インタビューココだけ | 田中くんはいつもけだるげ

大人気TVアニメ『田中くんはいつもけだるげ』小野賢章×細谷佳正キャストインタビュー全文掲載

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

シリーズ累計150万部突破、スクウェア・エニックスのWEB雑誌「ガンガンONLINE」連載中の大人気コミックが原作のTVアニメ『田中くんはいつもけだるげ』。どんな手を使ってもダラダラしたいダラ活男子・田中のけだるい日常を描くインセンシティブ青春コメディが、原作・ウダノゾミ描き下ろしマンガ収録スペシャルブックレットなど豪華特典を満載したBlu-ray&DVDで登場! そこで今回は、主人公の田中を演じる小野賢章さんと、そんな田中をオカンのように優しく見守る太田を演じる細谷佳正さんにインタビューを敢行。二人が語る作品の魅力とは?

作品のタイトルにもなっている「けだるげ」をどう表現するか悩んだ

──まず最初に、ご自身が演じているキャラクターの魅力を教えてください。

小野 力が入り過ぎていないというか、頑張り過ぎないところが田中の魅力だと思います。

細谷 太田は基本見守る人なんですが、彼の魅力は相手の個性を尊重できるところですね。

──演じているキャラクターと似ている部分、似ていない部分をそれぞれ教えてください。

小野 似ている部分でいうと、どんな場所でもすぐに眠れるところですね。自分でも凄いなと思ったのは、本番中の舞台の袖で寝てしまったことですね(笑)。一瞬気を失って、ふと目が覚めて、何事もなかったかのようにそのまま舞台に出て行ったことがあります(笑)。あと、少しでも休む時間を作るために頑張ったりだとか、ダラダラするために頑張るところはちょっと似ているかもしれないですね。似ていない部分でいうと、あそこまで他人に迷惑は掛けないですね。迷惑というと少し語弊があるかもしれませんが、自分でやるのが面倒だからといって、他の人にやってもらうということはないですね。太田のように、あそこまで面倒を見てあげたくなってしまう何かが田中にはあるんですかね(笑)。

細谷 似ている部分は正直あまりなくて、甘いものが好きなところと声くらいです(笑)。ファンの方から頂く手紙の中で「太田が母親っぽい」と書かれていることがすごく多くて、相手に対して自分の意見を押し付けないというか、相手の個性に逆らわず見守っているというか、そういう部分は自分と少し似ているかもしれないですね。でも、僕は世話焼きではないので、そこは似ていないなと思いました。

──キャラクターを演じる上で意識していることは何かありますか?

小野 作品のタイトルにもなっている「けだるげ」をどう表現するのかっていうのは、オーディションを受けさせて頂く段階から悩んでいて、何となくのイメージではゆっくりと、ダラ〜っと喋るのがそれっぽいのかなって最初は思っていたんです。でも、それだけだと本当にダルくなってしまい、観ている方も辛くなるんじゃないかなって。なので、普通のテンポで喋っている中で、如何にけだるく聞こえるように喋るかっていうことを自分なりに意識してやっています。あと、田中の演技の振り幅って結構シビアなところがあって、テストの時はある程度、自分が思っているように演じさせて頂いて、本番の時に調整するという感じでやらせてもらっています。

細谷 太田は相手役の田中あってのところがあるので、自分でこう演じてみようと意識したことは特にないですね。周りの役者さんの演技を受けて、その流れで演じることが多いです。プランを立て過ぎてしまうと、そこが変な基準になってしまいそうで、あえて考え過ぎないようにしています。セリフの意味はもちろん分かっているんですけど、それを分かった上で演じてしまうと、セリフの意味を言っているみたいな感じになってしまうので、条件反射でセリフが言えるくらいまで何も考えずにやるってことを自分の中では心掛けています。ただ、そうは言っても長いセリフも多いので、その時は難しいんですけど、太田はどちらかというと自分から何かを発信するタイプの役ではなく受け身の役なので、それこそ田中がどう言うのか、宮野や白石がどう言うのか、そういうことに意識を集中してアフレコには臨んでいます。自分がこうしようとか、あまり欲張らないようにしています。ただ最近、アフレコの収録が進んでいく中で、ちょっと年老いた喋り方をしてみたら面白いかなとは思っています(笑)。それは別にお爺さんっぽくってことじゃなく、物事を達観しているような感じを太田で出せれば面白いのかなと。

収録ではテストの時にアドリブを入れてガンガン攻めています

──ご自身が演じているキャラクター以外に、気になるキャラクターがいたら教えてください。

細谷 僕は太田の妹の早夜ですね。この作品の世界観の中で、彼女だけ浮いているんです。なぜ太田に、こんな可愛い普通の妹がいるんだろう?って。だから逆に気になってしまうんです(笑)。違う番組から来たのかな?みたいな雰囲気があって新鮮なんですよね。

小野 僕は第九話に登場するワックの店員さんの西園寺さんですね。ぜひ彼女には今後もちょくちょく登場してもらって、田中たちにあまり関わってない一般の人から見た田中像や太田像を語ってもらうという担当になって欲しいですね。

──アフレコ現場での印象的なエピソードなどはありますか?

小野 エピソードとかではないですけど、この作品ってセリフがナチュラルな会話で淡々と進行していくところが多いので、盛り上がりポイントみたいなものを作るのが難しいんです。でもその分、収録ではテストの時にアドリブを入れてガンガン攻めています。

細谷 アドリブを入れた時は、やった瞬間に「勝ったな」と思う時と「負けたな」と思う時の分かり方が早いんです。例えば「これは今、絶対にスベっているな」とか(笑)。覚えているのでは、第一話で田中の体操服を脱がすのを手伝うシーンがあって、太田が「頑張れ」って言うんですけど、あれって実はアドリブなんです。それがスタッフさんや出演者に受けたものだから僕も気に入ってしまい、それから「頑張れ」を使い過ぎて飽きられるということはありましたね(笑)。

小野 僕が最近「勝ったな」と思ったアドリブは、第九話の音を立てて勢いよく吸いまくるストローのシーンですね。

細谷 あれは勝ってたね(笑)。スタッフさんも「本番でもその感じでお願いします」って言ってたし…。

小野 音響監督の亀山(俊樹)さんが「あれ良いね。すごく印象に残るんだよ」って褒めてくださって、あのアドリブは自分の中で「勝ったな」って思いましたね。でも、これで第九話の放送を観て、そのシーンがカットされていたら本当にガッカリですけどね(笑)。

細谷 大人って「嘘つきだ!」ってなるよね(笑)。

小野 実はあの演技、前日から秘かに練習していたんです。自分的にはかなり頑張ったシーンなので、ぜひ放送で使って欲しいですね(笑)。

──川面真也監督とのやりとりで印象に残っていることは何ですか?

細谷 2月生まれのキャストの誕生日を祝って頂いた時に、川面監督がバースデーケーキを持ってスタジオの中に入ってこられたんです。これは僕の勝手な印象なんですけど、監督は田中みたいなけだるい雰囲気を醸し出している方なんです(笑)。そんな感じなので、スタジオ内には変な空気が流れていて、みんなその場の雰囲気を察して今いる場所から動けないんです。トイレ休憩中の方がやっと戻ってきて、いざ誕生日おめでとうってなった時に、監督がローソクの火をご自分で「フゥー」って消したんです。そんな中、音響監督の亀山さんが「はい、収録始めま〜す」と言って、何もなかったかのように収録が始まったので全く休憩にならなかったんですけど、とてもシュールで面白くて(笑)、あれは印象に残っています。

小野 どこの駅だったかは忘れてしまったんですけど、川面監督と駅で偶然バッタリ会って、僕から声を掛けたら「オッ!」って今まで聞いたことがないくらいの大きな声でビックリされて。その時の監督の表情とリアクションが面白くて今でも印象に残っています(笑)。

僕の勝手な印象なんですけど、太田は話数によって立ち位置が変わるんです

──これまで放送された話数の中で、一番印象に残っている話数を教えてください。

細谷 僕は第七話が印象に残っています。田中の妹の莉乃が初めて登場する回ですね。これは太田を演じている僕の勝手な印象なんですけど、太田は話数によって立ち位置が変わっているように感じていて、第七話の時はラブコメしていた気がするんです。これはあくまで僕の感覚なんですけど、僕の頭の中では莉乃とラブコメしていましたね(笑)。太田が莉乃に向かって「コーヒーうまかったぞ!」って言うんですけど、あのセリフの時はラブコメの主人公になったつもりで演じていました。

小野 なるほど、深いですね(笑)。

細谷 あのシーンは太田が主人公になったつもりで演じていたので、すごく印象に残っています。

小野 僕も莉乃の初登場のシーンは印象に残っています。莉乃役の悠木(碧)さんが僕の芝居に寄せてきてくださって、本当にありがたいことなんですけど、僕がそれに飲まれてしまい、逆に調子が狂ってしまうというか、自分のペースが分からなくなってしまったんです。その時、初めて同じような喋り方のキャラが二人出てくると難しいんだなってことに初めて気づき、軽くパニックになっていましたね(笑)。でも、どちらかというと話数で覚えているというよりは「ここのセリフ、最高だったな」っていう印象の方が、この作品に関しては強いかもしれないですね。第二話で田中が出雲大社へ行こうとする件があるんですけど、太田に「場所は分かっているのか」と聞かれ、田中が「鳥取でしょ」って返すんです。それに対し、太田が冷静に「島根だ」って言うシーンがあるんですけど、あれは本当に最高でしたね。あと、第一話での田中が少しキレかけているシーンのセリフも好きですね。

──細谷さんが印象に残っているセリフは?

細谷 第一話で田中と加藤が冷水機で水を飲むシーンがあるんですけど、水を飲みながら喋っていて何を言っているのか分からない加藤に、太田が「飲むか喋るか、どっちかにしろ!」とツッコミ、水が頬に当たって飲めていない田中にも「そこ、口じゃないぞ!」っていう、あの一連のシーンのセリフは何だか印象に残っています。

──本作のアニメーションならではの魅力を教えてください。

小野 これは間違いなく間ですね。自分でコミックとかを読んでいて、間をつけて読むことなんて絶対ないと思うんです。そういう意味でも、間はアニメーションならではの魅力だと思いますね。このシーンにはこういう音楽が合いそうだなとか、そういうのは何となくイメージできると思うんですけど、間だけはコミックを読んでいるだけでは感じることができないものだと思いますし、この『田中くんはいつもけだるげ』は特に間を大切にしている作品なので、余計に間の重要性を感じるのかなって。

細谷 この間に関係するものなんですけど、画面から流れる色んな音も魅力ですね。第一話の冒頭のシーンをご覧頂ければ分かると思うんですけど、間を音楽で埋めてないんです。小鳥のさえずりが聞こえたり、風の音が微かに聞こえたり、誰も何も喋っていない画面なのに、この作品の空気感を見事に表現しているんです。あと、エンディング映像で田中が寝ている草原の草がリアル過ぎて、個人的には非常に面白くてツボにはまリましたね(笑)。

今後はハリウッドではなくフランスのパリを目指そうと思います(笑)

──第七話で田中の妹である莉乃が、第九話で太田の妹である早夜が初めて登場しましたが、小野さんは莉乃へ、細谷さんは早夜へ一言メッセージをお願いします。

小野 「いつもありがとう」。この一言で全て伝わるんじゃないかと思います(笑)。

細谷 「初めて早夜の声を聴いた時、僕は番組が変わったのかと思いました」。これでお願いします。本当に早夜は良い子で、太田と二人で帰る時も良い感じで、兄妹同士でしたけど、あそこも僕的にはラブコメが入っていて番組が変わった感じがありましたね。自分でもなぜか良く分からないんですけど、妹キャラが出てくると、僕の中で太田がラブコメ枠に入る気がします(笑)。

──田中は常にけだるい生活を目指していますが、お二人が日常生活を送っていて「けだるい」と感じるのはどんな時ですか?

小野 午後2時〜4時の間ですね。お昼ご飯を食べた後は、どうしてもけだるくなりますよね(笑)。

細谷 僕は物の助けを借りないとけだるくなれないタイプなんです。仕事が終わって家に帰って、明朝早く起きなくても大丈夫な時は風呂上がりにお酒を飲むんですけど、その時はけだるいですね(笑)。もはや自分にも酔っていて、この間はギターを持ち出してきて一人で弾き始めたんですけど、その音色が余計にけだるくさせているんです(笑)。

──最後に、今後の見どころとファンへのメッセージをお願いします。

小野 こういう質問って、普通の作品だと物語が佳境を迎えて彼らの成長を見守ってください的なことが言えるんですけど、この作品に関しては今後の見どころとか質問されるのが一番困ってしまうんです。ただ、どういう終わり方をするのかなっていうのは気になりますね。そうは言っても、たぶんいつも通りに終わっていくと思うんですけど…(笑)。できれば個人的には次に繋がるような雰囲気を漂わせて終わって欲しいですね。例えば、何か事件が起きて、田中が誘拐されて終わるとか(笑)。

細谷 今までずっとイベントなどで「この作品でハリウッドに行く」と言ってきたんですけど、どちらかと言うと、この作品はフランス映画の単館上映のような芸術性の高い高尚な作品だと思っているので、今後はハリウッドではなくフランスのパリを目指そうと思います(笑)。そのためにも最後は、何の説明もなく田中がもう一人出てきて、ナンセンスな会話を繰り広げる中で、二人の田中を目撃した太田が一言「田中…」と言って終わるみたいな終わり方はどうですかね。アーティスティックな作品にもなるし、続きが観たくないですか? そんな訳で、僕はこの作品でパリに行きたいと思いますので、これからも応援宜しくお願いします。

の付いたインタビューはV-STORAGE online限定の記事です。

PROFILE

小野賢章(おのけんしょう)
10月5日生まれ、福岡県出身。アニモプロデュース所属。出演作に『黒子のバスケ』黒子テツヤ役、『遊☆戯☆王ARC-V』榊遊矢役、『エンドライド』浅永瞬役、『文豪ストレイドッグス』芥川龍之介役などがある。俳優として舞台や映画、TVドラマにも出演している。

PROFILE

細谷佳正(ほそやよしまさ)
2月10日生まれ、広島県出身。フリー。出演作に『テニスの王子様』白石蔵ノ介役、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』オルガ・イツカ役などがある。現在はアニメやゲーム作品だけでなく、映画やドラマ、ドキュメンタリー作品の吹き替えでも活躍している。


<Blu-ray&DVD発売情報>
田中くんはいつもけだるげ 第1巻
2016年6月24日発売
Blu-ray特装限定版:¥5,000(税抜)
DVD特装限定版:¥4,000(税抜)

田中くんはいつもけだるげ 公式サイト

続きを読む

関連タグ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

インタビュー

© Bandai Namco Filmworks Inc. All Rights Reserved.