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『グッド・ストライプス』主演 中島歩さん×プロデューサー 西ヶ谷寿一さん 対談インタビュー

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自由奔放な文化系女子の緑と優柔不断な彼氏・真生は、彼女の妊娠が発覚し結婚することになった、交際4年のマンネリカップル。二人は結婚をキッカケにお互いの知らなかった一面を発見していく。ぶつかり合うのではなく、自分も相手も“そのまま”を認め合い受け入れる「グッド・ストライプス=素晴らしき平行線」の関係性は、現代の男女の価値観を描いている。その彼氏・真生役に抜擢された中島歩は、絶妙な脱力感で飄々とした若者を好演し、新たな魅力を発揮した。
『グッド・ストライプス』Blu-ray&DVDの発売を記念して、主演の中島歩さんと、『横道世之介』などを手掛けてきた西ヶ谷寿一プロデューサーにお話を伺った。
「結婚」をテーマに女性監督がメガホンを取り、若者のリアルな結婚観を見事に描き、多くの共感を得た本作のオーディオコメンタリーを録り終えたばかりの二人に、男性目線でたっぷり語ってもらった。

── 5月30日に初日を迎え、じわじわと館数を伸ばし続け多くの人から共感を得た『グッド・ストライプス』。本作に出演されてから、中島さんの心境は変わったのでしょうか?

中島 想像以上に、作品と主人公の二人が愛されたことが嬉しいです。「二人を愛おしく感じました」という感想を貰ったときはすごく嬉しかったです。知人が作品を見た感想で「(僕の姿)そのままを撮って貰ったんだね」と言われましたが、真生という人物よりは僕自身の方がもっと図々しいと思います。それに、真生よりは自分の意思を持っています(笑)。

セリフがかなり日常生活に寄ったものだったので、言い回しなどは自分自身に近づけて取り組んでいました。撮影前に監督からアメリカ映画の『イカとクジラ』と『お家をさがそう』を観るよう薦められて見ました。ただ、『イカとクジラ』のジェシー・アイゼンバーグは演技がただただ上手くて…全く参考になりませんでした(笑)。でも、沢山の人に出会う映画なので、それぞれ出会った人にどういうリアクションと取るかという役作りは参考にしました。

真生のコンプレックスである、“父親との関係性”は、僕自身にはないことなので、自分なりに具体的なエピソードを作って、自分だったらどう思うかな、と考えながら真生を構築しました。でも実は、これまでの役作りの方法として、役を自分の中に落とし込んでいくやり方を信じていないところがありました。この作品では真生という人物が自分に入り込んでいた感覚を体験し、本当に良い経験ができたなと思っています。

── 菊池さんとのマンネリカップルぶりは、観た人は誰もが魅了されるほど“自然”で良かったです。

中島 菊池さんとは、「どうやろう、こうしよう」ということは特に話さず、お互いに自然に演じていました。

西ヶ谷 主演の二人が台本を読み込むのがとても上手かったんだと思います。ただ、本番前には色々ありましたけどね…(笑)。

中島 僕が、芝居ってどうやるんだっけ?という状態に陥ってしまって…。監督と二人きりで相談をしていました。

西ヶ谷 リハーサルも何度かするんですが、最後の何回かでこれで大丈夫だな、っていう瞬間があったんです。でも、そこに至るまでは監督に「もうすぐクランクインだけど大丈夫なのか?」と少し声を荒げたりしていました。

中島 そうなんです。撮影現場の隅っこの方で西ヶ谷さんから「中島くんをキャスティングした時点でもうOKなんだから、自信を持ってやって良いんだよ」と優しく言って貰えた時に、少し安心しました。あの時は、頭で分かっていても、具体的にはどう演じたら良いのか全く分からなくなっていて、どんどん頭でっかちになっていたんです。

西ヶ谷 そういう状態の時に考えていることって、ろくなことがないんですよね。リハーサルの2回目、3回目は、入った瞬間から困った顔になっている時があって(笑)。上手く菊池さんがリードしてくれていたと思います。芝居を受けて貰えることって有り難いことですよね。

中島 そうですね、菊池さんは全くブレないので、本当に助けられました。

西ヶ谷 初日の1つ目のOKが出るまでの不安というのは、役者だけでなく、監督もあります。でも、1つ上手く進むと、それがどんどん流れていくようになりますね。冒頭のカレー屋のシーンがクランクインだったんですが、助監督がその日はこのシーンだけを撮るスケジュールで組んでくれていました。この作品に関しては特に自然体の作品ですし、中島くんも演技経験が豊富ということでもないので、彼の自然な気持ちの変化が作品に乗っていくところを撮りたいという狙いもあり、クランクアップまでのスケジュールはかなり練られて作られています。

中島 そういったスタッフさんの気遣いもあり、最初はガチガチだったんですが、撮影が進むに連れて演技を伸び伸び出来るようになりました。

西ヶ谷 最後は現場で「スースー」寝れるまでになってたもんね(笑)。

── 思い出に残っているシーンについて教えて下さい。

中島 父親とのシーンとその後の坂道を下って行く時に、ゴミ置き場があるんですが、そのゴミに引っ掛かって思いっきり転ぶシーンです。本当に転んで怪我しました(笑)。

西ヶ谷 あのゴミは、予算の関係で用意ができないという話をしていたら、「何がなんでも必要なんです!」と監督が言うので、僕が捨てようと思っていた家のゴミや自転車、テレビをかき集めて運んで貰いました(笑)。“バチーン”と転んでくれたときは本望でしたね(笑)。

中島 もうひとつ、二人が結婚を決意するシーンも好きです。初めは「なんではっきりとプロポーズしないんだ?」と思っていたんですが、出来上がったものを見たら、ポジティブなイメージになっていました。印象深いショットにもなっていたので、流れで「結婚する?」って感じでしたが、あの二人にとっては決定的な瞬間なんだなってことが伝わってきたので良かったです。自分で想像していたものとは良い意味で裏切って貰えたシーンです。

── 真生が浮気するシーンでのセリフはとても衝撃的でした!

中島 真生が元カノと再会し、誘われるがままホテルに行った時に発した、「動物みたい」というセリフは言いたくないなと思いましたね。なんて嫌なヤツなんだろうって。流されているんだけど、最後は自分を守りに入るっていう。なぜ途中でやめてしまうのかも理解できず、男性スタッフとも普通なら最後までやるよね、と話していました。なぜ、やめたのか、なぜ流されたのかって理由は付けられないんですが、俳優としてはなぜこういう行動を取るのか理由をつけて演じたくて、理由がない行動もあるんだなと思いました。

西ヶ谷 確かに、真生は誘われて行かないタイプか行くタイプかというと、完全に中間のタイプで。行ってはいるけれど、最後まで行かない感じはこの作品全体を通してのバランスだったりするかもしれないですね。

── 作品を作り上げていく中で、脚本について監督に話されていたのでしょうか?

中島 (そんな大それたこと)ないです!ないです!(笑)

西ヶ谷 一度、中島くんが監督にあるシーンで提案したことがあったのですが、即却下されたみたいで。僕も「どうですか?」と相談され、「それも良いね」と話して助監督とも相談した後、中島くんが監督に再チャレンジしたんですが、全く響かなかったですね(笑)。

中島 僕自身もまだまだなので、どこまで自分がアイディアを出したら良いのか分からないです。演出や台本の筋を通すのも役者の役割だと思いますし、色々とアイディアを出せないといけないんだろうなとも思っています。どういうバランスでやっていけば良いのか悩みますね。

西ヶ谷 色々なアイディアを出して良いと思いますよ。結局ダメなら却下しますから(笑)。もちろん、「お!」と思ったことは取り入れてくれます。

中島 ハイ。

西ヶ谷 その時の提案は、徹底的に違ったんでしょうね。監督と菊池さんのお二人から「違う!」と言われていましたから(笑)。

── 本作に出演して、結婚観や恋愛観への変化はあったのでしょうか?

中島 この作品に出演してから、“結婚”というのはやっぱりスゴイことなんだなって、より一層思うようになりました。緑と真生の関係も、最初はこの二人別れるでしょ!?と思っていましたが、出来上がった作品を観ると、僕が思っていたものとは違い、ポジティブな関係性なんだと感じました。

緑の自己実現の諦めや真生の浮気など、お互いに知り得ないこともある中で、タイトルのように“平行線=グッド・ストライプス”な関係で良いんだ、この関係を肯定しても良いんだなと。もっと密に全てをさらけ出して、認め合っていかなきゃいけないんだという、結婚観でしたが、この二人みたいな関係も良いなって。結婚のハードルが下がりましたね。「それでも、いいんだぁ〜」って(笑)。

── キャスティングに関しても教えて下さい。

西ヶ谷 菊池さんに関しては、監督から台本を貰った時に「これは菊池さんで出来たら良いな」とすぐに思いました。監督にそれを伝えると「すごく良いですね」となりました。菊池さん本人も地方から出てきているということもあって、緑と重なる部分が多いんじゃないかなと。菊池さん世代のリアルな恋愛観をバッチリ表現した作品をインディペンデントで見たことがなかったので、この作品を女性監督でできたら、絶対面白くなるなと感じました。

真生役は、キャラクター的に普段はちょっと人をイラッとさせたりするけど、愛される人物でないといけないので、悩みましたね。そんな時に、たまたま映画館で中島くんが「西ヶ谷さーん!」と、とっても良い笑顔で声をかけてくれて、「あ!(ここに)いた!」と思いました(笑)。芝居ももちろんですが、芝居外のところでも中島くんは魅力的で、お芝居をちゃんと受けて反応出来る役者さんだと思うので、監督と相談して中島くんに決めました。「芝居ってこうですよね」って思って演じられるは嫌だったので、主役の経験が少なくビビットに反応できる人が理想だったので、ベストでした。

── “オトコ目線で語る”オーディオコメンタリー撮りはいかがでしたか?

中島 オトコ目線では語らせて貰えなかったです(笑)。

西ヶ谷 そうですね。語るつもりが語らせて貰えなかった会になってましたね(笑)。

中島 果敢に挑んだんですが…。きっと監督の芯の強さが浮き彫りになっていると思います(笑)。でも、これくらいの強さがないと世界観を出せないんだなと、改めて感じました。

西ヶ谷 監督っていうのは、自分の意見がハッキリしていますから、「それは違う!」とスパッと言いますよね。

中島 本当に全てにおいて「監督ごもっともでございます。」という感じになっていると思います(笑)。


最後に読者へ向けて「心に残っているマンガや好きなアニメがあれば教えてください」

中島 ウルトラマンはビデオテープが擦り切れるくらい見ていました!一番見ていたのは「ウルトラマンタロウ」ですかね。

西ヶ谷 僕は小中学生の時はかなりアニメ派で主要な4誌は全て買って読んでました。中学生時代に「この作品、アニメ化反対!」っていう投稿もしてましたよ(笑)。一番好きで、心に残っている作品は「聖戦士ダンバイン」「重戦機エルガイム」です!


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PROFILE

中島 歩(なかじまあゆむ)
1988年生まれ、宮城県生まれ。美輪明宏主演の舞台「黒蜥蜴」で俳優デビュー。NHK連続テレビ小説「花子とアン」の宮本龍一役に大抜擢され、人気を集める。主に舞台・ドラマに出演するほか、NHK「とっておきサンデー」のMCアシスタントとしても活躍中。

西ヶ谷 寿一(にしがやとしかず)
プロデューサー。主な担当作品に『人のセックスを笑うな』、『南極料理人』、『パンドラの匣』、『NINIFUNI』、『横道世之介』、『私の男』などがある。新人監督の育成も精力的に取り組んでいる。

PHOTO:寺坂Johney!

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