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2016年10月より第2期放送開始!『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』横山克スタッフインタビュー

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ガンダムTVシリーズ最新作として放送され、第1期が大人気のまま幕を閉じた『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』。続編となる第2期が、本日2016年10月2日より毎週日曜午後5時〜MBS/TBS系列全国28局ネットにて放送開始! そこで今回は、本作の物語の特徴的な音楽を作る横山克さんに、第1期での試行錯誤など完成までの過程を伺いつつ、第2期についても話をお聞きした。

アニメの音楽という仕事をしている以上『ガンダム』は誰しもが目標としている作品

──本作のオファーはどのような形で受けましたか?

横山サンライズ音楽出版さんからお話をいただきました。「やりますよ、やらないわけないじゃないですか」と。知らないはずはない作品の仕事なので。是非お願いしますと。

──プレッシャーを感じましたか?

横山それは確実にありますね。アニメの音楽という仕事をしている以上『ガンダム』というのは、誰しもが一度は携わりたい、目標としている作品だと思いますし、僕もそうでした。「本当に自分にできるのかなぁ」といつも思うんですが、仕事をし始めれば、ちゃんと自分のやり方に寄せていって、色々考えるので不安を感じなくなる。というより、感じる余裕がないのですが (笑)。

──最初から音楽のイメージは掴んでいたんですか?

横山『ガンダム』は、アニメのサウンドトラックの中でも一番聞いているんですよ。自分が全くフルオーケストラとかを書けなかった高校生のときに『ガンダム』、分かりやすく言うと菅野よう子さんの音楽なんですけど(笑)。それを聞いて、いつかこういう音楽を作りたいと思いながら勉強や仕事をしていたので、イメージは固まっていました。でも、実際に長井龍雪監督とお話をしてみると、そのイメージと結構違うものを求められたんです。世界観がほかのシリーズと比べて特殊なんですよね。ビームが出ず、鈍器で殴りあうとか。

──固まっていたイメージから大きく変わったのですか?

横山長井さんは『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ(以下:オルフェンズ)』に、映画『デスぺラード』(※1995年に公開されたロバート・ロドリゲス監督作)の作風やサウンドのイメージがあったらしく、僕は荒れ狂った荒野な感じを想像しました。これまでの『ガンダム』にあった、フルオーケストラで豪華な感じではないんだろうなと。もちろん、壮大さは共通してあるんですが、さらに泥臭さや、埃っぽい色味、雰囲気を追加し、最初に持っていたイメージから方向転換してそこから徐々に積み上げていきましたね。

──監督からのオーダーを突き詰めた結果、ラテン系に?

横山劇伴でラテン系が欲しいと言われて本当にラテン系を書いても、それはまた少しイメージと違うものが出来上がってしまうんです。それでいいときももちろんありますが、ラテン系というキーワードをどう解釈するかだと思います。今回で言うと、ラテン系の音楽で良く耳にするギターの感じと、『ガンダム』という巨大で壮大なオーケストラの間の着地点を見つけてみたところ、『オルフェンズ』の音楽になったのかと思います。

この劇伴には何が合うかっていうのを見つける作業が面白いし、一番大事だと思っています

──音の重さを本作では常に意識されていましたか?

横山例えば、長井さんが今回フルオーケストラのイメージはないとおっしゃっていたんです。たぶんそれは、ホールでやるような行儀のいいイメージではないということなんですよね。実際は、作中でフルオーケストラを普通に使っているんですよ。ただ、そういう風に感じさせないように、みんなが行儀よくやるんではなく、荒々しくやっているような意識をしました。

──ラテン系とオーケストラは、相反するように思えますが?

横山オーケストラの便利なところは、オーケストラ自体を行儀のいいものと捉えなければどんなものとでも組み合わせることができるところなんです。オーケストラはみんなで一斉に演奏し始める、というイメージだと思うんですが、ラテン系っぽさを出すために、みんなで一斉に荒々しく弾いてもらう。そこに今回は、『オルフェンズ』の世界観に合わせて、ゴミ箱やデッキブラシなどもかなり取り入れました。アイディアを少しずつ積み重ねて実験したという感じです。

──かなりの試行錯誤が?

横山 僕は、最初に時間がかかるタイプで、最初に何を組み合わせたらいいか、この劇伴には何が合うかっていうのを見つける作業が面白いし、核になるので一番大事だと思っています。そこが今回最も悩んだところだと思います。

──「探していた音楽はこれだ!」という瞬間は?

横山やっぱりメインテーマ(「Mobile Suit Gundam:Iron-Blooded Orphans」) ですね。この曲にいきつくまで3曲作ってるんです。1曲目はアイディアはあったんですけど、消化しきれず、組み合わせ切れていない部分があったんです。オーケストラの比率が多かったり、ちょっとスピード感がほしいとか。僕は最初はなるべくアイディアを詰め込んだ1曲を作ってみてるんです。次に、もうちょっと壮大な『ガンダム』っぽいものを作ってみたら、オーケストラ寄りになりすぎて。そして、3曲目が『オルフェンズ』のメインテーマなんですけど、自分なりに一番バランスが良く消化できていました。

──最も苦労したことは?

横山試行錯誤しているときですね。試行錯誤して進めていく作業は最終的に、「ここはこう!」と自分で決め付けて理論立てていくしかないと思うんですよね。今回で行くと、僕がゴミ箱や、デッキブラシで録ったりしたこと、あとオーケストラをドイツで録ったことなど、僕が「こうした方がいい」と思ったことを決行していった形です(笑)。結局自分の中でイメージを決め付けて、「いや、この『オルフェンズ』はデッキブラシなんですよ」って僕が監督に言わないと。少なくとも僕が言い切って決めていかないと実現しないので。提案して、ひとつひとつ着実に実現させていくのが僕の役割だと認識しています。

メロディだったり、楽器だったり、こんなに色々アイディアを考えてっていうのも珍しい

──そういった形での制作は、音楽の幅が広がったのでは?

横山こんなに色々アイディアを考えてっていうのも珍しいですね。メロディだったり、楽器だったり、さまざまなやり方があるんです。でも今更珍しい楽器なんてないと思いますし、聞いたことない音色で、聴いたことない音楽でお願いしますと言われても「そんなものはない」と思いますからね。組み合わせで、新しいと感じさせるかどうかですね。大切なのは、いい組み合わせを探る、ということですね。ストーリーがあり、声優さんたちによる演技があって、効果音がつけられて、音楽がのるのがアニメなので。それ自体が組み合わせですからね。音楽も組み合わせですし、作品自体も組み合わせなので、すべてが上手く組み合わされば新しく、面白く見えると思います。

──TVアニメを見て、影響されることはありますか?

横山もちろん、影響されるというのはありますね。追加で作る曲に対して反映されていきます。本作は2クール以上の長い作品なので、一番いい反映の仕方をしながら進めていけます。今回で言えば、作品の色味を出すために最初はラテン系を作り、物語が進むに連れて、今度はドラマ性が強くなり、鉄華団が成り上がって成長した心情的な側面を表せるようなものにしていきました。

──本作でお気に入りのキャラクターはできましたか?

横山敢えて挙げるなら三日月でしょうか。主人公なのにつかめない感じとか、第1期のラストの方でほとんど悪役みたいになっていましたよね(笑)。その感じが観ていて面白いので、好きですね。

──第2期でチャレンジをしてみたいことはありますか?

横山今まで2クールはやったことがあったんですが、それ以上のシリーズをやるのは初めてなんですよ。第2期では、登場人物たちの中身が成長している。それをどれだけ音楽にも転化できるかというのがチャレンジだと思います。第1期のTVアニメを観直して、ここが変わっているなという部分を見つけ出して、音楽に反映して、印象強さを残せればと思います。

の付いたインタビューはV-STORAGE online限定の記事です。

PROFILE

横山 克(よこやままさる)
長野県出身。ミラクル・バス所属の作曲家。TVドラマ『Nのために』や、映画『心が叫びたがってるんだ。』、映画『ちはやふる』など、さまざまなジャンルの音楽を担当する。


<放送情報>
2016年10月2日毎週日曜午後5時〜
MBS/TBS系列全国28局ネットにて放送開始!


<Blu-ray&DVD発売情報>
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
第1巻〜第9巻 好評発売中
Blu-ray特装限定版:①¥3,800(税抜) ②〜⑨各¥7,800(税抜)
DVD:①¥2,800(税抜) ②〜⑨各¥5,800(税抜)

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 公式サイト

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