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ハリウッドで制作された幻の作品が初Blu-ray BOX化!『ウルトラマンパワード』前田真宏インタビュー

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ハリウッドで制作されたウルトラマンシリーズ幻の名作『ウルトラマンパワード』が、最新のデジタル技術を駆使してBlu-ray BOXで登場! 初代ウルトラマンの正統なるリメイク作品として今なお多くのファンを持つ本作。そこで今回は、「“ウルトラマン”をリブートする」のコンセプトのもと、お馴染みの怪獣を大胆にリファインしたデザイナーの前田真宏さんにインタビュー。第40回日本アカデミー賞にて最優秀作品賞や最優秀監督賞などに輝いた『シン・ゴジラ』にも参加するクリエイターに当時の現場の話を伺った。

新企画で作るんだったら、怪獣もバリエーション増えたほうが面白いんじゃないか

──前田さんが『ウルトラマンパワード』のお仕事に関わったきっかけを教えてください。

前田その時期(※1980年代〜1990年代前半)は、ずっとDAICON FILMの後身であるGAINAXでアニメの自主映画を作っていました。中心メンバーだった庵野秀明氏(現:株式会社カラー 代表取締役社長)をはじめとして特撮好きが多かったこともあって、もともと特撮作品への親和性が高かったんです。 その後、GAINAXを離れてフリーランスになったんですが、仕事の幅を広げたくて、監督の樋口真嗣氏、シナリオライターの山口 宏氏の3人で集まって“GONZO”を作りました。そこにGAINAX時代から懇意にしていただいていたバンダイ(現:バンダイビジュアル)の方から「初代ウルトラマンをリメイクしたいんだ。
企画とシナリオを用意して、ハリウッドで撮れないだろうか?」と相談を受けました。最初はシナリオもデザインもそのままで、ちょっとだけアップデートして最新の技術で制作する、完全リメイクなら面白いんじゃないかというところから始まったんです。
最初は樋口氏に声がかかっていて、完全リメイクということで、『ウルトラマン』に登場する怪獣の写真を集めて当時の着ぐるみ(スーツ)の正確な比率を割り出して3面図を作る作業をしていました。ところが、話が進むに連れて、「せっかく新企画で作るんだったら、怪獣もバリエーションが増えたほうが面白いんじゃないか」という話が上がってきたらしく、『ウルトラマン』そのままで作るのはやめようという事になったんです。新シナリオで怪獣とウルトラマンも新しくするという話になり、量的にも樋口氏自身が手に余るので、誰か手伝ってほしいという時に、たまたまそこに僕がいたということですね(笑)。デザイナーとしてクレジットされていますが、『ウルトラマン』に登場した怪獣のアレンジをしていたので、正確にはアレンジメント、もしくはリデザインということになると思います。

日本人特有の細マッチョではなく、がっしりとした起伏のある造形にしていこうと考えました

──ウルトラマンも新しくデザインされていますね。

前田「やる以上は、俺達の中の最高のウルトラマンを作ろうぜ!」という意気込みで作業をしていました。オリジナルのコンセプトであった“コスモス=ウルトラマン、カオス=怪獣”や“統合と調和の象徴”から、弥勒菩薩や仏像に見られる中性的なイメージで行こうとしていましたね。そして、ハリウッドに持っていく以上はウェットスーツに色を塗った感じではなく、もう少し立体感のあるもので、きちんとしたコンセプトのものにしたかったんです。
初代ウルトラマンのスーツのフォルムやイメージの秀逸なところは活かしつつも、生物的な部分を残したい…そしてカラータイマーや目のくっきりした継ぎ目ラインなどは消したい…と考えました。その時に、表面の透明の皮膚の下に、そういったディテールが入っている感じで、光りだすと全身の經絡とか循環系が透けて見えるようデザインを作っていたんです。だけど、当然なんですが「それはやりすぎなのではないか?」という意見をいただいてしまいました。それで、ヌメッとした(透けて見えるような)デザインではなくて、海外で作るということを前提に向こうのヒーロー像的な、日本人特有の細マッチョではなくて、がっしりとした起伏のある造形にして行こうと考えました。当時、ティム・バートン監督の『バットマン』なども観ていたので、ラテックスで筋肉表現するのも良いよねってことになり、それに合わせてフェイスのデザインも変わっていって、ゴツゴツとしたものになりましたね。それで、向こうに持っていくための造形物として、原口智生氏(※特殊メイクアーティスト)に手伝っていただいて粘土で雛型を作ったりしました。

ウルトラマン自体が格好良くできたので、そこは観て欲しいかな

──怪獣のデザインで海外を意識されたポイントは?

前田当時は自分なりのリアリティでやろうと、ある意味クリーチャー感を意識しました。海外作品のクリーチャーというのが、自分的には生物としてみた時にしっくりくる。それと、プロデューサーと脚本の伊藤さんの提案でコンセプトを「宇宙怪獣は昆虫(甲虫類)、もとから地球にいた怪獣は動物(爬虫類など)をモチーフにしよう」ということになったんです。

──造形についてはいかがですか?

前田ハリウッドでは、着ぐるみ(スーツ)によるアクションというのが意外に経験値が少ないようで、部分的に分けられた原型はものすごく良い物が上がってくるんですが、組み上げるとバランスが悪かったりするんですよ。日本だと経験値の蓄積があるから、全体のバランスを見ながら強度的なものを考えた上で、造形されるのでまとまっているんですが、向こうではそのノウハウがないわけで色々と不具合もありましたね。

──ぜひ観て欲しいオススメポイントを教えてください。

前田いろいろありますが、ウルトラマン自体が格好良く出来たので、そこは観てほしいかな。怪獣にも愛着はありますが、自分自身はウルトラマンパワード自体が気に入っていて、頑張って極限まで頭部も小さく作ってもらって、スーツアクターさんもノリノリで演技してくれているので、ぜひ観てほしいですね。

PROFILE

前田真宏(まえだまひろ)
1963年生まれ、鳥取県出身。デザイナー、アニメ監督、アニメーター。『風の谷のナウシカ』等にアニメーターとして参加、GAINAXでその手腕を振るった後にフリーランスを経てGONZOを設立。アニメ、特撮を問わず多数の作品でデザインを担当。『青の6号』『巌窟王』などで監督を努め、海外作品にも日本のクリエイターとして参加している。


<Blu-ray BOX発売情報>
ウルトラマンパワード Blu-ray BOX
2017年3月24日発売
¥18,900(税抜)
商品情報はこちら

ウルトラマン Blu-rayシリーズ 特設サイト

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