうしていくのか…登場人物たちの心情面を描きたかったので、それを省略する訳にはいかないだろうと思ったんです。

──劇場3部作ではセリフは全て新録だとお伺いしましたが、アフレコの収録はいかがでしたか?

谷口みんな歳を取ったから「若くしろ、若くしろ」とは言いましたね(笑)。基本的には最初にプロジェクト全体の在り方とか捉え方など趣旨の説明をしました。その上で、こちらとしても別に10年前のモノマネをして欲しい訳ではないので、今なりの答えを出してくれということも伝えました。ルルーシュ役の福山(潤)くんはいきなりただのおじさんの声でやっていましたからね(笑)。なので、もうちょっと若くしようよとは言いました。多分、役者さんも役者さんなりにどの辺りの声のトーンを出したらいいか探っているんだと思います。当然ながら、人間なので年齢を重ねるにつれて低音の方が中心になっていきますから。それでも、良い意味で昔と変わってない場合もあれば、昔とは違うけどこれはこれでありという形になっていると思います。私としても、その方がいいだろうと思ったので、その形でやって頂きました。それから、TVシリーズの時とは情報やキャラクターの立ち位置が部分的に変わっているので、それに合わせて芝居の持っていき方がまるで変わっていたりもします。例えば、ルルーシュとC.C.の距離感がTVシリーズとは違うので、わざと変えてもらったところや、芝居の中で「なるほど、そうなったか」というところもあります。

ルルーシュは他人に対して心を開かないからこそ、他人の悪口や愚痴をあまり言わない

──本作はキャラクター人気がとても高い作品ですが、ルルーシュの魅力はどこにあると考えていますか?

谷口何でも一生懸命だからじゃないですかね(笑)。あんな風に生きていたら25歳くらいで疲れちゃいそうですよね(笑)。CLAMPさんにキャラクターデザインを発注した際にも最初にお伝えしたのが、ルルーシュに関しては「何年か経って、高校や大学の同窓会があっても呼ばれないような奴です」と。街角で偶然リヴァルに会って「なんで昨日来なかったんだよ」と言われてショックを受けながら、ルルーシュは「ちょっと色々あってさ。俺も忙しいんだよ」とか言うんです。適当にその場だけリヴァルと口を合わせて、「なんで誰も俺を呼んでくれなかったんだろう…」って部屋で悶々とする、そういう奴ですよと伝えました。多分、そういうところは今回もそんなに変わらないですね(笑)。でも、ルルーシュは他人に対して心を開かないからこそ、他人の悪口や愚痴をあまり言わないんです。それはもしかしたら他人と距離を置いているからかもしれないけど、今回見直してみて、やっぱり彼の良い部分なのかなって改めて思いましたね。

──ルルーシュはギアスをかける時の手の動き一つとっても、本当にキマっていて格好良いですよね。

谷口ギアスを使う時にどういうポーズを取るか、どう見せるか、実はすごく悩んだんですよ。メインアニメーターの木村貴宏さん、千羽由利子さん、副監督の村田和也さんにも相談して、最初は魔法少女ばりにクルクル回りながら「えいっ!」みたいなものとか(笑)。本当にそういうのも考えていたんです。主人公にとっての見せ場っていうのは、いわゆるロボットでいうところの必殺技にあたる部分になる訳で、そう考えると“ここが見せ場ですよ!”っていうのをある程度お客さんが分かるように組んであげた方がいいのかどうか、すごく悩みました。悩んだ末に、逆に日常の中に溶け込ませてしまおうということになったんです。ただ、そのまま日常の中に溶け込ませたままだと色気がない。目のところに情報がある以上、バストショットの中で色気を出すしか方法がないんです。そうすると、ちょっと足は使えないですよね。ですから、手になってくる訳ですよ(笑)。当時、ビジュアル系だったり、演劇やダンスのポージングを参考にしましたね。

──ギアスを使うシーンで登場するギアストンネルについては最初からイメージがあったのですか?

谷口ギアストンネルは最初からイメージがありましたね。あれは、眼球から脳髄の方に脳内の信号を変えるために神経を遡(さかのぼ)っているというイメージなんです。

テレビのステレオ音声で観るのと、映画館で観るのとでは雰囲気がまるで違う

──第1部で一番こだわったところを教えてください。

谷口やっぱり映画館で観て欲しいですね。というのも、各スピーカーで音を割り振ったりもしているんです。恐らく、テレビのステレオ音声で観るのと、映画館で観るのとでは雰囲気がまるで違うと思いますよ。音に関して言えば、今回は映画館という環境で楽しむことを前提に作っています。例えば、あるシークエンスのところで、人々の噂話が聞こえる中で足音だけが聞こえているというシーンがあって、噂話のところは左右のスピーカー中心に振って、センタースピーカーで歩いている音だけをベースに出すことによって、“ここでは歩いているという情報が大事ですよ”というのを伝えているんです。そういう意味では、音にこだわったことで、こちらの意図がより伝わりやすくなっていると思います。

──ズバリお伺いしますが、谷口監督にとって『コードギアス 反逆のルルーシュ』はどんな存在ですか?

谷口作品的にもスタッフワーク的にも、作って良かった作品だと思っています。ただ同時に、周囲からの“ヒットメーカー”という勘違いを払拭するのに困りましたね(笑)。他の作品と大きく違う点があるとすれば、色んな人たちの夢や欲望も許容して受け入れるという形にしたことが大きいと思います。ただそれは、プロジェクトを閉じていくようなやり方ではなくて、プロジェクトを広げていくような場合に限りますけどね。これは最初の質問にも関連してきますけど、劇場3部作に整理し直すというのは、結局のところ、当時のスタッフたちが作品に込めてくれた夢とか希望とかフェチ性などを場合によっては排除する作業ですよね。でも、全部取ることはできないし、どこを残してどこを入れていくかという、葛藤の歴史でもある…と言えばいいのかな(笑)。実際、TVシリーズの時もそうだったんです。『R2』になってからは、コンテの修正をするだけで大変で、自分ではゼロベースからコンテを切っていないんです。ただ、脚本のデータ量も膨大なので、「じゃあ、一回切ってもらったところだけど、このシーンとこのシーンを合体させてしまおう」とか、「この台詞はなくてもいいよね」とか、そういう調整でかなり振り回された作品でしたね。

──では最後に、第1部の公開を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。

谷口10年前テレビで放送されていたものが、その時とは少し違う形で編集し直して劇場で上映されることになりました。アフレコも新規で録り直していますので、当然のことながら、10年前に観ていたものとは観た感覚や捉え方が違う部分もあるとは思います。ただ、そういう部分も引っ括(ひっくる)めて楽しんで頂けると嬉しいですし、楽しめる形になっていると思っています。音響効果も含め、映画館で観て頂きたい作品ですので、劇場へ足を運んで頂けますと幸いです。

の付いたインタビューはV-STORAGE online限定の記事です。

PROFILE

谷口悟朗(たにぐちごろう)
1966年10月18日生まれ、愛知県出身。アニメーション監督、演出家。『コードギアス 反逆のルルーシュ』では監督・ストーリー原案・絵コンテを担当。監督としての代表作に『無限のリヴァイアス』『スクライド』『プラネテス』『ID-0』などがある。

<上映情報>

コードギアス 反逆のルルーシュI 興道
2017年10月21日(土)より全国79館にて公開!
コードギアス 反逆のルルーシュII 叛道
2018年2月公開!
コードギアス 反逆のルルーシュIII 皇道
2018年5月公開!

コードギアス劇場3部作 公式サイト

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