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一撃必殺ヒーローアクション『ワンパンマン』原作者&スタッフインタビュー全文掲載

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最強ヒーローたちが繰り広げる爽快感満点のアクションが観る者を虜にするTVアニメ『ワンパンマン』のBlu-ray&DVDが12月24日発売! 原作はWEBコミック界のカリスマ・ONE×ジャンプ最強遺伝子・村田雄介の超強力タッグで贈る大人気コミックス。そこで今回は、原作者であるONE先生を交えて、夏目真悟監督、シリーズ構成の鈴木智尋さんにアニメ版『ワンパンマン』について様々な話を伺った。

自分が関わっているのを忘れてしまうくらい、何度観ても楽しめるので、もう最高です(笑)

──まずは夏目監督と鈴木さんにお聞きします。TVアニメ『ワンパンマン』の放送が始まって少し経ちましたが、ここまでの手応えはいかがですか?

夏目 アニメーターをはじめ各セクションが本当に頑張ってくれていて、クオリティの高いものができているなという手応えは感じています。それで視聴者の方のリアクションが良ければなお嬉しいですね。それと先日なんですが、原作者のONE先生からお褒めの言葉を頂きまして、それが一番の手応えです(笑)。やっぱり原作者の方に褒めて頂けるというのは素直に嬉しいです。

鈴木 僕が脚本やシリーズ構成の作業をして、それを夏目監督が映像に仕上げている訳ですが、完成したアニメを観て手応えはかなり感じています。

──続いてONE先生にお聞きします。TVアニメをご覧になった感想をお願いします。

ONE 率直に素晴らしいと思います。やっぱり最初は原作者視点として作品を観てしまうのかなって思っていたんですけど、いつの間にか一人の視聴者として普通に楽しんでいましたね。自分が作品に関わっているのを忘れてしまうくらい、何度観ても楽しめるので、もう最高です(笑)。

──最初にアニメ化したいというお話があった時、期待と不安、どちらが大きかったですか?

ONE 期待と不安の両方がありました。アニメになるからといって、必ずしも漫画より絵が動くとは限らないですし、それがどうなるんだろう?っていうのは正直ありましたけど、打ち合わせを続けていくうちにその不安はなくなって、きっと大丈夫だろうなって(笑)。自分が想像していた以上にすごく良かったです。

夏目 会議室に集まって初めて顔合わせをさせて頂いた時に、ONE先生と村田先生の間にチーム感みたいなものがすごくあって、そこに自分が入っていけるのかすごくドキドキしていましたし、ちゃんと受け入れてもらえるのか、嫌われないだろうかっていう不安は最初ありました(笑)。

鈴木 打ち合わせの時は脚本家と監督が向かい合わせで座ることが普通なんですけど、その時はONE先生と村田先生が並んで座られて、僕と夏目監督が向かいに横並びで座ったんです。その形が珍しくて、とても印象に残っています。でも、そこに不思議なバランスが生まれて、結果的には良かったと思いますね。

ONE先生と村田先生がつくりあげた世界観を、どう映像化するか、という点が一番苦労した

──実際に制作が始まって、どんなことに苦労されましたか?

夏目 ONE先生と村田先生がつくりあげた世界観を、どう表現して映像化するか、という点が一番苦労しましたね。まず村田先生の画力が高いというハードルがあって、内容的にもキャラクターのリアクションの取り方などはONE先生の独特なものがあるので、それを如何に再現するかに苦労しました。この作品は本当に個性的なキャラクターが多くて、みんな当たり前の反応をしないんです。そういうキャラクターたちの特徴を掴むのが大変でした。あとはサイタマの表情付けですね。原作でも絶妙なさじ加減で表現されていて、それがとても難しかったです。

鈴木 苦労は全て監督が担う感じで、僕の作業には苦労らしい苦労は少なく、ただ重圧だけがものすごくありました。これだけの人気作品で、しかも現在進行形で連載が続いでいく中でのアニメ化ということだったので、最初の設計図を描くというプレッシャーはありました。

──シナリオの打ち合わせにはONE先生も出席されたそうが、アニメの制作に参加されてみた感想は?

ONE アニメの制作に関わるのは初めてでしたし、すごく緊張していました。最初、打ち合わせに参加しても大丈夫ですよって編集部の方に言われた時は「ぜひ行かせてください」ってお願いしたんですけど、行く直前になって「本当に行っていいのかな?」って思い始めて…(笑)。映像作りをやったことがない人間が口出しするのはどうなのかなって思ったんですけど、とても温かい雰囲気で受け入れて頂きました。実際に打ち合わせに参加して制作の過程を知って、こんなに多くの人が案を出し合ってストーリーを考えていくというのは人生で初めての経験だったので、色んな刺激をもらえて面白かったです。

──その打ち合わせでは、実際にどんなことをONE先生にお願いされていたのですか?

夏目 本編でギャグを足して頂いたり、キャラクターの幅を広げて頂きました。

ONE 主にはリアクションのニュアンスとかですね。

夏目 そういう細かい部分って、なかなか分からないものなので本当に助かりました。

鈴木 12話でストーリーを構成するためにどうしてもオリジナル要素を足さなければいけない場合も、その際も話を伺いながら進行できたので本当に助かりました。あと、これは最初の打ち合わせの時だったと思うんですけど、ONE先生が「自分が言うと、正解に聞こえるかもしれないですけど、そういう風には思わないで欲しい」と言ってくださって、それは有り難かったですね。

夏目 やっぱり心強いですよね。僕らも悩みながら作っていて、どうしようか悩んだ時に、原作者の方からアドバイスを頂けるというのは本当に有り難いことですし、安心感がありました。あとは、色々と面白いことを言って、その場を和ませて頂いたりもしましたね(笑)。例えば、オリジナル怪人の名前を考えて盛り上がったり…。第1話に登場するバリカスタムよ649ZマークIIは確かその場のノリで決めましたね。

鈴木 あとは、ONE先生に「ここで技が欲しいんです」と言って、アイディアを出してもらったり…。

夏目 あの場でよく思いつきますよね。振られたその場ですぐに答える大喜利みたいな感じになっていましたからね(笑)。

サイタマの魅力は当たり前のことを当たり前に言えるっていうキャラクター性

──主人公サイタマの魅力はどこにあるのでしょうか?

ONE サイタマの魅力は、描く側からしても頼りがいがあって、どんなに強くて厄介な敵を出してもサイタマさえいれば何とかなるっていうところですね(笑)。元々『ワンパンマン』は僕個人のホームページにアップしていた漫画で、それを見てくださった方が周りの方たちに紹介してくれて徐々に盛り上がってきた作品なんです。それが今こうやってアニメになっているのは、サイタマという魅力的なキャラクターがいたおかげかなと思いますね。

夏目 力を持っているのに偉そうにしないところとか、人間的にブレないところが魅力なのかなって。普通は力を持ってしまうと変わってしまうものだと思うんですけど、サイタマにはそういうところが全くなくて、常に変わらずにいるというのが彼の魅力だと思います。

鈴木 先に全部言われてしまって困っているんですけど(笑)、それ以外で僕がサイタマの魅力だと感じているのは、当たり前のことを当たり前に言えるっていうキャラクター性ですね。空気を読まないところもあるんですけど、だからこそブレないんだと思うんです。そのシンプルな一言が的を射ていたりするので、そこが痛快ですよね。

──ヒーローや怪人たちのネーミングセンスも抜群ですよね。

鈴木 第2話に登場するグランドドラゴンっていう怪人がいるんですけど、あれってモグラですよね。モグラって漢字だと土の竜って書くじゃないですか、あれを土をグランドにして竜をドラゴンにするという、あの発想がすごいなって思いますね。

夏目 同じく第2話に登場するアーマードゴリラも良いですよね。ただでさえゴリラっていうだけでも強いのに、そこにアーマードが付いていますからね(笑)。

──ONE先生の中でネーミングがハマったなというキャラクターがいたら教えてください。

ONE 第1話に登場するカニランテですね。よくランテって何ですか?って聞かれるんですけど、実は僕が小学校低学年の時に『ゴジラvsビオランテ』という映画の下敷きを持っていて、そこに登場する巨大な植物の怪獣がビオランテなんです。僕はこのビオランテが全怪獣の中で一番好きで、たぶん僕の頭の中に怪獣の語尾にはランテが付くみたいなものが無意識のうちに刷り込まれていたんだと思います(笑)。あとは、第3話に登場する阿修羅カブトもハマったかなって。

スピード感や躍動感だったり、アニメのアクションシーンは自分の想像を超えていた

──ヒーローや怪人たちが数多く登場しますが、お気に入りのキャラクターがいたら教えてください。

ONE やっぱりサイタマが一番好きなんですけど、それ以外だとヒーローならキングで、怪人だと深海王が好きですね。特に深海王は途中で巨大化したりするのが描いていてとても楽しかったです。

夏目 自分もサイタマが好きなんですけど、最近はシルバーファングが好きになりました。制作が進んでいく中で、推し変しちゃいましたね(笑)。ジェノスに対してアドバイスをしたり、ああいう大人の対応がすごく良いなって。登場の仕方も格好良いですし、一歩引いている感じも良いですよね。

鈴木 僕は無免ライダーです。アニメ化する前から本当に大好きで、サイタマやジェノスにはなれないけど、無免ライダーにはなれるみたいな(笑)。身近な存在というか、超人にはなれなくてもああいう生き方はできるっていう、そういうところが好きですね。

ONE 僕も無免ライダーは好きですね。でも、キャラクターとして良くできすぎたかなって。どのキャラクターにも何かしら僕の性格を投影している部分があるんですけど、無免ライダーは前向きで正義感があって、自分よりも強い相手に向かっていくっていうのが僕の中にはないので(笑)。そういう意味では、僕にないものが詰まっているキャラクターで、一目置いてしまう存在ですね。

──ヒーローたちの爽快なアクションシーンは本作の見どころの一つだと思います。改めて、アニメのアクションシーンをご覧になっていかがでしたか?

ONE スピード感だったり、躍動感だったり、こんなにも迫力が出るんだなってビックリしたというか、自分の想像を超えていましたね。色んな工夫が僅か数秒の間にギュッと詰まっていて、同じシーンをもう一度コマ送りで観たりとか、そういうことをやりたくなるくらい、そのシーンがしばらく頭から離れないんです。音楽で例えるなら、サビの盛り上がり方がすごくて、これから来るぞっていうドキドキ感やワクワク感が堪らないみたいな感じですね。コミックスの段階から村田先生の描くアクションシーンの評判がすごく良くて、今回のアニメ化でも一番注目されるのはやっぱりアクションシーンだろうなって個人的に思っていたので、完成版を観た時に「これなら大丈夫だ」ってすぐに思いましたね。

キャラクターのドラマを大切に…そういう積み重ねがあってこそのワンパンなんです

──サイタマはワンパンで相手を倒してしまうこともあり、そこへ行くまでの流れや見せ方が重要になってくると思うのですが、演出面で注意されたところはありますか?

夏目 最後はワンパンで終わるっていうのは決まっているので、そこに至るまでのキャラクターのドラマを大切にしようとは思っていました。そういう積み重ねがあってこそのワンパンなんで、その土台となる部分がしっかりしていないと気持ち良さも生まれないだろうなって思っていて、そこは省かずに丁寧にやって、最後は潔くという感じですね。アニメにすると時間の関係で色々と省いてしまう部分も多いんですけど、本作に限ってはそういうところを省かずにきっちりやろうとは最初から思っていました。

鈴木 そういうドラマの部分もそうですけど、サイタマがいない間をどう意識させないか、漫画だと自分のペースに合わせて読めるんですけど、アニメだとそういう訳にはいかないので、その間の緊迫感を如何に出すかというのを考えながら作っています。最後は決まっているので、どうすればそこを気持ち良く観てもらえるかというのは常に意識していますね。

──原作者であるONE先生だからこそ感じる、TVアニメ『ワンパンマン』の見どころや楽しみ方があれば教えてください。

ONE やっぱりキャラクターに声が付いて動くというのが漫画との大きな違いですね。キャストの方が上手くハマっていて違和感なく楽しめるし、アクションシーンは漫画とは違うアニメならではの見せ方が盛りだくさんなので、声優さんの素晴らしい演技と動きまくるキャラクターたちをぜひ観て欲しいです。

意外なキャラクターが意外な活躍をしたりもするので、今後にご期待ください

──今後の見どころや注目ポイントを教えてください。

夏目 第10話以降になるとS級ヒーローたちが登場してくるので、そのあたりを楽しみにして頂ければと思います。もちろん、声優さんもS級声優が揃っているので楽しみにしていてください。

鈴木 第10話以降からはS級ヒーローたちが登場して、全体としてそこからのシークエンスはディザスタームービー的な展開になっていきます。群像劇も本作の魅力の一つなので、そのあたりは強く意識して構成をしていますので、放送を楽しみにしていてください。あとは、意外なキャラクターが意外な活躍をしたりもするので、今後にご期待ください。

──Blu-ray&DVD第1巻には特典としてOVA「忍び寄りすぎる影」が収録されます。こちらの原案をONE先生が担当されていますが、どんな内容になるのか簡単に見どころをお聞かせください。

ONE 第2話でモスキート娘にジェノスが破壊され、そのあとサイタマの家にやって来るまでの空白の何日間みたいな話で、その間にジェノスが一体何をしていたのかを描いたエピソードになっています。興味深いものになっていると思いますので、ぜひ楽しみにしていてください。

──では最後に、ファンへメッセージをお願いします。

ONE 第10話からクライマックスに向けて、どんどん盛り上がっていきますので、期待していてください。漫画の方も盛り上げていきますので、アニメと漫画の両方で楽しんで頂けたら嬉しいです。

夏目 アニメファンはもちろん、原作ファンも楽しめるように、なるべく原作に沿った形で丁寧にアニメ化しているつもりですので、今後も見続けて頂ければと思います。

鈴木 素晴らしい監督と素晴らしいアニメーターが素晴らしい原作をアニメ化していて、誰もが気軽に楽しめる作品になっていると思いますので、最後まで応援して頂けると嬉しいです。OVAも手を抜かずに作っているので、そちらの方も楽しんでください。

の付いたインタビューはV-STORAGE online限定の記事です。

PROFILE

ONE(わん)
漫画家。自身のサイトでWEBマンガ『ワンパンマン』を公開し、大きな注目を集める。小学館「裏サンデー」にて『モブサイコ100』が連載中。

夏目真悟(なつめしんご)
アニメーション監督。J.C.STAFFを経て現在はフリーとして活躍中。『スペース☆ダンディ』で初監督を務めるなど、将来を嘱望される若手クリエーターの一人。

鈴木智尋(すずきともひろ)
脚本家。『TIGER & BUNNY』『聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY』などの脚本を手掛ける。本作『ワンパンマン』ではシリーズ構成の他に、OVAを含め全編脚本も務めている。

<Blu-ray&DVD発売情報>
ワンパンマン 第1巻
2015年12月24日発売
Blu-ray特装限定版:¥7,000(税抜)/DVD特装限定版:¥6,000(税抜)

12月20日(日)19時より
ニコニコ生放送「TVアニメ『ワンパンマン』最終回もうすぐ特番」配信決定!
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ワンパンマン 公式サイト

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