インタビューココだけ | 純潔のマリア

本格派TVアニメーション『純潔のマリア』メインキャストインタビュー

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

石川雅之さんの大人気コミックをTVアニメ化して話題を呼んだ、谷口悟朗監督による中世ファンタジードラマ『純潔のマリア』には、英仏百年戦争を止めようと騒動を巻き起こす魔女マリアをはじめ、個性溢れるキャラクターたちが数多く登場した。そこで今回は、主人公のマリアを演じた金元寿子さん、マリアの使い魔である夢魔のアルテミスを演じた日笠陽子さん、同じくプリアポスを演じた小松未可子さんにインタビューを敢行。ここでしか読めないメインキャスト陣の本音トークを見逃すな!

写真左から日笠陽子さん、金元寿子さん、小松未可子さん

演じられていた金元さんが感じていた魔女マリアの意外な印象とは?

――まずは『純潔のマリア』という作品についての感想からお聞かせください。
金元寿子(以下、金元) 最初にアフレコ台本を読ませて頂いた時に、凄くインパクトを受けたのを今でも覚えています。原作のコミックはオーディションを受けた後に読ませて頂いたんですけど、テーマが凄く深くて考えさせられるにも関わらず、とても楽しく読めるという、そのギャップがあるところに惹かれました。なので、作品に関わることができて本当に嬉しかったです。アニメでは原作の印象とはまた違うアニメのマリアとして演じることができたんじゃないかなって思います。 日笠陽子(以下、日笠) 単純にとても楽しかったという想いが強くあります。作品に関わっている時に、こういう気持ちになることって意外と少ないんです。史実関係であったり、宗教の問題であったり、色んなものをスタッフの方たちが一生懸命クリアしてこだわりをもって作られていたので、私たちも安心して作品の世界にどっぷり浸ることができたし、作品に関わることができて本当に幸せで楽しかったです。『純潔のマリア』は原作がある作品なんですけど、ある意味、谷口(悟朗)ワールド全開のアニメーションになっていると思います。 小松未可子(以下、小松) この作品に関わらせて頂いて、今までの自分の概念や、魔女や天使に対するイメージが真逆になったような気がします。なんとなく魔女という言葉のイメージにあまり良くない印象を持っていたんですけど、そこを一回リセットしました。色んな視点で物事の見方が変わったり、「愛ってなんだろう?」って真剣に考えたりしました。そういう部分が原作では非常に読みやすく描かれていて、それがアニメーションになったことで、色んな部分から興味を持てる視点がたくさんある作品だったなと改めて思います。
――金元さんは異端の魔女マリアを、日笠さんはアルテミス、小松さんはプリアポスというマリアの使い魔である夢魔を演じられましたが、キャラクターについて改めて印象などをお聞かせください。
金元 マリアはみんなから異端児扱いされ、触れてはいけない存在というか、外との接点もあまりなく暮らしている魔女なんですけど、私の印象としては今どきの女子高生のようなイメージが強いですね。物言いがハッキリしているし、好き嫌いが別れているし、そういった点で、あの時代の人物としてはもしかしたら凄く異端な存在なのかなって思うんですけど、今の私たちからすれば、きっと身近な可愛くて元気な女の子なのかなって思います。 日笠 アルテミスはサキュバスということもあり、一般社会的にはあまり歓迎されない存在だとは思うんですけど、『純潔のマリア』の世界では凄く可愛らしく、ある意味、とても人間らしく描いてくださっていたので演じやすかったです。マリアに対する愛情が大きかったので、自分が夢魔だという意識は特になかったんですけど、演じていく中で、谷口監督や音響監督の明田川(仁)さんに「もっと色気を出していいよ」って言われて、そこは意外なところでした。普段は逆に「抑えてください」と言われることが多いので、少しビックリしましたね。あと、フクロウ姿になった時に、声を変える変えないみたいな話をしている時があって、いの一番にアルテミスがフクロウ姿で登場したんです。でもその時、ちょうど小松さんがいなくて相談する相手もおらず、自分の思うままに演じたら、それが採用されてしまって少し不安になりました(笑)。 小松 プリアポスも人間らしいというか、本当に純粋で真面目な男の子でしたね。プリアポスは男の子なのでインキュバスなんですけど、でも男になりきれなかった(笑)。そういうことがありながらも、マリアの役に立ちたいという純粋な思いがあるからこそ、できないなりに自分が手伝えることを精一杯やっていた一生懸命な印象が強いですね。自分の身がどうなろうとも、マリアを助けに行くシーンがあるんですけど、本当に侠気のある男の子だったなと思います。あと、フクロウ姿については「日笠さんの演技に私も乗っからせていただきます(笑)」って感じでしたね。

――ご自身が演じられたキャラクター以外で、お気に入りのキャラクターがいれば教えてください。

日笠 みんなでいっせいに言ってもいいですか? 金元 えっ、ちょっと待ってください(焦)。 日笠 これは合うんじゃないですかね。 小松 合うかな、どうかな? 日笠 せーの… 小松・日笠 ビブ! 金元 ベルナール!
――急にクイズっぽくなりましたが、日笠さんと小松さんは見事にビブで合いましたね(笑)。それでは好きな理由を教えてください。
日笠 お姉さん的立場という意味ではアルテミスと少し似ているんですけど、アルテミスはマリアやプリアポスにとって家族みたいな存在なんです。でも、ビブはマリアにとっては指導者であり、先輩なんです。ビブを演じているのが能登(麻美子)さんなんですけど、能登さんが演じると不思議と温かみのあるキャラクターになるんです。それもビブが好きな理由ですね。 小松 ビブ自身もマリアに影響された部分が大きかったのかなって思います。最初周りの人は“マリアなんて放っておけ”っていう感じだったんです。もちろん、最終的には魔女たち全員がマリアを守ろうとするんですけど、ビブだけは最初からマリアを気に掛けていたんです。そういうところを見ると、ビブ自身も人間味があるんだなって思いますし、そういう優しさに溢れているところが好きですね。
――日笠さんと小松さんがビブとご回答する中、金元さんはベルナールを挙げていましたが…。
金元 お気に入りというか、インパクトがありすぎて(笑)。ベルナールはアニメのオリジナルキャラクターなんですけど、櫻井さんが演じることによって、より不気味な人間になっているというか、何を考えているのか分かりづらいんです。本編中にマリアと対峙するシーンが何回かあるんですけど、アフレコの時も「何なんだ、この人は」って(笑)、マリアというより私が興味を持っていました。先程も言ったように、オリジナルキャラクターなので、どういう動きをするのか先が読めないこともあって気になっていましたね。

小松さんが語る“今後の人生において二度と言うことはないセリフ”とは?

――印象に残っているシーンやセリフなどがあれば教えてください。
金元 やっぱりジョセフとのシーンが一番印象に残っています。特に第十一話で、ジョセフがガルファと決闘した後に、マリアが勢いでジョセフに告白してしまうシーンがあるんですけど、ジョセフとの関係について、それまではどれくらいの距離感なのか悩みながら演じていたんです。でも、あそこで好意をハッキリと示せたので良かったなと思いますし、そういう意味で印象的でした。 日笠 たくさんありすぎて困ってしまうんですけど、一つだけ挙げるとすると、フクロウ姿のアルテミスとプリアポスが交互にエゼキエルをいじめるシーンですね。あのシーン、実はアドリブなんです。餅つきみたいに「ソイヤ、ソイヤ、ソイヤ、ソイヤ」って(笑)。あまりギャグのない作品ということもあって、あそこまでやっていいのか不安だったんですけど、みなさんに喜んで頂けたので、やって良かったなと思いました。 小松 本編の内容とはあまり関係ないんですけど、プリアポスを演じていた身としては「あ~、誰でもいいから早くヤリてぇ~」というセリフを挙げない訳にはいかないです。今後の人生において二度と言うことはないと思うので(笑)、かなり印象深いセリフでした。
――アフレコなどで思い出に残っているエピソードなどがあれば教えてください。
小松 本当にくだらないことしか思い浮かばないんですけど、櫻井さんがアフレコ台本を椅子の隙間に落として、みんなで一生懸命取ろうとするという(笑)。 日笠 そう言えば、そんなことあったね。 小松 新しいスタジオだったので椅子の仕組みが分からなくて…。 日笠 しかも、最終的に取れなくて台本を借りてやっていましたね。 金元 今もたぶん、そのままになっていると思います(笑)。いつか台本が見つかったらプレミアとかついたりするんですかね? 日笠 あと、私が小野賢章さん(ジョセフ役)とお芝居の話をしていた時に、後に引きずらない秘訣として「何とかなる」って言い続けると、心の悩みが晴れますよって言われたんです。それを横で聞いていた花澤香菜さん(エゼキエル役)も「そうだよね」ってすごく頷いていて…。なので、花澤さんが誕生日の時に、おめでとうと書かれた色紙の横に、みんなで「何とかなる」って書いてプレゼントしたんです。 小松 相田みつをさんみたいな感じになっていましたね(笑)。 日笠 私たちも実は一城みゆ希さん(マーサ役)からお揃いのタオルをプレゼントされているんです。 金元 一城さんがスマホの迷惑メールを拒否する設定の仕方が分からないと仰っていて、それをみんなで設定してあげて、そのお礼としてプレゼントを頂いたんです。本当に嬉しかったです。

感謝の気持ちしかないという日笠さんが挙げた楽しかった思い出とは?

――作品の見どころ&注目ポイントを改めて教えてください。
金元 見どころは作り込まれた世界観です。谷口監督やチーフリサーチャーの白土(晴一)さんが妥協なく作り込んでくださっていて、柵の組み方やパンの種類にしてもそうですし、そういう本当に細かいところまで目が行き届いているからこそ、観ている方が作品にすんなりと入っていくことができるんだと思います。 日笠 私的には役者陣の熱演ぶりが注目ポイントだと思います。ベテランの役者さんが数多くいるアフレコ現場だったので、その方たちの演技を見ているだけで、私自身とても勉強になりました。例えば「このキャラクターを、こういう風に演じるんだ」って思うようなことが多々あって、声優として参考になることが非常に多かったです。なので、キャラクター一人ひとりの演技にも、ぜひ注目してください。 小松 何度か劇中で流れる曲をアフレコが終わった後に、みんなで一緒に歌って収録したんです。曲自体もかなり作り込まれていて、一つひとつが作品の時代背景に沿った曲なんです。本編のシーンごとに流れる曲が違っていたり、そういう音楽の部分にも注目して欲しいですね。
――ご自身にとって『純潔のマリア』はどんな作品となりましたか?
金元 あまりやったことのない役を演じられたということもそうですし、作品自体がとても愛情に溢れていたので、私自身も温かい気持ちになれたと思います。マリアは破天荒な子なんですけど、万人に対して愛情を持っていて、戦争を止めさせたいという強い信念みたいなものもあって、でもそれって人に対する「優しさや好き」という気持ちがないと、そういう言動にならないんじゃないかなって。なので、私自身もマリアというキャラクターに影響されて、優しくなれたような気がします(笑)。役者としても成長できたと思いますし、思い出深い作品になりました。 日笠 本当に感謝の気持ちしかないですね。このメンバーでレギュラー作品をやることって今までなかったんですけど、すごく仲良くさせてもらって、みんなで一緒に「もやしもん×純潔のマリア原画展 〜石川雅之の世界〜」へ行ったりしてすごく楽しかったです。役柄的にも演じやすいキャラクターでしたし、噂によると私の役は安定感を求められていたらしいんですけど(笑)、その安定感を自分なりに発揮できたんじゃないかなと思います。『純潔のマリア』という作品に出会えて、役者としても一人の大人の女性としても、一つ階段を昇れたような気がします。本当に感謝しております。 小松 色んな愛の形があるんだなって改めて考えさせられた作品でしたね。不特定多数に対する無償の愛だったり、目の前の一番大切な人に対する愛だったり、少し歪んでしまった神への愛だったり、色んなものが織りなした愛の物語だったように思います。

PROFILE
金元寿子(かねもと・ひさこ) 12月16日生まれ、岡山県出身。ぷろだくしょんバオバブ所属。主な代表作に『侵略!イカ娘』イカ娘役をはじめ、『スマイルプリキュア』黄瀬やよい&キュアピース役、『翠星のガルガンティア』エイミー役などがある。 日笠陽子(ひかさ・ようこ) 7月16日生まれ、神奈川県出身。アイムエンタープライズ所属。主な代表作に『けいおん!』秋山澪役をはじめ、『生徒会役員共』天草シノ役、『IS<インフィニット・ストラトス>』篠ノ之箒役などがある。 小松未可子(こまつ・みかこ) 11月11日生まれ、三重県出身。ヒラタオフィス所属。主な代表作に声優デビュー作となった『HEROMAN』ジョーイ役をはじめ、『モーレツ宇宙海賊』加藤茉莉香役、『ガンダムビルドファイターズ』イオリ・セイ役などがある。

続きを読む

関連タグ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

インタビュー

© Bandai Namco Filmworks Inc. All Rights Reserved.