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新たな展開によって生まれ変わった名作!『ゼーガペインADP』下田正美監督インタビュー全文掲載

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サンライズ制作によるSFメカアクションの傑作『ゼーガペイン』が放送10周年を記念して復活! TVシリーズを再構築した上で、新規カット&アップデートされた映像を加え、新規アフレコを実施。単なる総集編を超えた全く新しい物語が紡がれる『ゼーガペインADP』が、2016年10月15日(土)より全国8館にて2週間限定イベント上映開始! そこで今回は、新たな展開で生まれ変わった『ゼーガペインADP』誕生までの流れを下田正美監督が語る!

切ないラブストーリーが『ゼーガペイン』の根底にあります

──放送10周年の今年、ファン向けのイベント「ゼーガペインSBG」が開催されました。

下田 放送当時から「大きなイベントをやるべきだ」と一部の関係者が言っていましたが、今回ようやく実現しました(笑)。参加している会場のみんなが感動して泣いているんです。『ゼーガペイン』に登場するキャラクターたちは、“幻体”と呼ばれるデータ人格記憶体ですから、生身である声優さんたちと同じ場所にいられることは最高に幸せなのかもしれませんね。ライブ・イベントと相性のいい作品だったのだと改めて思いました。

──放送から10年、ここまでファンに愛され続けている理由は何だと思いますか?

下田 ファンの皆さんそれぞれ、好きになるポイントが違うんでしょうね。放送当時に子供だった人はロボットの戦闘シーンが好きだったろうし、主人公に感情移入している人も多いだろうし、世界観が好きな人、音楽を好きな人…。ハードSFアニメではあるんですけど、誰でも入りやすいように学園ドラマにして間口を広くしました。その結果、ファンそれぞれの見ているポイントが多様化して、作品を支える大きな力になってくれたのだと思います。

──『ゼーガペインADP』の特報を見ると、「SFというよりはラブストーリー?」と思えるのですが。

下田 もちろん、切ないラブストーリーが『ゼーガペイン』の根底にあります。切なさと痛みがテーマです。

シズノが神秘的なヒロインなので、リョーコは視聴者にとって身近な存在にしたかった

──ヒロインの話を聞きたいのですが、ミサキ・シズノという謎につつまれた美しい転校生が出てきます。ちょっと70年代のSFドラマっぽいですね。

下田 まさしく、往年の「少年ドラマシリーズ」の雰囲気を狙って、謎の転校生をヒロインの1人にしました。本放送は夕方6時からだったのですが、キスシーンが結構あったりして。謎の転校生シズノと熱いキスをかわし、彼女に導かれるようにして、主人公ソゴル・キョウが世界の秘密に触れていく…ドキドキするようなロマンスをともなった、ミステリアスな始まり方を意識しました。

──もうひとりのヒロイン、カミナギ・リョーコを演じた花澤香菜さんは、『ゼーガペイン』のあと大人気声優に成長しました。当初、そこまでは予想していなかったのでは?

下田 とんでもない、彼女はすごい声優になると確信していましたよ。将来のことまで見越してオーディションで選びましたから。リョーコは世界の不思議にまきこまれていく、初々しい等身大のヒロインです。そうした役をベテランの声優さんに任せると、あまりに上手く演じすぎてしまう…と危惧しました。ほとんどアフレコ経験のない花澤さんが「一体どうなっちゃうんだろう?」と毎週、ハラハラしながら演じたほうが、絶対に迫真性が出る。シズノが神秘的なヒロインなので、リョーコは視聴者にとって身近な存在にしたかったんです。

──それでリョーコには生身的な不思議な魅力があるんですね。

下田 花澤香菜さん自身、放送当時は本物の女子高生でしたからね。学校の友だちが『ゼーガペイン』を観ていたそうなんです。「友だちは何て言ってるの?」と聞いたら、「香菜のキャラだけスタジオジブリっぽいね」と言われたそうなんです(笑)。キャラクターデザインも、ジブリに所属していた山下明彦さんですしね。

どういうラストにするのか、一切決めずにストーリーをつくっていたんです

──キョウとリョーコは隣同士の高層マンションに住んでいます。ベランダごしに2人が会話するシーンにドキドキしました。

下田 男の子がウキウキワクワクしてしまうようなシチュエーションは、あちこちに入れてあります。他にも、初めてホロスーツを着たリョーコを見て、キョウが「なんかエロいな」と言います。そのとき、リョーコは「ありがとう」と笑います。いまどきの女子高生にとって、親しい男子からの「エロい」は誉め言葉なんじゃないかと思うんです。そういう自然さ、普通さは意識していました。

──ストーリー後半、「シズノ先輩のこと好きぃ?」とキョウに迫るシーンがありますが、素晴らしい作画でした。

下田 あのシーンは、「俺にリョーコを描かせろ!」と別のスタジオから入ってきたアニメーターが描いたんです。彼は「リョーコならこう演技するはずだ」と確信して描いてくれたんでしょうね。そこに花澤さんの演技が上手くかみ合ってくれて、かわいらしいシーンになりました。テレビシリーズを未見の方には、ぜひ観ていただきたいですね。

──リョーコのような普通のかわいさを持ったヒロインは、前にも後にもいませんね。

下田 もちろん、誰も手をつけていない新鮮なヒロインをつくろうと思っていましたし、みんなが「どうせこういうヒロインなんだろう?」と予測しそうな部分は壊していきました。だけどストーリーをつくっていくうち、勝手に走りだして大きな存在になっていった。リョーコがここまで成長するとは、僕ら自身も想像していませんでしたね。

──テレビシリーズを頭から見ていくと、「この物語はどうやって終わるんだろうか?」と不安になってきます。

下田 それは誰が最後まで生きるのか、どういうラストにするのか、一切決めずにストーリーをつくっていたからです。脚本家チームとの打ち合わせも、とても緊張感がありました。ラストシーンについても、実にたくさんのアイデアが出ました。単純にストーリーが終わるのではなく、「まだまだ主人公たちの人生はつづいてく」というラストになっているはずです。

コアなファンが満足できて、入門篇としても楽しめる作品になっています

──ロボットモノ的にはどんなテイストを狙っていたのですか?

下田 実はロボットモノという側面を強く意識したわけではないんです。主人公たちの乗るゼーガペインというロボットは、あくまで実用的な乗り物です。『機動戦士ガンダム』と『装甲騎兵ボトムズ』の中間ぐらいの存在でしょうか。ずっと同じ機体を使ってはいるけど、途中で乗り捨てても構わないような感覚のロボットが、ゼーガペインです。それと、CGでロボットを描いた作品は2006年の放送当時、まだ珍しかったんです。ですから、「サンライズが3D・CGロボットの先鞭をつけなくてどうするんだ」という気概が、制作現場にみなぎっていました。そこからCGでしか表現できないトランスルーゼント(半透明)なロボット、光装甲をまとった美しいロボット…という斬新なコンセプトが生まれたわけです。

──物語は学園ドラマが主体ですが、SFらしいクールな味わいがありますね。

下田 スーパーロボット物なら「俺の○○!」とロボットに呼びかけると盛り上がるんでしょうけど、キョウが「俺のゼーガペイン!」と呼びかけると少し恥ずかしい世界観です(笑)。だけど、テレビシリーズの終盤、キョウがひとりでゼーガペインに乗り込むとき、コクピットに搭載されたAIが「ようこそ」と英語を話しています。単なる乗り物だったゼーガペインは、実はパイロットのことを相棒だと思っていた。そういう隠し味は入れてあります。

──『ゼーガペインADP』はどんな作品になるのですか?

下田 コアなファンが満足できて、『ゼーガペイン』の入門篇としてもOK。一粒で二度おいしい作品になっています。いろいろなアイデアを仕込みましたので、何回観ても新しい発見があるはずです。テレビシリーズから先に観ても、『ゼーガペインADP』を最初に観ても、どちらからでも楽しめますよ。

の付いたインタビューはV-STORAGE online限定の記事です。

PROFILE

下田正美(しもだまさみ)
『Gu-Guガンモ』や『ダーティペア』などの作画監督を経て1996年『セイバーマリオネットJ』で監督デビュー。代表的な監督作に『藍より青し』『神曲奏界ポリフォニカ』などがある。


<上映情報>
2016年10月15日(土)より全国8館にて2週間限定上映!
■東京:新宿ピカデリー
■千葉:シネマイクスピアリ(舞浜)
■神奈川:横浜ブルク13
■埼玉:MOVIXさいたま
■愛知:ミッドランドスクエアシネマ
■大阪:なんばパークスシネマ
■北海道:札幌シネマフロンティア
■福岡:福岡中洲大洋


<Blu-ray&DVD発売情報>
ゼーガペインADP
2016年11月25日発売
Blu-ray:¥6,800(税抜)
DVD:¥4,800(税抜)

ゼーガペイン 公式サイト

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