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原 恵一監督最新作『百日紅〜Miss HOKUSAI〜』
板津匡覧スタッフインタビュー全文掲載

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今年5月に公開された原 恵一監督最新作『百日紅〜Miss HOKUSAI〜』が待望のBlu-ray&DVD化! 杏、松重豊、濱田岳ら豪華キャスト共演でも話題を呼んだ本作は、女性浮世絵師のお栄と父であり師匠である葛飾北斎を中心に、自由闊達に生きる江戸の人々を描いた<爽快>浮世エンターテインメント。そこで今回は、キャラクターデザイン・作画監督を務めた板津匡覧さんに制作秘話などを伺った。

漫画が原作の場合、そのニュアンスを崩さずに
どうやって立体的にキャラクターを起こしていくかが難しい

──映画『百日紅〜Miss HOKUSAI〜』のキャラクターデザインを担当されることになった経緯を教えてください。

板津匡覧(以下、板津) 作品プロデューサーである松下(慶子)さんから声を掛けて頂いたのがきっかけです。原監督とは今まで仕事をご一緒したことがなかったので、その話を聞いた時は「なんで自分なんだろう?」とビックリしましたね(笑)。原監督の希望というのが、キャラクターデザインと作画監督を一緒にできる方だったそうです。その話をお聞きした後に杉浦さんの原作漫画を読ませて頂きました。自分が読んだイメージで描いたキャラクターのラフ案を原監督に見て頂いたのですが、そのタイミングで初めて原監督とお会いさせて頂きました。

──原監督と初めてお会いした印象は?

板津 あまりご自身から話される方ではないんだなと(笑)。僕は原監督の作品を昔から観ていたので、実際にお会いした時も「小学生の頃に『21エモン』を観ていました」という話をさせて頂いたら、複雑な顔をされていましたね(笑)。良い思い出ばかりではなかったようです…。

──本作は杉浦日向子さんの漫画が原作ですが、キャラクターをアニメーションとして起こす際に、心掛けていることなどがあれば教えてください。

板津 漫画が原作の場合、平面な絵の前提で描かれているので、そのニュアンスを崩さずにどうやって立体的にキャラクターを起こしていくか、アニメーションの動きに対応できる絵にしていくか、という部分が一番難しいところですね。漫画の絵のテイストをどこまで残すかというのも大切なポイントなのですが、それは演出の方向性にもよります。演出が日常的なお芝居を細やかに丁寧に作り上げていく方向でなければ、もう少し漫画の絵の魅力を引き出していくこともあり得るのですが、原監督の場合は日常の芝居を大事にされている印象が強かったので、そこは意識しながら描いていましたね。


歌舞伎や落語を観に行ったり、昔の映画を観たりして、
着物を着ている人たちの仕草などは勉強しました

──キャラクターを作り上げていく際に、原監督とはどんなやりとりがあったのでしょうか?

板津 キャラクターについては、主人公のお栄以外は僕が最初に描いたラフ案のまま進んでいきましたね。お栄は漫画ではあまり美人ではないという設定なのですけど、映画ではもう少しキリっとした美形にして欲しいというオーダーが原監督からあったので、それに従って作り込んでいきました。漫画でもお栄は眉毛が太い印象があって、そこを拾っていったら、原監督から「もっと太くても良いんじゃない」と。そんなやりとりを繰り返していき、現在のデザインになった感じです。他のキャラクターは、お栄と並んでも違和感のない程度でしか漫画からは変更をしてないですね。

──物語の舞台が江戸時代ということで、キャラクターは着物を着ていますが、その辺はデザインする上で苦労されましたか?

板津 普段あまり着物を着ることなどないので、歌舞伎や落語を観に行ったり、昔の映画を観たりして、着物を着ている人たちの仕草などは勉強しましたね。知り合いの方で着物に関係のある仕事をしている人がいたので、その人に実際に着物を着て頂いて、色んなポーズをしてもらいながら、写真を撮ったり、スケッチを描いたりしました。でも、その時はもうキャラクターのデザインが決まった後で、主な目的としてはアニメーターさんの勉強のためという形だったんですけどね。

──好きなキャラクターがいれば教えてください。その理由もお願いします。

板津 好きとかではないのですけど、描きやすいのは善次郎ですね。キャラクター的に一番動く人なので、描いていて楽しかったです。お栄も動きはするのですが、割とスマートで直線的な人なので、あまり余計なことができないんです。そういう意味で、アニメーション的に動かしやすかったのは善次郎です。あと、描きやすいのは萬字堂ですね。彼に関して言うと、立川談春師匠に声を担当してもらえたのが個人的には嬉しかったです。元々師匠のファンでしたので、萬字堂の声を誰に演じてもらうかまだ決まっていない頃に、「誰かいる?」と聞かれたので、「談春師匠が好きなので推してみてください」って僕から原監督に伝えたんです。

──美形なキャラクターと美形ではないキャラクター、どちらが描きやすいとかはあったりするのですか?

板津 描きやすい描きにくいというのはあまりないのですけど、美形のキャラクターの方が描いていて緊張はしますね。美形は余計なことができないですし。善次郎みたいなキャラクターだと、少しくらい変な顔をしていても気にならないし、多少デッサンが崩れていても許されるかなって(笑)。


キャラクターのポージングについては自分なりに工夫したつもりなので、
ぜひ注目して観て頂けると嬉しいです

──映画『百日紅〜Miss HOKUSAI〜』を実際にご覧になって、改めて感じたことは何かありますか?

板津 絵については作業しながら何度も観ているので改めて驚いたことは特にないですね。僕らにとって新鮮なのは、映像に音が付いているものを観た時なんです。原監督の狙いや意図が改めて分かる瞬間ですよね。音の演出のことまでは絵コンテでは伺い知ることができないので、どこのタイミングで音が入って、どういう音楽が入るのかというのは、監督の頭の中にしかないものなので、音が付いた映像を観るのが一番の楽しみですね。

──映画『百日紅〜Miss HOKUSAI〜』の制作において、思い出に残っているエピードなどがあれば教えてください。

板津 原監督が現場を少し離れられている期間があって、その期間中に作業を進めていたカットの解釈で、僕と原画を担当されていた鈴木(美千代)さんとで意見の食い違いがあったんです。最終的には僕の意見に寄せてもらい、それをさらに膨らませてもらって完成したカットがあったんです。ラッシュ(未編集の映像)を観た時に原監督が「あのカット良いね」って反応してくれたのが素直に嬉しかったですし、それまでの苦労が報われた瞬間だったように思います。

──いよいよ11月26日にBlu-ray&DVDが発売されますが、発売を待ちわびているファンの方へメッセージをお願いします。

板津 自分的にはリアルな方向に行き過ぎず、でもリアリティーがある。キャラクター面に関してはそういう部分に気を遣っていました。特にキャラクターのポージングについては自分なりに工夫したつもりです。その人がしそうなポーズや仕草など、できるだけ自然に見えるように描いていますので、そのあたりに注目して観て頂けると嬉しいです。

の付いたインタビューはV-STORAGE online限定の記事です。


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百日紅~Miss HOKUSAI~ 公式サイト

PROFILE

板津匡覧(いたづよしみ)
アニメーター。主な参加作品に『電脳コイル』(途中から総作画監督)、『妄想代理人』(作画監督)、『パプリカ』『風立ちぬ』(いずれも原画)などがある。

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