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新たに語られる宇宙世紀の原点“ルウム編”始動!『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 激突 ルウム会戦』隅沢克之インタビュー

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累計発行部数1000万部を誇る安彦良和による大ヒットコミックのアニメシリーズ最新作となる『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 激突 ルウム会戦』が全国35館にて大ヒット上映中! そこで今回は、一年戦争の幕開けを描いた第5話に続いて、第6話「誕生 赤い彗星」でも脚本を手掛ける隅沢克之さんに、本作の魅力や第6話の課題について話を伺った。

距離感が違う三者を描くことで一年戦争を立体的に描く

──一年戦争の始まりを描く第5話は80分を超える大作になりました。隅沢さんと安彦良和総監督はどのようにシナリオをまとめられていったのでしょうか?

隅沢僕の作業はこれまでとあまり変わってないですね。第1話〜第4話も本来なら80分は必要なエピソードが入っていたんですけど、どうにか60分に収めてたんですよね。安彦さん、スタッフさんが頑張られているんでしょうね。

──第5話では漫画原作と少し設定が変わったり、エピソードが足されていました。アイランド・イフィッシュの青年、ユウキがYASHIMAカンパニーに就職が決まっていたところも漫画原作にはなかった設定です。

隅沢アムロたち、サイド7の面々は『THE ORIGIN』本編のメインキャラクターですから、過去編であるルウム編に登場しても、視聴者は「関係ない」とは思わないですよね。でも、ユウキとファン・リーはお話の本筋とは関わりのないキャラクターなので、その彼らの死を描いても、見ている人の心を揺さぶりにくいんです。ほかの作品ならカットする候補第1位ですね。あそこをカットすれば60分に収まったかも知れない。

──カットしなかったのは、なぜでしょう?

隅沢安彦さんがユウキとファン・リーのお話に思い入れがあって、「外せない」と言われていたんですよ。それで安彦さんに了承を頂いて“ユウキはミライの父、シュウ・ヤシマの会社に就職が決まっていた”という設定をセリフに盛り込ませてもらったんです。たとえ薄くてもメインキャラクターの誰かと関係性をもたせることが大事で、それが人物に“深み”を与えるんです。それとエピソードの順番も漫画原作から変わっています。第5話サブタイトル「激突 ルウム会戦」の後にアムロたちのお話があり、次にドズルとランバ・ラルの会話を経て、ユウキたちのエピソードという順番です。まさに目の前で戦争が起きているユウキと、距離的にも心情的にも戦争からいちばん遠い立場にいるアムロたち、そして戦争を起こした側のドズルとランバ、戦争との距離感が異なる三者のエピソードを連続した配置にすることで、戦争を立体的に捉えた表現にしています。

──ただ漫画原作をなぞるのでも、尺優先でカットするのではなく、構成や設定を調整することで、ユウキたちは第5話に不可欠な要素になってますね。

安彦総監督からの課題は“アムロをガンダムに乗せる”動機づくり

──完成した第5話をご覧になって、いかがでしたか?

隅沢実は感動してね、二度泣いたんですよ。脚本家として携わった作品を見て泣くなんて、本当はありえない(笑)。でもそれくらいすばらしい出来じゃないかと感じたんです。ひとつはハモンさんが弾き語りで歌うシーン。フルコーラスすべてを作画でやっているんです。回想のインサートをあえて入れず、ハモンは何を思いながら涙を流し歌っているのか? それを観客に委ねているところが演出として新しいですよね。僕はキャスバルたちの母、アストライアのことを思い出したり、あれがクラブ・エデン最後の夜で、ハモンは大変だったんだろうなぁ…と自然にシーンが浮かんできて泣けましたね。もうひとつはテキサス・コロニーで、シャアのザクⅡを見つけたセイラさんが一生懸命、走るシーンですね。セリフを入れたかったんですけど、「兄さん」じゃないんですよ。叫びたいんだけど、叫べない。安彦さんは「あそこはセイラが走っていくだけでいいんだよ」と言われていたんです。その判断は正しくて、完成したシーンを見ていると、第2話のラストでキャスバルを追いかけるセイラと重なるんですよね。それが涙を誘って、いいシーンになったんだと思います。その後にルウム会戦の戦端が開かれて、シャアが赤いザクⅡで出撃していく流れになります。カトキさんが絵コンテを担当されて、メカデザイナーの本領を発揮されています。シャアの高揚感が伝わったままエンドロールを迎えて、80分がちょうどいい尺になってます。

──第6話のシナリオ作業の際に、安彦総監督から隅沢さんに“課題”が出されたとうかがいしました。どんな“課題”だったのでしょうか?

隅沢漫画原作だと、アムロはカイと一夜の冒険に出かけて、それ以降の行動が特にないんですよ。『THE ORIGIN』の主人公なのに、サイド7にホワイトベースがやってくるまで、何もしていない。アムロはこれまでずっと受け身のキャラクターで、自分の意思で宇宙へ来たわけでもない。そうするとフラウたちを助けるためにガンダムに乗り込んだ『始動編』のアムロとつながらないんですよ。それを第6話のシナリオで解決してほしいと安彦さんから課題をいただいたんです。アムロがガンダムと出会う前に、能動的に動くきっかけになる新規エピソードを第6話に入れています。

──アムロの視点で第5話と第6話を観ると、開発区での冒険(第5話)を経て、受け身だった自分の殻を破るきっかけを得て(第6話)、『THE ORIGIN』の主人公になる。成長のエピソードでもあるわけですね。

隅沢そのあたりも心に留めて観ていただけると、より楽しめるかと思います。『ファーストガンダム』は開戦の8ヵ月後から始まっていて、実は一年戦争を半分も描いていないんです。第5話はシャアとセイラの物語にひとつの区切りを付けながら、開戦からコロニー落とし、ルウム会戦へとなだれ込んでいます。第6話はルウム会戦の決着を描くだけでなく、空白の8ヵ月も一気に見せていくことになります。

──「始動編」での構図ができあがっていくわけですね。

隅沢安彦さんは「『THE ORIGIN』は単なる娯楽じゃねえぞ!」とおっしゃっていて、富野さんの『ファーストガンダム』とも描いているテーマが違うんです。富野さんは“ニュータイプ”という人類の進化をテーマにしていましたが、安彦さんの『THE ORIGIN』ではニュータイプの“個”は描いても“種”は描いていないんです。『THE ORIGIN』では“ニュータイプ”をあえて重要視していないんですよ。ララァは勘のいいひとりの少女で、アムロも戦争によって感性が研ぎ澄まされただけの少年なんです。彼らは進化した存在ではない。安彦さんの考え方も、ひとつの正解だと思いますね。

PROFILE

隅沢克之(すみさわかつゆき)
脚本家、小説家。サンライズ、東映アニメーション、ぴえろ作品を中心に脚本、シリーズ構成で活躍。主な作品は『ドラゴンボール』シリーズ、『犬夜叉』シリーズ、『新機動戦記ガンダムW』シリーズほか多数。


<上映情報>
機動戦士ガンダム THE ORIGIN 激突 ルウム会戦
2017年9月2日(土)より全国35館にて大ヒット上映中!
機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星
2018年5月5日(土・祝)より全国35館にて4週間限定劇場上映!※上映劇場にてBlu-ray初回限定版「Collector's Edition」の先行販売を実施!

<Blu-ray&DVD発売情報>

機動戦士ガンダム THE ORIGIN V 激突 ルウム会戦 Collector's Edition
【BVC限定/初回限定生産】
2017年11月10日発売
Blu-ray:¥10,000(税込)


機動戦士ガンダム THE ORIGIN V 激突 ルウム会戦
2017年11月10日発売
Blu-ray:¥7,400(税抜)
DVD:¥6,400(税抜)

機動戦士ガンダム THE ORIGIN Collector's Edition BVC特設サイト

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式サイト

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