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『怪獣酒場 カンパーイ!』河崎実監督インタビュー全文掲載

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ウルトラマンシリーズでお馴染みの円谷プロダクションが贈る、ちょっと変わったフラッシュアニメが7月7日よりTOKYO MXほかにて放送スタート。なんと今回は、アニメ制作を担当するDLEへ潜入取材を実施し、河崎実監督を直撃。本邦初公開となる秘密の情報満載でお届けしよう!
※インタビューは2015年4月下旬に取材したものです。

もう『ウルトラマン』が好きとか、そんなレベルの話じゃない
人生が完全に狂わされたんです(笑)

――まず最初に、監督をされることになった経緯から教えてください。

河崎 実(以下、河崎) 僕が昔から特撮ものを色々と監督していて、『ウルトラマン』が好きなことも知っているDLEのプロデューサーから話を頂いたのが事の始まりですね。

[V-STORAGE online 限定]――監督は「大のウルトラマンシリーズ好き」とお伺いしています。監督を引き受けた時の気持ちと意気込みを教えてください。

河崎 もう『ウルトラマン』が好きとか、そんなレベルの話じゃないですね。人生が完全に狂わされたんです(笑)。「ウルトラ THE BACK -ウルトラマンの背中-」という本も出していますから。実は僕、中学生の頃から勝手に円谷プロへ行ってたんです。そこに当時、怪獣倉庫っていう怪獣の着ぐるみが置いてある倉庫があったんです。その頃は円谷プロもオープンで、子供が行くと見せてくれたんですよ。今は秘密の場所にあって、勝手に入れないように管理されていますけど…。でも、こんなに『ウルトラマン』が好きなのに、実はまだウルトラマンシリーズの監督はやったことがないんです。『ウルトラマンティガ』の時に少しだけ脚本をやらせてもらったんですけど…。そういう意味では、初めてのウルトラ関連作品の監督ですから気合いは入ってます。ただ、「これかよ」とは正直思いましたけどね(笑)。特撮を作るにはお金もかかるし、規制もあるんで本当に大変なんです。今回の作品に関しては、ある程度以上のハジけた表現にチャレンジすることも円谷プロに認めて頂いています。なので、僕の得意の社会風刺や一発ギャグなんかも入れられたらと思っています。

――本作『怪獣酒場 カンパーイ!』はどのような作品なのですか?

河崎 適当ですよ(笑)。もちろん悪い意味ではなく、良い加減に力を抜いて作っている作品なんです。タイトルからも分かる通り、ほろ酔い加減で観て欲しいですね。ウルトラマンシリーズの本道のような真面目な作品と、ちょっと肩の力を抜いて楽しめるような作品が両方あっていいと思うんです。どちらかと言うと、僕は後者の方が好きなんですよ。初代『ウルトラマン』で監督をされた僕の師匠である実相寺(昭雄)監督もかなりアヴァンギャルドな作品を作っていて、テレビ局から怒られても「放送されたら勝ちだ」と言い放ったという逸話があるんです。でも、それはギリギリのところを攻めるプロとしての戦いで、これは特撮だけでなく、アニメを制作する上でも同じだと思うんですよね。

――アニメーション制作をDLEさんが担当されることに対しての期待は?

河崎 もちろん期待しています。フラッシュアニメ『秘密結社鷹の爪』が幅広い層に認知されていて、それを担当している一流の現場ですからね。まだ全部が完成してはいないんですが、パソコンの画面上などで絵や動きをチェックしたりして、僕自身も非常に楽しみにしています。


作品のコンセプトがまさに女子高生からオタクまで、
幅広い層に観てもらおうということなので、そのさじ加減が難しかった

[V-STORAGE online 限定]――本作では監督だけでなく脚本の監修も担当されていますが、どんな話にしたいですか?

河崎 物語的には怪獣が愚痴を言ってるだけなんです(笑)。サラリーマンが飲んで愚痴を言うのって端から見ていて面白いじゃないですか。それをレッドキングやピグモンたち怪獣がやったらどうだろうと。その時に、レッドキングやピグモンが一体どんな怪獣なのか、愚痴を言わせるにしても外せない部分があるんです。怪獣の設定をどこまで活かすのか、そういう判断などを含めて脚本の監修もやらせてもらっています。作品のコンセプトがまさに女子高生からオタクまで、幅広い層に観てもらおうということなので、そのさじ加減が一番難しかったですね。

――人気怪獣たちのデザインがとても可愛いですが、気に入っているところは?

河崎 ウルトラマンキッズというデフォルメものは何年も前からあるんですが、今回は怪獣たちに服を着せてみたりして、本当に可愛らしい感じになっているので、キャラクターに人気が出てくれると嬉しいですね。ただ、バルタン星人を始め、ピグモンやダダなど人気のある怪獣は限られているので、彼らをレギュラーとして登場させ、その都度ゲストキャラみたいな感じで他の怪獣たちが登場するといった構成になっています。

[V-STORAGE online 限定]――本作の見どころを教えてください。

河崎 キャラクターの面白さや可愛らしさと、ギリギリを攻めているギャグですね。単純なフラッシュアニメにはしたくなくて、今までにないものを目指しているので、“何か変だな”って観てくれた人が思ってくれたら僕の勝ちだと思います。

[V-STORAGE online 限定]――最後に、ファンの方へメッセージをお願いします。

河崎 あまり期待しないでください(笑)。どうやら僕の作品は期待しないで観ると“結構良いじゃん”となるらしいので。でも、その方が色々と自由にできることも多いので、僕みたいなタイプの監督には向いているのかもしれません。ただ、僕のウルトラ関連作品の監督デビュー作が『怪獣酒場 カンパーイ!』というのは複雑ですね(笑)。でも、実相寺監督が生きていたら「当たり前だろ!」って言うかもしれませんけどね。

PROFILE

河崎 実(かわさきみのる)
1958年8月15日、東京都生まれ。明治大学在学中に、映画研究会CINEMAZOにおいて8ミリ映画を自主製作。『フウト』『イキナリ若大将』などが高い評価を得る。大学卒業後、CMプロデューサーを経て1984年フリーに。主な代表作に『地球防衛少女イコちゃん』『電エース』『いかレスラー』『コアラ課長』『日本以外全部沈没』『ヅラ刑事』『かにゴールキーパー』などがある。

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