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映画『天の茶助』 SABU監督 単独インタビュー!【後編】

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『天の茶助』(6月27日全国ロードショー)のSABU監督単独インタビューの後編。 ベルリン国際映画祭でのエピソードや大友克洋さんによる表紙イラストの文庫本発売についても伺った。
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主人公の茶助を初めとする主要キャラクターたちの過去も描かれる本作そのシーンには様々な作品のオマージュが満載!

脚本家の話でもあるので、面白い、面白くないは別として、あの世でも“パクリ”があったりするのかな?という発想から生まれました。作品を悪く言っている訳ではないのですが、人によって受け取り方が違います。それが大作だと、つまらない作品の代名詞として取り上げたのではないかと思われる人もいるみたいで…。オマージュの1つに『タイタニック』を思わせるシーンがあるんですが、実は『タイタニック』を見たことがないんです(笑)。衣装合わせですごく大きなネックレスが用意されていて、「こんなに大きいのつけるの?!」と話していたら、「これ…実際に作品に出てくるものですよ。」と言われ、見てないことがバレちゃいました(笑)。あとは意外と思われるかもしれませんが、好きな映画『ノッティングヒルの恋人』のシーンも入れてますよ。この作品には色々な作品が散りばめられているので、映画を観た後に、お客さんがお茶でも飲みながら感想を言い合って、それぞれが映画を完成させてくれたら嬉しいです。

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第65回ベルリン国際映画祭コンペティション部門で上映され、2000人近い観客が爆笑した映画祭での心境とは

本当に「ヨッシャー!!」という気持ちで、お客さんが狙い通りのところで笑ってくれ、盛り上がっているのを目の当たりにして、自信になりました。別の上映回もこっそり観に行ってみたんですが、そこでもすごく盛り上がり「ブラボー!」と叫んでくれていたので、自分がいる、いないに関係なく楽しんで貰えていたことがまた嬉しかったです。目立つのが恥ずかしいので、前に出て挨拶はしなかったんですが、今思えば挨拶した方がお客さんに喜んで貰えただろうな、ちょっと後悔しています。

5月28日に発売された文庫本の表紙のイラストはなんと大友克洋さんによるものその経緯を明かしてくれた

大友さんが監督し僕が主演した『ワールド・アパートメント・ホラー』以来、年賀状のやり取りや、たまに電話するくらいの親交はあって、それを知った(幻冬舎の)担当編集者にコソッと大友克洋さんに表紙のイラストをお願いできないですかと言われて(笑)。「断ってもいいんですけど…」と恐縮しながらお電話でお願いしてみると意外にもご快諾いただけて(笑)。原作と映画の試写にも観に来て貰い、描いて下さいました。仕上がりを手にして緊張しましたし「うわ!本物だ!カッコイイ」と思いましたね。本当に嬉しかったです。

好きな監督はマーティン・スコセッシという監督にご自身についても聞いてみた

監督になったキッカケは、俳優をしていた時に自分が面白いと思う脚本がなかったんです。そこから自分で書き始めてプロデューサーに見せ、映画化するときに三番手くらいの役で出演するというイメージで、初めは脚本だけ提供するつもりでした。『弾丸ランナー』を書いた時に誰が監督するか話していたら、書いた本人が一番いいんではないかとなり、監督をすることになっちゃいました(笑)。嬉しいことに、撮影現場ですでに面白いと噂になっていて、次の脚本はないのかと言われ、同じ年に『ポストマン・ブルース』も撮ったので早いペースでしたね。当時は2作目が肝心だと言われていて、2作目も面白いと評価され、次は3作品目が肝心だと…永遠に言われ続けて今に至っています(笑)。
好きな監督はこれまでいなかったのですが、マーティン・スコセッシ監督の最新作『Silence(原題)』に出演して、スコセッシ監督を今まで以上に好きになりました。『タクシードライバー』や『グッドフェローズ』は大好きです。これからは「スコセッシ監督が一番好きです」とどんどん言っていこうと思っています(笑)。

最後に、常日頃からご縁を大切にしている監督が本作に込めた願いとは…

描きたかったテーマのひとつとして、上手くいかないとか、面白くないとかもそもそ嘆いているだけではなく、自分でこうしたい、こうなりたいという気持ちを自分でしっかり持ち、それに向かって何をすれば良いのか考えて、準備して、目標に向かって頑張ろう!という想いを強く持てば叶うよっていうことを伝えたいと思っていて、少しでもそのことを感じて貰えれば良いなと思います。


PROFILE
原作・脚本・監督 :SABU(さぶ)

1964年生まれ。和歌山県出身。
デザイン学校を卒業後、ミュージシャンを目指して東京へ上京するも俳優に転身し、『そろばんずく』(86年/森田芳光監督)で俳優デビュー。その後『ワールド・アパートメント・ホラー』(91年/大友克洋監督)で映画初主演を果たし、第13回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞に輝いた。自ら脚本を書いた初監督映画『弾丸ランナー』(96)は国内外で高く評価される。続く『ポストマン・ブルース』も映画祭で上映されるなど話題となり、一躍その名が知られるようになった。以後、笑いを絶妙に織り交ぜたエンタテインメント作品を中心に、映像分野で創作活動を続け活躍中。本作『天の茶助』では小説家デビューも飾った。

【主な代表作】
『弾丸ランナー』(96)、『ポストマン・ブルース』(97)、『疾走』(05)、『蟹工船』(09)、『うさぎドロップ』(11) 『Miss ZOMBIE』(13) など。

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