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マクロスシリーズ最新作『マクロスΔ』河森正治スタッフインタビュー

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大ヒット作『マクロスF』から8年、新たなマクロスワールドが誕生する。そこで今回は、マクロスシリーズの生みの親である河森正治総監督に、最新作『マクロスΔ』の魅力について現時点で可能な限りの話を語って頂いた。大きな広がりを見せるマクロスワールドが目指す先にあるものとは?

複数の星をめぐることで広がる物語のスケール感

──今回の舞台は『マクロスF』から続いている時間軸での2067年ですが、時代設定について意図された部分があるんですか?

河森 『マクロスF』からあんまり近い時代だと、『マクロスF』に登場したメンバーたちがすぐに出てくる物語を期待されてしまうところがありますよね。かといってあんまり遠いと、ただでさえ現実のテクノロジーの変化が驚くほど速くなっているので、8年後がギリギリの線かなと。これがスペースオペラ作品だったら気にしないんですが、西暦の世界観における同時間軸上の物語ということで、8年に設定しました。

──『マクロスF』の時とは時間の経過だけではなく舞台そのものが違いますが、キャラクターが地球とは接点のない世界にいて、他の星が出てきて、重要な舞台になるというのは、新しい設定だと思います。

河森 そうですね。『マクロスF』の頃は、自分がもしテレビシリーズに総監督などの立場で入るとしたら、次は絶対に移民船団の話にしようと思っていたので、『マクロスF』では移民船団を舞台にしたんです。ただ、どうしても狭いドームの中という、限界が多いステージでしたので、今回は戦闘機がより自由に飛べる大気圏内を中心にしようと考えました。ただ、中心にすると言っても、一個の星だけを舞台にするとスケール感が出ないので、あちこちに移民している前提です。今回はいくつかの星々が舞台になっていて、それぞれの星で独自の文化が創られつつある時代、という感覚で描いています。

──舞台が多くなったことで表現の自由度も高くなりましたか?

河森 はい。『マクロス』の世界観には、(地球歴でいう)紀元前50万年ほど前にプロトカルチャーという巨大な銀河文明を持った種族の存在があって、彼らが銀河系の各地の惑星を訪れ、その先住種族に遺伝操作をして、自分たちの遺伝子に近いものを入れて人類を作っていったという歴史設定があるんです。ですので、あまり突拍子もない異星人が出てくるわけではなく、一応交配可能な人類たちがいる世界。実写やCG だとまだいいのですが、手描きアニメーションの場合、あまり人類の形から外れると嘘くさくなってしまうのが嫌で、一応交配可能な共通の遺伝子を持っている設定なんです。ただし星独自の特徴を持った人がいるような世界にはしておいて、移民船団を使わないでも宇宙規模のスケール感を表現できるようにしようと。星々のイメージコンセプトは、『バスカッシュ!』の頃から一緒に組んでいるロマン・トマさんを中心にお願いして、ユニークで魅力的な世界を構築しています。

──『マクロス』シリーズの代名詞はバルキリーだと思いますが、今回、敵と味方のバルキリーについて、それぞれデザイン部分で変化を出すために苦労された部分はどこですか?

河森 自分としては、VF-1バルキリーの時点で、基本的なデザインは完成しているんです。その中で、毎回新たにデザインできる場所はどこかと考えるんですが、結局、変形機構を変えるというところに行き着くんですよ。変形機構が同じであれば、デザインではなくスタイリングなので、前と違う変形機構を考えることを枷にしています。変形機構が完全に変われば、VFナンバーをなるべく変えます。今回は、ゲームのYF-30をベースに発展させた量産機を作ったらどうなるんだろうというところから発想して、モデルを改造して図面を引き直したり組み直したりしたVF-31が登場します。ただ、VF-31はYF-30の発展形として作るので、一方でもっと根本を変えた機体も作りたかったんですよ。そこで、今までやってこなかったデルタ翼機を作ろうと思ったんです。VF-0の時に通常の機体を改造してデルタ翼機にしたこともあるんですが、最初からデルタ翼機として設計する機体はあまりトライしたことがありませんでした。そこで、現実の航空機をモチーフにすることを考えた時に、昔大好きだったスウェーデン軍の戦闘機「サーブ35ドラケン」のダブルデルタ翼を取り入れることにしたんです。機体のカラーリングやマーキングは、『マクロス ゼロ』『マクロスF』に続いて天神英貴さんに協力していただいていて、今までのシリーズとも一味違った感じになっていると思います。

複数の三角形が潜む新作…シリーズ最大のスケール感

──キャラクター全体に求めたのは、どんなものでしょうか。

河森 ひと目で「この作品のキャラクター」とわかる強さと華があって、尚且つオーバーディテールにならないこと。キャラクター原案の実田千聖さん(CAPCOM)をはじめ、キャラクターデザイン/総作画監督のまじろさん、進藤優さんはとても素敵なキャラを生み出してくれていると思います。今の時代、あまりくどい絵が求められていない感触もあり、また、人数が増えていくなかで、おなかいっぱいにならないように気をつけました。

──それはユニットとしての描写も増えるからですか?

河森 最初の『マクロス』だったらミンメイ1人を描いていればよかったんですが、『マクロスF』では2人が歌い始める。どんどんワンカットのハードルが上がるわけですよ。今回は5人となり、それだけの人数が動いた時の絵の密度感などを考慮しています。全員が動いた時にちょっとうるさいなとか。その辺のバランスは難しいんですが…。

──三角関係の描写に関しても本作ならではのこだわりはありますか?

河森 今回は、たくさんのキャラクターが登場するので、チームや仲間といった要素は意識しています。かといってベタベタにそこを描くという訳ではなく、意識はしつつ、三角関係も恋愛だけではない、友情や様々な要素を盛り込んだ描き方になると思います。このあたりは、共同で監督してくださる安田賢司さんや、シリーズ構成/脚本の根元歳三さんたちと、チームを組んで面白さを追求しているところですね。

──様々な三角関係にデルタ翼の三角も重ねられたのですね。

河森 そうですね、さらにタイトルの『Δ(デルタ)』とも重ねています。実は、いつも新作を作るたびに、可変戦闘機×歌×三角関係のどれかひとつを外して、テーマを絞り込みたいと提案するのですが、いつも却下されていて…。なので今回は三本柱を忘れずにという自戒も込めてのΔです(笑)。

──タイトル、人間関係、メカ設定。それぞれを象徴する三角形。それは舞台設定にも関連しますか?

河森 そうですね。たくさんの三角関係があるといった言い方ができますね。

──マクロスシリーズにおける三角形の集大成。ある種象徴的な作品になるのでしょうか?

河森 そう言えるでしょうね。三角形は意識してないとバラバラになってしまいます。テレビシリーズの『超時空要塞マクロス』と劇場版の『愛・おぼえていますか』の2つをあわせて現代風にしているのが『マクロスF』だとすれば、ある意味『マクロスプラス』と『マクロス7』のまったく異質な2つをあわせて現代風にしているのが『マクロスΔ』とも言えますね。かけ離れたものをひとつにしようとしているような部分があります。あるところは『プラス』、あるところは『7』と表現できるくらい変化の幅が激しい作品ですね。マクロスワールドを広げた中のコアな部分の要素を描いた作品を『マクロスF』だとすると、マクロスワールドを広げた一番辺境の辺りをあわせて作ろうとしているのが『マクロスΔ』。そういう世界の広さがありますね。マクロスワールドの広さをすべて使って描くつもりでいます。

PROFILE

河森正治(かわもりしょうじ)
2月20日、富山県生まれ。サテライト所属。ロボットアニメのメカデザイナーを経て'82年『超時空要塞マクロス』で主役メカ、バルキリーをデザインし脚光を浴びる。'84年に同作の劇場版で監督デビュー。以降『マクロス』シリーズや『アクエリオン』シリーズなどを世に送り出す。

<放送情報>
特番「マクロスΔ」先取りスペシャル
2015年12月31日(木)18時〜TOKYO MX、BS11にて放送!

劇場版マクロスF〜イツワリノウタヒメ〜
2015年12月29日(火)18時〜TOKYO MXにて放送!

劇場版マクロスF〜サヨナラノツバサ〜
2015年12月30日(水)18時〜TOKYO MXにて放送!

マクロスポータルサイト

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