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大ヒット劇場公開作品『劇場版ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン』田口清隆監督×氷川竜介対談・前編全文掲載

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ウルトラマン放送開始50年の節目となる2016年。3月12日より全国各地の劇場にて公開され、迫力の怪獣バトルと緻密な特撮映像で大ヒットを記録した映画最新作『劇場版ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン』と、7月9日より放送がスタートしたTVシリーズ最新作『ウルトラマンオーブ』の両作で、メイン監督を務めた田口清隆監督。そんな日本特撮界の次代を担う田口清隆監督と、特撮研究家・氷川竜介氏との対談が遂に実現。そこで今回は、特撮ファン注目の対談の模様を、前編・後編に別けてお届けします!
※青字部分のインタビューはV-STORAGE online限定の記事です。

複数のテーマをすべて入れ込んだ監督渾身作!

氷川 田口さんにとっての劇場版監督デビューですか?

田口 いわゆる劇場公開映画として初ではないんですけど、特撮映画としてはこれがデビューですね。短編とかはあるし、劇映画と言っても『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』は2人1組だしで。長編で「監督・田口清隆」って僕の名前だけが書いてある劇映画は初でしたね。

氷川 素晴らしいじゃないですか、「ウルトラマン50周年」のこのタイミングで。


田口 今回のサブタイトル(『〜きたぞ!われらのウルトラマン』)も初代のまんまですしね(笑)。これも最初『〜ラストミッション』っていうサブタイトルで、それが某図書館映画と被ってることが発覚して(笑)。次に『〜ファイナルユナイト』になったんですけど、それじゃ弱いと。結局、劇中で「きたぞ!われらのウルトラマン」セリフがあって、これは僕が思いついて書き足してもらったセリフだったんですけど。それがそのままサブタイトルになっちゃったんです。

氷川 (共演)ヒーローのセレクションは決まっていたんですか。

田口 初代ウルトラマン(以下:初マン)とウルトラマンティガ(以下:ティガ)っていうのは決まってましたね。(初マンの)50周年と(ティガの)20周年ということで。そういう意味では、僕が一番好きなウルトラマンは初マンで、リアルタイムで見た初の国産ウルトラマンはティガだったので。

氷川 ティガ世代だったんですね。

田口 そうですね。正確なリアルタイム世代を言うとウルトラマングレートだったんですけど(笑)。国産リアルタイムといえばティガで。80年代生まれではあるもののウルトラマン80にはギリギリ間に合ってなくて。物ごころがまだついてなかったもので。なので今回は好きなウルトラマンを2体とも出せたというところですね。ほかの作品からの客演は正直苦手意識があるんですけど「初マンとティガならやれる!」と思って。思い入れが強いんで。

氷川 初マンが一番好きな理由って何ですか?

田口 初マンだけ宇宙人感、強いじゃないですか。それこそ(マスクも)Aタイプ(第1話〜第13話で使用。表面に凹凸が多く皮膚っぽい)が好きだったりするんで。“ウルトラマン星人”だったわけですよ。どうしてもヒーローより怪獣とか宇宙人に愛着を持っちゃうもので。

氷川 異形のものが好きなんでしょうか?

田口 そういう意味では初マンっていわゆる異形のものじゃないですか。

氷川 それが段々と地球になじんでくる感じで。

田口 ええ。(マスクも)Bタイプ(第14話〜第29話で使用。表面が滑らかで硬質な印象)からヒーローっぽくなりますけど。最初はハヤタ隊員が乗っ取られて変身するって言っても過言ではないじゃないですか。

氷川 目の光った釣り目の恐い宇宙人に(笑)。

田口 まさに怪しい宇宙人ですからね(笑)。子供の頃の原体験が、『ティガ』を観る前の『ウルトラQ』と『ウルトラマン』『ウルトラセブン』なんです。夜更かしして観てたんですよ。2本セットで再放送してたのかな?

氷川  それは『泉麻人のウルトラ倶楽部』(1987年にTBS深夜帯で放送された『ウルトラQ』『ウルトラセブン』の再放送番組。泉氏のマニアックな解説で話題に)かも知れませんね。

田口 夜中に頑張って起きて『ウルトラQ』を観ると、白黒の放送で怪しいんですよね。子供には『ウルトラQ』って正直しんどいじゃないですか。でもそこを乗り越えるとウルトラマンやウルトラセブン(以下:セブン)が出て来てくれるみたいな。初マンも子供の頃に観てて、この3作がいまだに好きで、いわゆる原理主義なんですよね。高校生になる頃には『セブン』を観まくって、実相寺昭雄監督にかぶれまして(笑)。高校の時の自主制作映画は、実相寺アングルしかないぞ、ぐらいの。モノなめから、隙間から、絶対普通のアングルなんて撮らないぞっていう。広角レンズはなかったので、とにかく寄るとか、斜めにして端に置くみたいな。個々のセリフはしょうもないのに(笑)。あの頃に真似しつくしたから、今はそうでもないと思うんですけどね。スタンリー・キューブリック監督と実相寺監督に同時にかぶれたので、シンメトリーだとか、真っ白な部屋に赤い椅子だけを並べるとかはまっちゃって(笑)。どこか2人には通ずるところがあるんじゃないかなって。画の切り取り方とか。

氷川 『ティガ』はだいぶ大人になってから観られたのでしょうか?

田口 高校生の頃ですね。実相寺監督にハマってる頃に『ティガ』で監督回が放送されたんですよ。(第37話)『花』っていう回なんですけど。自主制作映画の友人たちと観ていて、途中で歌舞伎みたいになっちゃうところでみんな大爆笑で(笑)。「うおおおお! すげえええ!」って。馬鹿にするとかじゃなくて、嬉しくて。この人やっぱりすげえやって(笑)。『ティガ』は今観てもいいなって思いますよね。久しぶりに立ち上げられたウルトラマンシリーズとして熱気もこもってますし。で、『ウルトラマンX(以下:X)』のメイン監督をやるってことは、僕がそういう方向性を決定づける役割になるじゃないですか。それに対するプレッシャーはかなりありましたね。

氷川 田口監督にとって初の劇場作品ですが、どういった点を意識されましたか。

田口 僕は(『X』では)Xioをなるべくリアリティのある防衛隊にしたかったので、自衛隊の方に来てもらって敬礼から所作の指導をしてもらいました。オーディションにも最初から参加できて。そんなTVシリーズからの総決算が劇場版でしたね。戦闘機と車両の、いわゆるマスケッティといわれる合体メカは3種類あるんですけど、TV版では1つずつしか出せなかったのを劇場版ではあれから半年後っていう設定で全部並ばせて、ウルトラマンが3体いて、怪獣も3体だったんで「いいぞ、これは。3対3対3だ!」みたいな。一斉に全部の勢力がぶつかるのをやりたいと思って、最後の総力戦をわざわざ騎馬戦のように並べてドーンみたいなことをさせたんです。それと僕、戦車も大好きで。今までの防衛隊には戦車はあまり多くないじゃないですか。ドリルみたいなのはあっても、いわゆる大砲だけを積んでるみたいな。そういう意味で劇場版ではランドマスケッティを活躍させたいと思って。結局あまり活躍できなかったんだけど(笑)。ほんとはもっと戦車が出るシーンをやりたかったですね。

氷川 (TV版の)怪獣3体の選定も最初から決まっていたのですか?

田口 最初は5体だったんです。ザイゴーグにゴーグアントラーにゴーグファイヤーゴルザ。そこにゴーグドラコとゴーグシルバゴンもいたんですよ。(ツルギデマーガのように)各地に現れる設定で、机の上にスパークドールズを置いて、こいつらはここに出て、こいつらはここに…ってやってる段階で「多いな…」ってなってきて(笑)。シルバゴンが削られ、ドラコはスカイタイプのティガと空中戦をさせたかったんですけど、「(ドラコも削って)アントラー飛ばさない?」っていう話になって(笑)。

氷川  それで飛んだわけですね(笑)。あそこは燃えました。

田口 「飛ぶよね絶対。背中に羽っぽいのあるもん!」って(笑)。「この羽、きっと開くよ」って。「どうみてもアリジゴクじゃない、クワガタだ!」って(笑)。それで3体になったら、しっくりきたんですよ。ど真ん中に(劇場版で初登場の)ボス怪獣ザイゴーグがいて、アントラーとゴルザっていう、それぞれのウルトラマンの代表的な怪獣という構図が。それに“ゴーグ”っていう地獄のゾンビ的な名前をつけて、閻魔様と赤鬼、青鬼なんだと。ツルギデマーガは各国でその他のウルトラマンたちと戦って。ちなみにゴルザは、脚本の中野貴雄さんから“球”にするアイデアが出て。中に人が入らない状態で着ぐるみを丸めたら“球ゴルザ”みたいになって、これはいけるぞと。アントラーの飛び人形も、着ぐるみで羽を作ったら大変だからって飛び人形サイズのものだけ羽を作ってもらったんですよ。そしたら造形部さんが頑張ってくれて、着ぐるみの方でも撃墜後のアントラーに羽を作ってくれたんですよ。だから撃墜後は破れた羽をペロンと出してブラブラしながら戦ってるんです。TVシリーズの『X』ではバードンの首が回ったり、テレスドンがドリル形態になったり、お馴染みの怪獣に1つ手を加えるというのがテーマの1つにあったんです。ゴメスに火を吐かせたのは反則だったかもしれないですけど(笑)。なので(劇場版で)ゴルザを丸めて、アントラーを飛ばせたっていうのは楽しかったですね。

氷川 物語にもアントラー登場回、「ノアの神」のネタが入ってました。

田口 はい。序盤で遺跡のところにいきなりザイゴーグが出てきますけど、最初はアントラーの予定で、磁力光線でエクスデバイザーが壊れちゃうって話だったんですけど。怪獣が5体だった頃の話ですね。少しずつ怪獣を出そうと思ってたんですけど、話がややこしくなっちゃうから、逆に最初からラスボスをドドーンと出そうと。今回、僕の中のテーマの一つに、王道怪獣映画にしたいっていうのがあって。最近の作品って中ボス級怪獣が出てから大ボスが出てくるってパターンがわりと多いんですけど、僕が好きな怪獣映画ってモスラとかキングコングみたいな、魅力的なボス怪獣を作ってそいつを倒すためだけの話なんです。今回はそれくらい魅力的なボス怪獣を作っちゃえと。で、いきなりウルトラマンを変身不能になるくらいボッコボコにしちゃえばいいんじゃないかなと思って。それでアントラーをやめて、物語の最初からボス怪獣のザイゴーグを出すようにしたんです。でもあの怪獣、拳と口火しか武器がないんですよ(笑)。近づいたらぶん殴られ、離れたら火を噴かれる。背中は針だらけだから後ろからは攻められないし、強いじゃんこいつ!みたいな怪獣を作って。しかも、よく見たらそれぞれのアイテムが昭和の怪獣に似ているんですよ。ネロンガの頭、バルタンの目、胸にグリーンモンスが付いてて、レッドキングのひだ、尻尾はスフラン。背中はバラン。胸を開いたらビオランテで(笑)。そこから飛び出すのもスフランみたいな触手。僕、スフランがすごい好きで、子供の頃はツタを見つけたら、ここぞとばかりに自分からツタに巻かれて「あぁぁぁぁぁ!!」って(笑)。「今助けるぞ!」みたいな定番中の定番で遊んでたほどで(笑)。

対談後編へと続く(後編は7月21日UP予定。お楽しみに!)
PROFILE

田口清隆(たぐちきよたか)
2009年に樋口真嗣の製作総指揮のもと『長髪大怪獣ゲハラ』を監督。その後、映画『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』のエピソード0、9、10やTV『ウルトラゾーン』『ウルトラマンギンガS』の各話監督で活躍。『ウルトラマンX』で初のメイン監督および劇場版監督に。

PROFILE

氷川竜介(ひかわりゅうすけ)
1958年、兵庫県生まれ。特撮・アニメ研究家。明治大学大学院客員教授。テレビ番組『BSアニメ夜話』の「アニメマエストロ」コーナーやバンダイチャンネルの「クリエイターズセレクション」などで有名。


<Blu-ray&DVD発売情報>
劇場版ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン
2016年7月22日発売
Blu-rayメモリアルBOX(初回限定生産):¥6,800(税抜)
Blu-ray:¥4,800(税抜)
DVD:¥3,800(税抜)


<Blu-ray BOX発売情報>
ウルトラマンオーブ Blu-ray BOX I
2016年11月25日発売
¥22,000(税抜)
※Blu-ray BOX IIは2017年2月24日リリース


<放送情報>
ウルトラマンオーブ
2016年7月9日より毎週土曜あさ9時〜テレビ東京系にて放送中!

劇場版ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン 公式サイト

ウルトラマンオーブ 公式サイト

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