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大ヒット劇場公開作品『劇場版ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン』田口清隆監督×氷川竜介対談・後編全文掲載

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ウルトラマン放送開始50年の節目となる2016年。3月12日より全国各地の劇場にて公開され、迫力の怪獣バトルと緻密な特撮映像で大ヒットを記録した映画最新作『劇場版ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン』と、7月9日より放送がスタートしたTVシリーズ最新作『ウルトラマンオーブ』の両作で、メイン監督を務めた田口清隆監督。そんな日本特撮界の次代を担う田口清隆監督と、特撮研究家・氷川竜介氏との対談が遂に実現。そこで今回は、先日公開した前編に引き続き、後編をお届けします!
※青字部分のインタビューはV-STORAGE online限定の記事です。

田口流リアル特撮の極意はミニチュア実景の長回し!

氷川 劇場版公開を意識して工夫されたことはありますか?

田口 テーマの一つに「高層ビル破壊」があって。とにかく夜の高層ビル群で戦うウルトラマンをやりたいと。VSゴジラ世代ゴジラ育ちなので、高層ビル群でのナイター戦が好きなんですよ。ただ、TVシリーズでは御法度なとこがあって。でも、最後くらいやらせてくださいと、カルロスタワー前の一同のシーン、1日だけ夜間撮影を敢行しました。

氷川 ナイターシーンといえば特撮でも、奥にミニチュアセット、手前に防衛隊のマシンやアスナ隊員がいる、お得意の構図も結構な長回しがありましたよね。

田口 長回しで色んな要素をつめ込むのが好きなんです。自主映画の頃からよくやっていて、今回も一発やろうかなと。3大怪獣と3大ウルトラマンがドーンとぶつかってる手前にアスナがいて、Xioの各マシンも飛んでいる。そのカット内でティガとアントラーは飛んで行って画面の奥で空中戦をしつつ、Xioの戦闘機も飛んでいる。手前には2組が戦っている、いわば大乱戦を1カットで描いたんです。アスナの芝居を先に決めて、秒数合わせで特撮の立ち回りを決めるという、実は大変なことをやってるんですよ(笑)。合成を担当してくれた人がとても大変だったと思いますけど、とてもがんばってくれて。おかげで心に残る1カットになりましたね。

氷川 ウルトラマンって光線系の技は使うけど、肉弾戦は近年あまり追求されてなかったようにも思えます。

田口 劇場版になると敵が大きくなるから、ウルトラマンもCGになって光線を撃ちまくるみたいな演出が多いですよね。でも『X』ではCGのウルトラマンを出す予算はないんです。でも、ザイゴーグの武器は凶悪な右手、こん棒ですからね。それをいかにかわして、パンチとキックをいれるかという戦いって逆にハラハラしていいかなと。ゴルザとアントラーも動ける着ぐるみですし、ウルトラマンだって動けるスーツなので格闘してなんぼだなと。アッパーでアントラーの角を折ったり、ザイゴーグのこん棒を切ったり、部位破壊も含めて、ガチンコバトルがいいなぁと。グリーンバックだと飽きちゃうんですよ。対象物がないから、単純に撮ってて面白くないんですよ(笑)。煙も抜けないから爆発も合成になっちゃいますし。それと僕がよくやるパターンは、大きく引いたセットの画を撮って、手前には何も飾らず奥にビルを並べて。左撮って、右撮って合体させて、最後に5階建てのビルの屋上から撮った実景を手前に合成するんです。すると画面の手前がすごい情報量になって豪華なセットの画面に見えるんです。ミニチュアでも頑張って再現はしますけど、情報量はやはり実景にはかなわないんですよね。特にナイターだとよく馴染むんですよ。手前にいっぱい飾るのもミニチュアの面白さだと思うんですけど、逆に手前を実景にするとどこからが本物でどこからがミニチュアかわからなくなるという。手前が本物だと本物っぽく見えちゃうんです。

氷川 特撮の面白さってそういうところにありますよね。トリック撮影と言われてきたので、どうやって気持ちよく騙されるかっていう。

田口 全部実景合成だとそういう考えを捨てちゃうし、全部ミニチュアでも割り切りすぎる時があるじゃないですか。だから時々「今のどうやって撮影したの?」って絵を入れ込む。全部やろうとすると合成カット数がパンクしちゃうので、決めカットだけはさみこむことで、観ているお客さんを楽しませるというか、油断できなくさせるんじゃないかと。

氷川 やはり田口特撮的な急所は、そういうところですか。

田口 わりと意識してやってますね。合成カット数も決まっているので、その配分とか。視点も。基本は人間目線でいながら、時折怪獣の方につけてみるとか。ウルトラマンは喋るわけじゃないから、ある程度感情を見せないといけなくて。すると目線に入らないとダメな時ってあるんです。川北紘一監督(ウルトラマンシリーズにて特撮監督デビューしたのち、ゴジラVSシリーズやモスラシリーズなどの人気作を手がけた特技監督)はVSゴジラシリーズでよくそれをやってるんですよ。昔は神の目線とかいって、巨大なゴジラとかの正面に入るアングルは否定する考え方に僕はいたんです。でも平成ガメラシリーズの樋口真嗣監督(特撮作品はもちろん、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』などのアニメ作品への参加や、『ローレライ』などの実写作品も監督する。ゴジラシリーズ最新作『シン・ゴジラ』では監督・特技監督を務める)ですら、ガメラの表情を見せなきゃいけない時は顔の寄ヨリがある。僕は、樋口監督のリアリティだったり、どうやって撮ったんだろうという特撮テイストが好きですが、ビームがビーっ、銀星バーンみたいな、天下の川北監督にもオマージュをささげてるんです。露骨に(笑)。だから僕はハイブリッドに、どっちも好きの、いいとこ取りをしています(笑)。

氷川 今回の映画は大人も子供も楽しめると、評判になりました。

田口 嬉しい評判ですね。両方に楽しんでもらえるように考えて作りましたし。作ってる時に結果的に思ったのが、今自分が大人になってあの頃楽しんでたことって今思い出しても楽しいんで、じゃあ今の僕が見ても楽しめることを、そのままやりきれば子供が観ても楽しめるはずだと。だからあえて小難しい話はやめて、TVシリーズの伏線の回収なんかもしないと(笑)。TVシリーズは最終回で完結したつもりなので。あと、この映画で初めて『X』を観る人の方が多いと踏んだんです。だから、これはもう「ウルトラマンが出る怪獣映画です」くらいの気持ちで作ろうとスタッフにも伝えたんです。

斬新な設定に壮大な物語の中、自由な発想で遊び尽くす!

氷川 TVの新作『ウルトラマンオーブ』ではウルトラマンたちの力を使ってフュージョン変身すると発表されました。

田口 『X』とは大きく世界観が変わるので、だったらとことん遊ぼうと。『X』で遊び回代表と名高い中野貴雄さんをメインライターに激プッシュして口説いて。「斜め下から撃つのが好きな2人で組もう!」って。ウルトラマンの合体とかを納得させるには自由な発想で遊んでしまおうと。ところが色んな設定も含めて組んでいったら、かなり大真面目な話が出来上がりまして(笑)。ウルトラマン2体が合体するってことは、内面はどうなってるのか?と。なんで2体の力を使わないとウルトラマンになれないのか?など、整合性を持たせるようにしたんですよ。そうしたら意外と壮大なストーリーになって、これは面白いやと。凝り固まった話にせずに肩の力を抜いて観られるんだけど、実は話の筋はちゃんと通ってる。最初のスタッフ会議でも「思いついた面白いことはとにかくやってください」と皆さんに伝えて(笑)。今年は遊びましょう!と(笑)。それが新しい発展になればいいなと思います。

PROFILE

田口清隆(たぐちきよたか)
2009年に樋口真嗣の製作総指揮のもと『長髪大怪獣ゲハラ』を監督。その後、映画『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』のエピソード0、9、10やTV『ウルトラゾーン』『ウルトラマンギンガS』の各話監督で活躍。『ウルトラマンX』で初のメイン監督および劇場版監督に。

PROFILE

氷川竜介(ひかわりゅうすけ)
1958年、兵庫県生まれ。特撮・アニメ研究家。明治大学大学院客員教授。テレビ番組『BSアニメ夜話』の「アニメマエストロ」コーナーやバンダイチャンネルの「クリエイターズセレクション」などで有名。


<Blu-ray&DVD発売情報>
劇場版ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン
2016年7月22日発売
Blu-rayメモリアルBOX(初回限定生産):¥6,800(税抜)
Blu-ray:¥4,800(税抜)
DVD:¥3,800(税抜)


<Blu-ray BOX発売情報>
ウルトラマンオーブ Blu-ray BOX I
2016年11月25日発売
¥22,000(税抜)
※Blu-ray BOX IIは2017年2月24日リリース


<放送情報>
ウルトラマンオーブ
2016年7月9日より毎週土曜あさ9時〜テレビ東京系にて放送中!

劇場版ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン 公式サイト

ウルトラマンオーブ 公式サイト

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