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ガンダムTVシリーズ最新作『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』海老川兼武スタッフインタビュー

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毎週日曜午後5時〜MBS/TBS系列全国28局ネットにて放送中のガンダムTVシリーズ最新作『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のBlu-ray&DVDが12月24日に発売されることを記念して、スタッフ&キャストにインタビューを敢行。鷲尾さんに続いて、本作でガンダムとザクのような関係性を受け継ぐ敵側のモビルスーツであるグレイズのデザインを担当した海老川兼武さんが登場。主役メカとは違うアプローチの仕方などについて話を伺った。

今までのガンダムとは違う重く硬く激突するメカたち

──グレイズは普通の敵メカというより、素体的なイメージですね。

海老川 監督のオーダーだったんです。鷲尾さんの描かれるガンダム・バルバトスは300 年前の世界、グレイズはこの世界の最新型なので、誰もが最新鋭機だとわかるくらいオーソドックスな感じをと。

──バルバトスの対ということですね。

海老川 ガンダムの対と言えば誰もがザクを思い浮かべると思うんですけど、『鉄血』においても、そういう縮図ができるといいなとは思いました。

──ザクとは違いますが、モノアイもありますし。

海老川 凛々しい出で立ちなんだけど、実は中には不気味な目が入ってるというギャップを狙った演出で、フェイスオープンのギミックは私から提案させてもらいました。グレイズにも専用の基本フレームが採用されているので、どうせだったら中のフレームも生かした演出ができないかなと思って。

──第1話ではバルバトスにつぶされてガバッと開いてましたね。

海老川 私のイメージは索敵だったんです。戦場に来て、最初に索敵をして、閉じてから戦闘開始という感じで。でも演出でいろいろ面白い使われ方をしてくださっていて。一番びっくりしたのは叩かれた時に、なんだか口開けて叫んでるような演出だなと。

──グレイズが武装しているオノは、やはりザクから?

海老川 はい。これは監督のオーダーだったと思います。ザクのヒートホークへのオマージュですね。硬いモビルスーツを粉砕する兵器なので、あまりやわらかいとね。痛そうというか、強そうというか、重そうっていうイメージですね。切るんじゃなくって叩き潰す。そのへんは監督が最初からイメージされていましたね。モビルスーツの肉弾戦というか、鉄と鉄のぶつかり合いみたいなコンセプトで。だから「こいつもヒートホークにします? 発熱させて溶かしながら切るっていうやつにしますか?」って言ったら、(監督が)「いやここは鈍器で」って(笑)。

──第1話でも、小さなモビルワーカーから見たグレイズは、ある種、恐怖の対象として存在していたように思いました。

海老川 劇中のセリフにもありましたが、絶対にモビルワーカーでは勝てないでしょうし。そういう縮図というか対比が第1話からすごく描かれていましたね。

デザインラインは意識して変え、ディテールでよりスタイリッシュ感を出した

──グレイズの肩のパーツがバルバトスに流用されていく展開は意識されていましたか?

海老川 グレイズの肩に関しては意識してなかったんですよね。打合せしている中で、どっかのパーツ取ろうか?みたいな話をしていて「どこが使える?」って。「じゃ、肩にしますか」と。でも最初に鷲尾さんが描かれてたのはグレイズの肩を普通の状態で付けたデザインだったんですよ。でも「これ逆さまの方がよくないですか?」と話して。なのでバルバトスに付けるからと言ってガンダムっぽい感じのデザインにはしなかったですね。最初からバルバトスに付ける想定でデザインしていくと、決定稿のような異形感がなくなってたと思うので、そのへんは狙い通りになってるんじゃないかなと。

──グレイズのフレームはガンダム・フレームとの違いを意識しましたか?

海老川 ぱっと見のデザインラインを意識して変えました。ディテールでよりスタイリッシュ感を出したいなと。フレームのコードやケーブルに違いを出しました。300 年前のガンダム・フレームではケーブルがむき出しですが、こっちは最新型ですからフレーム内にケーブルを内蔵したデザインになっているとか。

──複数のデザイナーがそれぞれのカテゴリーをデザインされていますね。

海老川 みなさん個性が強いので毎回刺激を受けますし、鷲尾さんと寺岡さんは『機動戦士ガンダム00』の時から一緒にやっていますが、篠原さんや形部さんとは今回初めて組ませていただいて、面白いアイデアを出される方々だなと。篠原さんは特撮方面でも活躍されている方なので、デザインがアニメの人とは違う形の抑え方をされますし、形部さんはインパクトでデザインを見せる方だなと。そのあたりは自分とは違うアプローチなのですごく刺激になります。多種多様のデザインが揃うと作品の世界観が広がって面白いですね。

──オーソドックスな機体であるため、メカデザインとしての個性を出しづらかったりすることはあるんですか?

海老川 オーソドックスだから個性が消えちゃうっていうのはあんまりないと思います。作り手も視聴者も安定したデザインのほうが安心するんですよね。余り奇抜になりすぎると拒絶反応を起こしてしまう。安心と奇抜の絶妙なバランスが新しいオーソドックスの落とし所だと思っています。言うは易しなんですけどね(笑)

他のガンダムシリーズ同様、『鉄血』にも代表するシーンができた

──デザイナーとしてここは見てほしいという部分は?

海老川 これからまだまだ新メカもいっぱい出てくるので、お話だけでなくメカも注目して見ていただきたいです。設定にもいろんな要素を組み込んでいるんで、プラモデルではどのようになっているのかを期待して見ていただけると、楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。メカ的な視点から見ても楽しめる作品だと思うので、とにかく楽しみにしてください。

──武器も鈍器系が多いので、ある種バリエーションはつけやすかったりします?

海老川 そうとばかりは言えないですけどね。鈍器もだんだんネタが限られてくるし、「次はどうしようか?」ってなっていますね。斧はやったし、トンカチもやったし。どんどんギミック系になっていくとは思いますけど、コンセプトがしっかりしているんで、そこを崩さなければ大丈夫かなと。今のところビーム兵器とかも出てないですし。今回は鈍器を使った重く鈍いアクションがメインになっていますから。

──格闘がメインになってくるとアニメーターは大変ですね。

海老川 絶対に大変だと思います。僕らは楽しいんですけどね。好き勝手にデザインして「こんな感じで」って楽しみながら作業しているんで(笑)。でもバルバトスとグレイズの鈍器と鈍器のぶつかり合いもかっこよかったですし、今までのガンダムで見ていたビジュアルとは少し違うなと感じました。今回も優秀な作画の方々が集って下さっているので本当にありがたいです。第1話を見てからバルバトスとグレイズのプラモデルを買った人は、グレイズがやられているシーンとかを再現して写真を撮ってる人が多いんですよね。なので、他のガンダムシリーズ同様に、『鉄血』にも代表するシーンができたんじゃないかな、と思いましたね。

──『鉄血』を代表するシーンといえば宇宙での戦艦バトルも異色です。

海老川 強襲装甲艦イサリビを担当させていただきました。これはデザインに時間かかりましたね。格納庫やブリッジとか、3Dで細部まで作りこまないといけないし。『機動戦士ガンダムAGE』の時と比べてディテール量を半端なく増やしているんで、クリンナップにも時間かかりましたね。しかもイサリビをはじめ『鉄血』の世界の戦艦は今までのガンダムシリーズで描かれていた従来の宇宙戦艦の戦いと大きく違いますからね。戦艦同士が戦っても簡単には壊れない、みたいな。そのあたりもモビルスーツの戦いに通じる部分でもありますね。とにかく硬いんです(笑)。

──今後続きを見られるお客さんへのメッセージをお願いします。

海老川 デザイナーが多数参加している作品なので、みなさんのデザインも面白いですし、独特の世界観を作り始めてるんじゃないかなと思いますし、その辺のデザイナー個人のアプローチと作品がどう動いていくのかを見ていただけると。モビルスーツは道具でもあるので、あまり主張しすぎるものではない。そこをどううまくいかされるのかを見ていただきたいなと思っています。

の付いたインタビューはV-STORAGE online限定の記事です。

PROFILE

海老川兼武(えびかわ かねたけ)
『フルメタル・パニック!』『機動戦士ガンダム00』が主な代表作であり、『00』により、知名度を押し上げる。以降のガンダム作品でもメカニックデザインに参加している。

<放送情報>
毎週日曜午後5時〜MBS/TBS系列全国28局ネットにて放送中

<Blu-ray&DVD発売情報>
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第1巻
2015年12月24日発売
Blu-ray特装限定版:¥3,800(税抜)
DVD:¥2,800(税抜)

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 公式サイト

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