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一年戦争の幕開けを描くシリーズ最新作!『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 激突 ルウム会戦』安彦良和総監督インタビュー

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累計発行部数1000万部を誇る安彦良和による大ヒットコミック『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』のアニメシリーズ最新作となる「激突 ルウム会戦」が、いよいよ2017年9月2日(土)より全国35館にて4週間限定上映される! 世界の人口の半数を死に追いやった“コロニー落とし”が描かれる本作において、安彦良和総監督は宇宙世紀最大の悲劇をどう描いたのか? 「ルウム編」への想いを伺った。

悪魔の所業とも言える“コロニー落とし”を真正面から描く

──漫画原作の「ルウム編」をアニメ化する際に、変更した部分はあったのでしょうか?

安彦「ルウム編」に関して漫画原作から大きく変わっているところはないと思います。ありがたいことに、だいたい単行本1冊分をフィルム1本にまとめていくことができたので、どうしても再編集をして切り詰めなきゃいけない部分は、あまり発生していないんです。でもより良くするための改変はしています。今回はカトキハジメさんも絵コンテを担当してくれているので、メカ・シーンは全体的にかなり膨らませてくれています。特に戦闘シーンは漫画原作だとわりとあっさり描いていたのが、フィルムでは尺を相当とって贅沢に描いてもらっています。

──第5話では“コロニー落とし”のエピソードがやはりキーになってくると思います。

安彦すべての始まりということで、『機動戦士ガンダム』(以下『ファーストガンダム』)では冒頭シーンで繰り返し流れていたこともあって、あそこは外せないんですよね。漫画で描くことになったときも、非常に気が重いエピソードだけれど、逃げるわけにはいかないので、描くんだったらきちんと描こうと。単なるモノとしてコロニーが地球に落ちたんじゃなくて、あれは生活空間だったわけだから。様々な人々が生きてそこで暮らしていたんです。それを質量兵器に利用してしまう行為は、まさに悪魔の所業なわけでね。それは真正面から描かなきゃいけない。だから漫画では限られた枚数で、どうやってその“痛み”を描くかというのが課題でした。

──その地球に落ちたコロニーに住んでいたのがユウキとファン・リーであり、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(以下『THE ORIGIN』)でのオリジナルキャラクターになります。

安彦やっぱり顔のある人を描かなきゃいけない。それは最初から考えていたことで、顔と名前をもつ個人を描くことが“痛み”を表現することにもなると思いました。コロニーには無数のユウキとファン・リーがいたわけですよね。彼らの“痛み”を感じてもらいたいということです。

『THE ORIGIN』は基本的にシャアの物語、『機動戦士ガンダム』はアムロの物語

──『THE ORIGIN』ではシャアたちメインキャラクターだけでなく、第一次、第二次世界大戦期に世の中が戦争へなだれ込んでいくような、民衆の描写も際立っていると思います。

安彦今、ポピュリズム(大衆に迎合し、政治指導者が権力を維持する方法)が盛んに叫ばれていますが、大衆(特別な意味を持たない複数の人々の集合体)って巻き込まれるだけじゃないんですよね。自分たちでも渦を作ることができるんです。悪い企みを抱くギレンのような存在がいて、大衆をどんどん犠牲にして悪いことをしているのであれば話は簡単なんですけど、そういうものじゃないよ、と。ギレン自身もある意味、大衆に操られているわけですよね。『THE ORIGIN』はあちこちに群衆(ある目的を持ってある場所に集合している人々の集団)が出てくるので、群衆を描いてくれる作画の人には悪いねっていつも言っているんです。でも、必ずしも群衆という表現じゃなくても、常に大衆がいる。それがガンダム世界の世の中であり、現実の世の中なんだ。そういう考え方で作っています。

──第5話でも、ジオン公国やハッテの民衆が戦争に駆り立てられている姿が丁寧に描かれていると思います。

安彦後戻りできない状況ですね。第4話の終わりでもうすでに戦争が始まっている。なんでこういうことになったのかな? と思いつつ、もう前に進むしかない。今さら後へは退けない訳です。

──のちのホワイトベースのクルーも第5話から存在感を放ってきていると思います。

安彦漫画を読まれた方が気づかないくらい、自然にできていると思うんですけど、ホワイトベースのメンバーの描かれ方は尺的にも増えています。特にアムロの周りが増えていますね。アムロがスムーズに登場するためには、ちょっと漫画原作では描き足りなかった部分がありました。そのあたりをなるべく自然に補強しています。これでアムロは次の主人公になれる筋道が整ったはずです。これまでの『THE ORIGIN』は基本的にシャアの物語でした。そして、『機動戦士ガンダム』はアムロの物語です。

『ルウム会戦』では壮大な艦隊戦が展開される

──先ほどのお話にもあったようにルウムでの戦いが見どころのひとつになっています。ルウムの戦闘で、これほど本格的な艦隊戦が描かれるのは、モビルスーツ戦がメインのガンダム作品では貴重かもしれません。

安彦艦隊戦は、漫画を描くときにかなり意識したんですよ。宇宙世紀の史実としては、モビルスーツが戦場の主役になって地球連邦宇宙軍に歴史的な勝利を収めた、という言われ方をしていました。ただ、モビルスーツも何千何万といたわけではなくて、モビルスーツが、ある重要な局面において戦局を変える大きな役割を果たしたんだと解釈しています。『ルウム会戦』も基本的には艦隊戦であったろうと。全体の表現としては漫画原作に沿っているんだけれども、分量的には描き足りていないので、どうやって補強して、壮大な艦隊戦を展開していくか。その艦隊戦にモビルスーツという新しい戦力が介在して、戦局を大きく左右した。それをどうフィルムで表現するか? というのは、合宿もやって、スタッフからいろんなアイデアを出し合ってもらいました。特にカトキさんの引き出しの多さには驚きで、非常によかったですね。

──最後にファンの方々へメッセージをお願いします。

安彦あまり重たい言い方をしてもどうかと思うんだけど、“一年戦争が始まって、たくさんの人が死んでしまった。これから世界はどうなるんだろう?”そういう非常に重たいテーマが全面に出てきます。それが今の世の中とか、日本の状態もひっくるめて、いろんな事を考える内容になっていればいいなと思っています。『ファーストガンダム』が他のガンダムシリーズとは違う優位性も、そこにあると思うんですね。「単なる娯楽じゃねぇぞ」と。僕がこだわっているのもその部分です。『ファーストガンダム』だけはおろそかにしたくないし、このメッセージだけは誤読されたくないというのはね、ちょっとあるんです。戦争は基本的にワクワクするものですよね。それはもう、どうしようもない。だから戦争を描いて、どうもワクワク感が描けていないと、それはエンターテインメントとしてはエラーなわけです。ただ、ワクワクするだけだと、無責任な話だと思われて、「戦争がどれだけ重たい表現の対象か、わかっているのか?」という意見がすぐ聞こえてもくる。『THE ORIGIN』ではちょっと欲張りですが、娯楽性と、テーマ性の両方を味わってほしいなと思います。

PROFILE

安彦良和(やすひこよしかず)
アニメーター、演出家としてだけでなく、漫画家、イラストレーターとしても活躍中。『機動戦士ガンダム』ではアニメーションディレクター、キャラクターデザインを担当し、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では漫画原作、アニメーションキャラクターデザイン、総監督を務める。


<上映情報>
機動戦士ガンダム THE ORIGIN 激突 ルウム会戦
2017年9月2日(土)より全国35館にて4週間限定劇場上映! ※上映劇場にてBlu-ray初回限定版「Collector's Edition」の先行販売を実施!

<Blu-ray&DVD発売情報>

機動戦士ガンダム THE ORIGIN V 激突 ルウム会戦 Collector's Edition
【BVC限定/初回限定生産】
2017年11月10日発売
Blu-ray:¥10,000(税込)


機動戦士ガンダム THE ORIGIN V 激突 ルウム会戦
2017年11月10日発売
Blu-ray:¥7,400(税抜)
DVD:¥6,400(税抜)

機動戦士ガンダム THE ORIGIN Collector's Edition BVC特設サイト

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式サイト

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