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圧倒的な映像と刺激的な歌が織りなすシリーズ最新作!『マクロスΔ』河森正治×鈴木みのりスペシャル対談全文掲載

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銀河最強の戦術音楽ユニット「ワルキューレ」の2ndシングル「絶対零度θノヴァティック/破滅の純情」発売に、1st LIVE「Walkure Attack!」開催など、まだまだ目が離せない『マクロスΔ』の放送もクライマックス直前! そこで今回は、遂に実現した作品を牽引する河森正治総監督と、ヒロインのフレイア・ヴィオン役を約8000人の中からオーディションで射止めたシンデレラガール・鈴木みのりさんのスペシャル対談の模様をお届けします。

どんどん回を重ねるごとにフレイアのことが好きになっている

──これまでの放送を振り返ってのご感想や、今のお気持ちをお聞かせください。

河森誕生日の回(第16話「ためらい バースデイ」)、すごく好きなエピソードなんです。エンディングの「God Bless You」も素敵ですよね。雪の中のフレイアたちは絵コンテを描いていて楽しかったし、気持ちが入ってしまったんですよ。今は、最終話の作業に追われていっぱいいっぱいです(笑)。やっとここまでこぎつけたという思いと、本当に新しい領域に踏み込めたという実感はありますね。それを踏まえて、後はどうまとめようかなと。まさに今、追われながら、取材に臨んでいます(笑)。

鈴木私も今、ライブのことでいっぱいいっぱいです(笑)。

河森そうだよね、迫ってきているんだもんね。

鈴木そうなんです。もう1ヵ月ないので。でも、やっぱりフレイアが△小隊のみんなとか、ワルキューレのみんなに支えられて、だんだん大人になっていくのに合わせて、自分もマクロスのスタッフやキャストのみなさんに影響されて、1人の人間として少し成長できたのかなあって実感しています。フレイアと一緒に成長してきたのかな、と思っていますね。

──視野が広がったことで、以前では気がつかなかったことが見えてきた、ということはありますか?

鈴木私自身フレイアのことを一番に考えて演じているつもりではあるんですが、他のキャストさんも、演じられているキャラクターに対する想いがとても熱いんです。キャラクターを愛する気持ちが強ければ強いほど、素敵な役者さんになれるんだなって最近実感しています。石川界人さんと偶然お話した時に、ロイドへの思いを聞かせていただいたんです。石川さんも、ご自分が演じているキャラクターのことをこんなに考えていらっしゃるのだから、メインヒロインを演じている私も、もっと頑張らなきゃなあって思いました。

──逆に、苦労し始めた点はありますか?

鈴木強いていえば恋愛のお芝居が難しいですね(笑)。あとは、どんどん回を重ねるごとにフレイアのことが好きになってしまっているので、ハヤテにちょっとイライラしちゃったり(笑)。「第15話と第16話であんなに思わせぶりな態度を取っていたのに、何でミラージュに!」って私情が入ってしまうので、演技に支障が出そうで苦労はしています(笑)。

河森思わせぶりに見えるよねえ(笑)。やっぱり、映像として仕上がるとそう見える。

──あえて、そう見える演出をされているんですか?

河森もちろん、キャラクターの実際の気持ちはしっかり決めて描いているんですけど、それでもなお、最後に編集が終わるまでの過程で、微妙なニュアンスひとつで変化してしまうんですよ。作品は生き物なんです。シナリオ段階である程度固めてはいるものの、コンテを描いているときに一言足す足さないとか、一言足したときの表情の向きをどうするかで変わってしまうんですよね。

鈴木変わりますね!

河森普通の作品でも変わるんですが、『Δ』はキャラの人数が多いので、一人のわずかな仕草がストーリーに相当影響します。それが今までの作品や『F』のときとの違いですね。ちょっとしたことでの変化の幅がより大きいというか。

鈴木なるほど、そうなんですね。

河森実際、自分で完成したものを観て、「あれ? ここまで変わった印象になるのか」ということもよくあるんですよ。

──放送されるまでどうなるかわからないんですね。

河森漫画や小説などの原作がある作品ではないので、生き物のように作りたいなと、常々思うんです。結末も「この方向」というのは決めているけれど、本当に最後の部分はキャラクターがどう思うかで決めたい。キャラクターの心情について、「作り手としては全部知っていなきゃいけない」というのが半分と、この歳になっても自分のことすらよくわからないんだから、「わからないことがあるっていうことに対してちゃんと向き合おう」というのがもう半分ですね。だから、キャラクターがお芝居していても、本人もわからない感情がどこかにあるんじゃないか、というのはいつも思いながら描きますね。

昔の原作もののアニメなんて、原形をとどめていないものも多いですから(笑)

──コンテなり、脚本なりの段階で道筋が立っていても、画によってストーリーに変化が起きるんですか?

河森変わりますね。変わったときにどうバランスを取るか、あるいは変わった結果のほうがかえって面白いというときもある。さらに、ダビング時に音楽の付け方や盛り上げ方を少し変えるだけでまた印象が変わるので、いつもせめぎ合いです。シーンに合わせる歌を決めた後で「じゃあ、そのニュアンスをさらに強められるか否か」、いつも勝負になっていますね。鈴木さんには、あがってきた映像を見たときにどう見えるのかな?

鈴木そうですね。やっぱり「このシーンは最終的にこうなったんだ」って思うのが一番大きいですね。今まで、放送を観て一番びっくりしたのが、第7話「潜入 エネミーライン」でフレイアがハヤテの腕にしがみつきながら歩いていたシーンがあったんですけど、アフレコ時の映像ではまったくわからなかったので「君たちそんなに仲が進んでたの!?」って個人的にびっくりしました!

河森あれは潜入作戦だから(笑)。カップルを装っているんだけど、意識せずに自然に出た行動かもしれないですね。まだ、そこまで自分の恋心を自覚していない。意識してからの方がドギマギするんだろうね、きっと。

鈴木あとは、第14話「漂流エンブレイシング」でハヤテとミラージュが密着しているシーンですね。ミラージュがあんな格好をしていることに単純にびっくりしました(笑)。大胆!って思いました。

──キャストさんたちの演技に影響されての演出というのもかなり多いのですか?

河森それは当然ありますね。アフレコ時に、こちらの意図しているものと合わないときには、音響監督の三間(雅文)さんとも相談して、「こういう方向で」とディレクションします。けれど、「意図したものとは違うけど、面白いからこっちでいこう」というときもあるんですよね。アフレコのその場で決めて、演出さんに「ちょっと表情変えておいてね」とか、臨機応変に対応していただいています。

──そこまで臨機応変な作品は、なかなかないと思うのですが。

河森原作ありきの作品は、昔よりも縛りが厳しくなっていますからね。変えると怒る人たちが増えちゃって(笑)。昔の原作もののアニメなんて、原形をとどめていないものも多いですから(笑)。

鈴木確かにそうですよね。

河森今は何が正解かを求められる時代になってきているので、ちょっとやりにくい気もするんですが、自分の場合は、正解かどうかよりも魅力的かどうかで作品を作りたいと思っています。

──最近は、キャラクターの行動の原点を事前にしっかり描いていないと視聴者が納得してくれない傾向がありますよね。

河森これは自分なりの分析なんですけど、ゲーム世代の場合、最初に設定画面があって、パラメータをセットして、そこからスタートすることが普通になってきているのかなと思うんです。現実の人間関係の場合、初対面の相手のことなんてほとんど知らないわけじゃないですか。それで何年も経ってから、「えっ、そういう人だったの!」と、やっとわかるようなことが当たり前なのに、なかなか時代のサイクルが速いせいか、フィクションではそれが通用しにくくなっている。そんな時代の流れにあえて逆行する作りをしている「マクロスΔ」だと、ようやく第15話になって敵側の背景がわかります(笑)。でも、戦争ってそういうものじゃないですか。互いの背景がわかったうえで始めるものではないので。そういう当たり前の感覚がなかなか通じにくいんですが、そんなときに、歌うことにしても飛ぶことにしても、理屈抜きに魂の底から「好きだから好きと言える」、強い想いをもったキャラクターが描けたらいいなとずっと思っていたんですよ。

逆に言えば、8000人の中で本当にたったひとりしかいなかったんです

──前々号でのインタビューの際に、監督は『新しい「マクロス」が見えてくるのがすごく楽しい』とお答えいただいていましたが、新しい『マクロス』が見え始めていますか?

河森今までの「マクロス」同様、戦場がベースですから、今作でも生き死には避けて通れません。ただ、歯を食いしばって耐えて、というだけじゃなくて、「本当に好きだから」、「心の底からやりたいから」といった気持ちで動くキャラクターたちを描けたら、と思いながら作っています。そのエネルギーを新しいマクロスとして伝えられればと思いますね。

──ウィンダミア人の「30年しか生きられない」という設定が、そのエネルギーの源にもなっている気がするのですが。

河森最初、フレイアを明るくて前向きで行動的で、という設定にしたときに、そんなに万能な子だとかえって煙たがられて嫌われてしまうんじゃないかという意見が結構出まして。「見かけだけじゃなくて何か圧倒的な違いが出せないかな」と考えた結果、短命という設定を思いついたんです。初代マクロスを作っていた頃に、SF業界には35歳でアイデアが枯渇するという説があって(笑)。「35歳になったら俺たちの寿命は終わりだ!」という話をしていたんですよ(笑)。それを思い出して35歳の平均寿命にしたんですが、35歳だとまだ余裕があるように見えるなと。そこでフレイアの年齢設定を14〜15歳にして、ちょうど人生の真ん中にしようと30年に縮めたんです。第1話の終盤で、フレイアがピンチになって追い込まれる時、普通のヒロインなら、ここで立ちすくんで、主人公のハヤテに助けてもらうものだと思うんです。だけど、フレイアはハヤテを振り払って歌いに行くんですよね(笑)。「ここが勝負だな」と思って描いていたんですけど、それがどう受け入れられるかは、第1話を放送するまでドキドキしていましたね。結果、そのときの鈴木さんの歌も演技も相まって、すごく前向きに行けたので、その後も毎回、歌のシーンを入れるたびに「次は乗り越えられるかな」と思いながら描くわけですよ。第13話の絵コンテを描くときに、フレイアの思い切りが足りないな、と思って「えい、ジャンプだ!」と思いつきました(笑)。描き手の側としても「このままだと普通の子になっちゃうから、フレイアだったらもっとすごいことをするに違いない」というところを課題にして描いているところがあります。

鈴木フレイアってハヤテには助けてはもらっているけれど「助けてハヤテ」とは全然言わないんですよね。私自身も最初の頃は特に緊張していて、本当に不安ばっかりだったんですけど、周りの方々やキャストさんたちに助けていただこうという気持ちがあったかといえばそうではなく、それよりも自分が満足のいく演技をしようとか、この状況を楽しもうという気持ちがすごく強かったと思います。その気持ちがあったからこそ、フレイアの「誰にも頼らず自分で」という演技がうまくできたのかな、と思っていますね。自分の気持ちが一番で、突っ走っていく途中で自然とハヤテやミラージュに助けられるというのが自分自身にも似ていて、自分が「やるんだ」と決めて突っ走っていくうちに、自然と内田さんや瀬戸さんがそこにそっと力を貸してくれるんです。

河森本当にそんな感じだよね。アフレコ現場でもそんなさりげないチーム感があるという。

鈴木なので、本当に作品とシンクロしているなあって思います。

──監督はここまで鈴木さんとフレイアが内面的にもシンクロすると予想されていましたか?

河森正直、第1話のアフレコをしながら、シリーズ構成の根元さんと「フレイアってこんなに難しいキャラクターだったのか」と、青くなりました(笑)。「鈴木さんじゃなかったら第1話で撃沈だった」と思いましたね。なにしろ方言で早口言葉で、ギャグシーンもありと、恐ろしく難しいオーダーしていたということにあらためて気づいて、冷や汗をかきました(笑)。

──鈴木さんとの奇跡的な出会いから、今のフレイアというキャラクターが生まれたんですね。

河森その実感はありますね。逆に言えば、8000人の中で本当にたったひとりしかいなかったんですよね。

歌を通して「自分、成長したのかな」って感じる瞬間がここ最近多くなりました

──監督や鈴木さんの全力投球の結果が、作品の人気に直結しているのではと思いますが、どのような感想をお持ちですか?

河森そういうキャラクターが受け入れられてよかったな、と思います。明るく前向きだっていうだけで斜に構えられちゃうんじゃないかという懸念もあったので。でも、視聴者の皆さんに好感をもって受け入れていただけたことで希望がわきました。戦場物だと、ここ十数年は、ちょっと影があって拗ねているようなキャラクター像が多かったように思います。フレイアは王道ヒロインというより、王道を通り越したキャラだったからよかったのかな、と思っています。

──最終話に向けての見どころをお教えください。

河森第18話から怒涛の展開になります。第23話以降は美雲さんとワルキューレの結束もキーになっていきます。当然、ハヤテとフレイアとミラージュの三角関係も展開に影響しますし、涙なくしては観られない状態になればと思います。

鈴木私個人としては美雲さんに注目していただきたいですね。あとは、ハヤテと美雲さんが初めて会話らしい会話をするシーンが第22話から第23話あたりにあるんですけど、1ファンとして「このカップリングもありかも」とか、個人的に「この二人萌えるなあ」って思ってしまいました(笑)。

──鈴木さんヘインタビューをさせていただく度に「今の自分に何点をつけますか?」とお聞きしています。現時点では?

鈴木うーん、20点ですかね(笑)。歌にしてもお芝居にしても、有難いことに周りの方々から「成長したね」っておっしゃっていただくことが増えて。あと先日、ワンダーフェスティバルで「ルンがピカッと光ったら」を歌ったんですけど、その時に、いい意味で「自分ってすごく変わったな」って思いました。レコーディングで歌った時よりも、気持ち的に何かが違う感じがして、それが何が変わったのかは自分自身ではわからないんですけど。自分の中でフレイアというキャラクターが安定してきたのか、自分がフレイアと同じようにやりたいことだったり、やるべきことがしっかり心に決まってきているからっていうのもあるかもしれないんですけど、確かに最初の頃とは違っていて。歌を通して「自分、成長したのかな」って感じる瞬間がここ最近多くなりました。でも20点っていうのは、120点満点の20点です(笑)。残りの100点はクライマックスまでとっておいて、一気に上げたいです(笑)。

──クライマックス間近です。放送を楽しみにされているファンにメッセージをお願いします。

鈴木フレイアの思った道に進めるように、フレイアの思いが届けられるように、今、一生懸命、鈴木の全力で頑張っているので、皆さんにその思いが届けられたらな、と思っています。最後までフレイアの成長ぶりを見守っていていただけたら、と思います。よろしくお願いいたします!

河森残り3話というところですが、もし可能ならばなるべく大きな画面に良い音で体感していただければと思っています。最後まで全キャラクターが生き抜いて、駆け抜けて、歌い抜いていくその姿を全力で応援してください。

の付いたインタビューはV-STORAGE online限定の記事です。

PROFILE

河森正治(かわもりしょうじ)
1960年2月20日富山県生まれ。『超時空要塞マクロス』で主要メカをデザインし、同作の劇場版での初監督以降、シリーズを世に送り出す。

PROFILE

鈴木みのり(すずきみのり)
1997年10月1日愛知県生まれ。e-stone music所属。応募総数8000人という本作のオーディションを受け、見事に新人声優としてデビューを果たした。


<Blu-ray & DVD発売情報>
マクロスΔ 第3巻
2016年9月27日発売
Blu-ray特装限定版:¥7,800(税抜)
DVD特装限定版:¥6,800(税抜)

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