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映画『グッド・ストライプス』 主演・菊池亜希子さん×監督・岨手由貴子インタビュー【前編】

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自由奔放な文化系女子の緑と優柔不断な彼氏・真生は妊娠が発覚して結婚することになったマンネリカップル。5月30日公開の映画『グッド・ストライプス』で描かれる、正反対の性格の2人が相手に合わせるのでなく、“素晴らしき平行線”で少しずつ前に進む姿は、共感することも多い。 今回は本作に主演した菊池亜希子さんと岨手由貴子監督に前後編に渡ってお話を伺った。 インタビューのため部屋に現れたお二人の格好はまるで言い合わせたようにシンクロ! 監督は白と黒のストライプボーダー、菊池さんは赤と黒。 同世代という事もあり、「髪の毛切ったよね?」と何気ない会話には仲の良さが伺えた。
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ドラマティックではなくリアルな恋愛と結婚を描きたかった “結婚しなくちゃ”という風潮にずっと違和感

―― 結婚を題材とした作品を撮ろうと思ったキッカケはなんだったのでしょうか?

岨手由貴子監督(以下、岨手) この作品の脚本を書き始めたのが3、4年前で、その時は自分が結婚する予定は全くなく、だからこそ世の中で“おひとり様”や“行き遅れ”と言われる風潮が結婚のハードルを変に上げているのではないか?と憤慨していた時期があったんです。世間で言われているそのハードルを乗り越えた結婚はそんなに良いものなのか?実際はそんなもんじゃないのではないか?と。
だから同世代の東京で暮らす人が突然結婚するとしたらどうなるのだろう?とリアルな結婚について考えたのが始まりです。
脚本は当初もっとコミカルな部分が多く皮肉っぽかったのですが、最終稿を書く前に自分自身が結婚して、温かみのある方向に少し変わりました。ちょっと斜に見ていた結婚が、「そんなに悪くないかも」と思えたからだと思います。結婚後に撮影できたことで、後味のいい作品に仕上がって良かったですね。

菊池亜希子(以下、菊池) 脚本を読んだ時、結婚に対するイメージも監督と近く、面白いなと思いました。結婚式がひとつのゴールという風潮にずっと違和感を感じていました。良い事ではあるのですが、どこかでそこをピークに持って来たらダメでしょ?と思っていた部分がありますね。
でも、結婚式では泣いているんですけどね(笑)。私も皮肉っぽさや天の邪鬼な部分がすごくあるタイプなので、この脚本は私が感じている世の中の結婚の流れに対する本音が描かれていると思います。
結婚観も監督と似ていています。世の中が“結婚”って言い過ぎているなと思っていたので、 “私は決めない”みたいなことを言っていたんですよ。(笑)「別に良いじゃん、どっちだって」って、する時はするし、したくなったらするよ!っと。
でもこの映画と出会って “良いな結婚”って思えたというよりは、“結婚って悪くないな”と思えるようになりました。「結婚するの?願望あるの?」と聞かれて、その時にならないとわかんないと思っていた気持ちが軟らかくなって「結婚て、案外悪くないな」って思えるようになりましたね。

―― 結婚への考え方が似ていた2人は、撮影の前のリハーサルで彼氏役の中島歩さんも交えて女子トークを繰り広げたという。それぞれが考える結婚への想いを伺っている間、終止お互いの話を真剣に聞いている2人に妊娠のシーンについても聞いてみた。

岨手 この撮影のあと、編集中に妊娠して今年の1月に出産したのですが、撮影中は「このお腹の大きさ合ってるかな?大丈夫かな?」とスタイリストさんに相談したり、すごく調べたりしましたね。 でも作品の中ではあまり母としての目覚めのシーンは描きませんでした。人生の駒が前に進む事によって、周りの友達や今までの環境と距離ができてしまう主人公の戸惑いというのをメインで描きたかったので、妊婦としての変化というものはあまり意識的に演出しなかったんです。

まさに同世代、このカップルも1つのモデルケース

岨手 私の世代はまさに緑のようなカップルが多く、妊娠がキッカケで結婚したり、緑と真生のようになかなか結婚しないというのは、山のようにあります。この2人も1つのモデルケースだと思います。妊婦になったけど、今までと変わりなく私たちとご飯に行く子もいますし、きっとその方がリアルですよね。いきなり良い母になろうとされてもこっちもどうしていいか・・・(笑)。
最初は「お腹大きいね~」となりますが、話していたらやっぱり友達は友達で関係は変わりません。生まれた時に「あ~楽になった、スッキリした~」と言っていたりして相変わらずだな、と思える。友達はそうあって欲しいなという気持ちも、周りの状況の変化を見ていて思います。

――最近の女性は「結婚、結婚」と世間からも周りの人からも言われていて窮屈になっているのではないでしょうか…監督からそんな女性に贈るメッセージをお願いします!

菊池 それ私も監督に聞きたいです(笑)

岨手 ええ?!(笑)いや…どうですかね…世の中で言われている「こういう女性じゃないと愛されない」というのも、モテのベクトルを不特定多数に向けても仕方ないので、どこかでお互いが“OK”と思える相手がいれば良いと思います。この映画を見てもらえれば、冒頭では好感が持てない2人を最後には応援したくなると思うんです。そういう風に、相手を知るなかで愛せたりするんじゃないかなと思うので、そういうロマンスを楽しんで貰えればいいなと思います。

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PROFILE

脚本・監督 :岨手由貴子(そで ゆきこ)
1983年生まれ。短編『コスプレイヤー』が水戸短編映像祭、ぴあフィルムフェスティバルに入選。初の長編『マイムマイム』がぴあフィルムフェスティバルで準グランプリ、エンタテインメント賞を受賞。文化庁若手映画作家育成プロジェクトに選出され、『アンダーウェア・アフェア』を製作。映画やドラマの脚本執筆、ミュージックビデオの監督など、多岐にわたり活動中。

菊池亜希子(きくち あきこ)
1982年生まれ。独特の存在感で女優・モデル・著者とマルチに活躍中。自身が編集長として発行している「菊池亜希子ムック マッシュ」(小学館刊)も、累計33万部を超えている。主な出演作に『森崎書店の日々』(10)、『わが母の記』(12)、『深夜食堂』(15)などがあり、『海のふた』は2015年7月18日より公開される。

PHOTO:寺坂Johney!

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