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完全新作映画公開!『劇場版 黒子のバスケ LAST GAME』多田俊介×神谷浩史スペシャル対談

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集英社「週刊少年ジャンプ」にて2009年から2014年まで連載され、コミックスは累計3000万部を突破した超人気バスケットボール漫画『黒子のバスケ』。2012年よりTVアニメシリーズがスタートし、3期(全75話)に渡り放送され大ヒットを記録した。2016年には劇場版プロジェクトが始動し、同年9月よりTVシリーズで描かれたウインターカップの激闘を3本の総集編としてイベント上映。そして、2017年3月18日より完全新作映画『劇場版 黒子のバスケ LAST GAME』が遂に公開される! そんな劇場版の公開を記念して、多田俊介監督と赤司征十郎を演じる神谷浩史さんのスペシャル対談が実現! 赤司について二人が熱く語り合う!

最初の頃は、まだ二人の赤司を認識する必要がなかったんです

──赤司というキャラクターについて振り返ってみて、TVシリーズ制作時ではどんなことが印象に残っていますか?

多田当初はまだ「赤司が二人いる」…現場では「俺司」「僕司」と呼んでいましたけど、その存在はわかっていなかったこともあり、音響監督の三間(雅文)さんと相談しつつ、基本は「キセキの世代」の因縁だけを考えて演出していたところはありましたね。

神谷最初の頃は、まだ二人の赤司を認識する必要がなかったんですよね。

多田そうですね。途中、緑間のセリフで「赤司は二人いる」と言われるまでは、情報として何も出ていませんでしたから。

神谷だから、それがわかる以前のシーンでは、時と場合によって「俺司」と「僕司」が入れ替わっていたりとか、今どちらが喋っているのかわからないところも多々あった気がするんですよ。そこは正解がわからないし、あえてぼんやりさせて明確にしておかない方がいいかなと思っていました。気持ち的には「こっちの方がいいかもしれない」というニュアンスでやっていましたけど。

多田そういう感覚は、僕ら演出陣にもあったと思いますね。

実渕が「おねぇリバウンド」を決めた瞬間に「このチームいける!」と思いましたね(笑)

──秀徳VS洛山戦、誠凛VS洛山戦で印象に残っていることはありますか?

多田洛山は作品のフィニッシュを決めるチームだったので、赤司を中心としたチーム感をどういう風に出すのかは、かなり考えましたね。周りの人間も「無冠の五将」とか、ただ赤司の命令を黙って聞いているだけではないメンバーだったので、赤司に従いつつ個人としての実力も高いチーム感のバランスをどう出すのかは、アフレコでもずっと考えていました。ただ、羽多野(渉)さん演じる実渕が「おねぇリバウンド」を決めた瞬間に「このチームいける!」と思いましたね(笑)。

神谷羽多野君は見事なバランサーなんですよね。どういう立ち位置に入っても自分の仕事を丁寧にやっていくので、本当にすごいです。僕も助けられたという思いがあります。また、実渕自体もチームの緩衝材でしたから。

多田あの「おねぇリバウンド」で、洛山も単なる強いだけのチームじゃなく、他のチームと同じようなメンバー同士の交流とか人間関係があるということが、かなり表現できていたと思います。

神谷洛山の試合に関しては、赤司の登場が待ちきれなかったので、連載中に「週刊少年ジャンプ」を毎週読んでいたんです。そうしたら名台詞のオンパレードすぎて、赤司は毎週何かしら言うんですよ。「頭が高い」とか、秀徳戦での「眠れ、歴戦の王よ」とか。それを読みながら「よくわからないなぁ」と(笑)。これをどれだけ説得力のある“音”にしなきゃいけないのかと思ったんです。アニメーションになれば、もちろん音楽などで盛り上げてもらえるのはわかっているんですけど、最終的にセリフとして“音”にしないといけないのは自分だから、どういう風にマッチングすればバランスがとれるのかと試行錯誤していました。収録中は音楽を想像するしかないんですけど、あとで完成映像を観たら池(頼広)さんの音楽がめちゃくちゃカッコよくて、すごく助けられましたね。

多田赤司の登場シーンの壮大な曲は、特別に頼んだんです。声(コーラス)付きの音楽で行きたいと。

神谷それこそ神が降臨してきたかのような音楽が付いていたから、すごいなと感動しました。

多田あの曲のコーラスを録ろうとした時期がちょうどクリスマス・シーズンで、巧いボーカリストさんたちがイベントとかで忙しかったらしいんですよ。でも池さんもこだわってくださり、皆さんのスケジュールが空くのを待って録ったんです。本当に有り難かったですね。

帝光編をやったことで赤司がめちゃくちゃ可愛くなりました

──その他にも帝光中時代のエピソードがありましたね。

多田自分としては、帝光編をやったことで赤司がめちゃくちゃ可愛くなりましたね。もちろん中学時代だから外見が幼いということもあるんですけど、赤司は紫原に負けそうになったりと、人間的なコンプレックスが出てくるエピソードもあったので、僕の中ではかなり可愛い印象になりました。でも成長していくと、言っていることは「跪け」とかどんどん凄くなっていくので、僕はそんな赤司のギャップに萌えていましたね。中学時代はあんなに可愛かったのに…って(笑)。

神谷赤司自体の身体能力って、他のメンバーに比べると、実は大したことないと思うんです。僕は個人的に青峰が好きなんですけど、彼のような超人的なエキスパートたちの中で、小柄な赤司って何が凄いんだろうと。でも、帝光中時代からあれだけのメンバーを引き連れて、みんなが“赤司がリーダー”という認識を持ってまとまっていたことを考えると、人望があるのかなと。だから「俺司」の時は、周りに等しく目を配って、厳しいところは厳しく、優しいところは優しく、バランスをとりながらチームをまとめる能力が彼の強みだと思っていたんです。ところが「僕司」に入れ替わった瞬間、それが逆転するじゃないですか。すべての才能において赤司が特化して、誰も追いつけず、彼一人が突出したチームになってしまう。そういうバランスの良さと悪さを両方持っているところが、平均台の上を歩いているような危うい男だなと思いましたね。

スタジオでは「赤司ってワケわかんねぇよ」って毒づいていましたけどね(笑)

──この機会にお互いに聞いてみたいことはありますか?

多田収録現場でお会いする神谷さんは、帰り際に挨拶する姿すらも爽やかで、その辺は持って生まれたものなのかなって思いますね。崩れたところを見たことがないんですよ。

神谷そうですか!? スタジオでは「赤司ってワケわかんねぇよ」って毒づいていましたけどね(笑)。

多田でも、僕はいつも爽やかな姿を見て、ちょっとズルイなと思っていました(笑)。

神谷僕としては、ここまで非の打ち所のない役を任されたプレッシャーが凄かったので、とにかく現場では研ぎ澄ましていないと自分を見抜かれそうで怖かったんですよ。『黒子のバスケ』の現場は、キャストもスタッフもみんなこの作品が大好きで、自分たちが正しく能力を発揮して、同じ方向へベクトルを向ければ良いモノができるという空気感が凄かったんです。そんな現場で、いつもはテスト後に細かく指示出しをされる三間さんが、最終回の収録では「悔しいけど言うことないから本番行きます」って仰った時は、本当に痺れました。あの現場にいられることが幸せだったなと。また、そういう作品を作っていくのも大変だったはずなので、単純に多田監督としては楽しかったのかな〜…と気になります。監督、この作品は楽しかったですか?

多田楽しかったですよ!

神谷それさえ聞ければ僕は満足です(笑)。

多田原作の最後まで映像化できたという意味でも『黒子のバスケ』は本当に楽しかったですよ。最初に「『キセキの世代』と呼ばれた天才たちが…」という前振りで始まる作品ですから、ラスボスの赤司が登場するところまでやらないと物語が成立しないとわかっていたので、最後までたどり着けて本当に良かったです。もちろん僕もプレッシャーはありましたけど、ここまでやりきって「面白かった。やってよかった!」と思える作品はなかなかないですね。

PROFILE

多田俊介(ただしゅんすけ)
アニメーション監督、演出家。主な監督作に『スタミュ』シリーズ、映画『劇場版 テニスの王子様 英国式庭球城決戦!』、OVA『テニスの王子様 Original Video Animation』シリーズ、OAD『ツバサ』シリーズ、ほか。

PROFILE

神谷浩史(かみやひろし)
青二プロダクション所属。主な出演作に『夏目友人帳』シリーズの夏目貴志役、『斉木楠雄のΨ難』斉木楠雄役、『進撃の巨人』シリーズのリヴァイ役、『ONE PIECE』トラファルガー・ロー役、『青の祓魔師』シリーズのメフィスト・フェレス役、ほか。


<公開情報>
『劇場版 黒子のバスケ LAST GAME』
2017年3月18日(土)全国ロードショー!

黒子のバスケ 公式サイト

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