インタビューココだけ | ガールズ&パンツァー 最終章

目指したのは「毎日食べても飽きない味」。スイーツやコラボメニューも人気の、青い籏を掲げた大洗のラーメン屋さん。中野澄[ガールズ&パンツァー 大洗女子学園掲示板]

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『ガールズ&パンツァー』の舞台・大洗で、より作品を身近に感じている方々に、作品と出会ったきっかけやエピソード、作品への思いなどを聞いていく『大洗町めぐり~大洗の今、そしてこれから~』。第11回は麺屋 渡来人 代表取締役 中野澄さんにお話を伺いました。

目指したのは「毎日食べても飽きない味」。スイーツやコラボメニューも人気の、青い籏を掲げた大洗のラーメン屋さん。

──まずはお店のPRをお願いします。

大洗町大貫町にあるラーメン屋です。店名は自分が「渡来人」のように他所から大洗に来た事と、挑戦する=「TRY」、ラグビー用語のトライ=「成功する」の三つの意味から名付けました。スープは豚骨・鶏ガラ・野菜を使った動物系スープと、6種類の節類からとった魚介出汁を合わせたWスープ。これにベストマッチする3種類の麺を毎日取り寄せてラーメンを作っています。コンセプトは「ラーメンは日常食」である事。あまりインパクトばかり追い求めるのではなく、魚介の風味は前面に出しつつ毎日でも食べられる味を目指しています。そのために開業以来1日も欠かさず、味やオペレーションにブレがないか試食をしているんですよ。さらに改良も加えているので開業からレシピが変わっていないメニューは何一つありません。

▲ヘッツァー(38(t)改)の戦車パネルが目印の麺屋 渡来人。『最終章』第1話で同車がフラッグ車を務めた事から、店先には青い旗も飾られている。営業時間は【昼】11:30~14:00/【夜】17:00~20:00。定休日は月曜日と火曜日。

──ラーメン屋を始めたきっかけは何でしょう?

元々は保険会社のサラリーマンでした。でも自分には飲食業が向いていると考え、30歳を過ぎてから企業の迎賓館運営の仕事に転職し、そこで支配人を務めながら厨房で料理を勉強しました。その後、大洗の保養所勤務を経て、独学でラーメン作りを研究して2007年に店を開業しました。ラーメン屋を選んだのは最も身近で利用頻度の高い飲食業と考えたからです。

──中野さんが『ガールズ&パンツァー』と出会った経緯をお聞かせください。

「大洗が舞台のTVアニメが放送されている」とは聞いていましたが、商工会に入っていなかったため詳しくは知らなかったんですよ。また店が大貫町のあまり人目に付かない場所にある事もあり、大勢のファンが大洗を訪れている実感もありませんでした。それが5月の連休中、大勢の人が大洗に溢れているのを見て驚いたんです。大洗は車での移動が普通なのでイベントの日くらいしか人が歩きませんからね。震災で元気がなくなっていた大洗に、これほど多くの観光客を呼ぶアニメって何なんだ?と初めて興味を持ち、私も大洗商店主の一員として共にガルパンと町を盛り上げたいと思い、遅ればせながら商工会にも入会し、戦車パネルも設置していただきました。

──ここで、ようやく『ガールズ&パンツァー』をご覧になったわけですね?

リアルタイムの放送は観られませんでしたが、商工会に入ってからようやく拝見しました。何度も店に来てくださるお客さんに対し、「そのバッジは○○ですね」とか話しかけたいじゃないですか。ラーメン屋はお客さんの滞在時間が短いので、普段こちらから話しかける事はまずないんですよ。でも『ガルパン』ファンの方と作品の話ができたり、それが縁で店に何度も足を運んでくれるのは、店とお客さんの関係性を超えた人間関係ができたような気がしてこちらも楽しいんです。好きな人ができれば、その人の好きなことを知りたくなるでしょう? それと同じですよ(笑)。

──作品からはどのような印象を受けましたか?

「女子高生が戦車で戦う深夜アニメ」と聞いた時は、『バトル・ロワイアル』的なバイオレンス物かと思いました(笑)。でも戦車での戦いは競技ですし、登場人物も個性的で可愛いし、面白く拝見させていただきました。そしてTVシリーズでは出遅れたぶん『劇場版』はすぐ観に行ったんです。そうしたら感動して、ようやく皆さんと同じスタートラインに立てました。ただ『劇場版』はストーリー以前にどうしても大洗町民視点で観てしまいますね。大勘荘の看板が倒れたり、肴屋本店が壊されるシーンとか、そんなネタばかりに気を取られてしまいました(笑)。そして『最終章』第1話の頃には知り合いのファンが増えたので、感想を語り合うため公開直後の定休日(月曜)に観に行きました。オープニングのテーマ曲を聞いた時は、感動のあまり鳥肌が立ちましたよ(笑)。そして1回だと細かい部分に気付けないと思ったのでその日のうちに2回観たんですよ。そこまでしないとファンのお客さんと会話が成立しませんからね(笑)。その後でお客さんに「あのバーって大洗にあるカラオケスナックだよ」と教えたら意外と知られていなくて、教えていただいてばかりだった僕が初めてそこで一歩リードできました(笑)。

──好きなチーム、エピソード、戦車は何でしょう

もちろん大洗女子学園のカメさんチームです。当店の戦車パネルがヘッツアーですからね。愚問ですよ(笑)。とは言えパネルをいただいた時はヘッツアーが何なのか全く知らず、だいぶ遅れた後に『ガルパン』を観てようやく理解しました。小さくて可愛らしくて、決して強くはないけど、戦車の中に潜り込んだり、ひっくり返されたりと、とても愛嬌のある戦車ですね(笑)。一方、実は娘が『ガルパン』を知る以前から声優の上坂すみれさんの大ファンで、ついつい、ぴよたんやプラウダ高校のノンナも意識したり応援してしまいますね。第9話でそのノンナにカメさんチームは撃破されてしまいましたが(笑)。

──お店の人気メニューを教えてください

基本的にラーメン、みそラーメン、つけ麺しかない店で、それぞれにファンがいて同じ物を注文してくれるんですよ。ですから突出した人気メニューはないので、「全てが満遍なく人気」と書いておいてください(笑)。ただ強いて言うなら開店当初から人気のある「なめらかプリン」ですね。最近はスイーツだけ頼まれる方もいらっしゃいます(笑)。

──戦車道チームをイメージしたラーメンを出されていますね。

学校の名前や国に因んだ素材を使って考えています。昨年夏に期間限定で販売したアンツィオのラーメンが最初で、その後町内のイベントでは大洗女子ラーメンと黒森峰ラーメンを同時販売し、どっちが売れるか勝負をして盛り上げました。このようなコラボメニューはお陰様で大好評ですが、お客さんの数がまったく読めないし、仕込みも提供も普段のメニューとは違う手順になるので大変なんですよ。ですから最初は限定30食くらいにしていたのですが、それ目当てで来たのに食べられないお客さんが多く、今ではコラボメニューの日は限定数を設定しない事にしました。大変ですが皆さんの喜ぶ顔が見たい一心で頑張っています。これらのコラボメニューは期間限定で販売していますので、事前に渡来人のツイッターやブログで確認してください。

▲アンツィオ高校ラーメン:トマトベースの冷製スープにイタリア風サラダをトッピングしたサラダラーメン。ブラッドオレンジシャーベット付。サラダのドレッシングにはアンチョビを使用し、カルパッチョ代わりのコンニャクの刺身を乗せている。

▲聖グロリアーナ女学院ラーメン:紅茶で煮込んだ豚の角煮を入れた、横浜中華街風のラーメン。ファン以外の常連客にも好評で、定番メニュー化を望む声も多いという。

▲大洗女子学園ラーメン:大洗町の海産物であるハマグリとしらすを使った塩ラーメン。

▲黒森峰女学園ラーメン:黒森峰の母港がある熊本県に由来した豚骨ラーメン。

──コラボメニューでボツになったラーメンはありますか?

あります。申請を出す時は見た目だけ完成させたラーメンの写真を送り、味は後から整えるんですよ。申請は通ったけど納得できずに自らボツにしたメニューもあります。

──そのメニューとは何でしょう?

プラウダです。最初は母港がある青森県のご当地ラーメンで申請したのですが、やはりプラウダはロシアのイメージなので練り直しているところです。東京でロシア料理を食べ歩いたりして研究していますが未だに完成していません。頭の中で組み立てていた味と実際に作った味が違うんですよ。メニューとして出せるまでには味を足したり引いたりして、何度もレシピを変えないと完成しませんね。それが料理の面白いところなんですけどね(笑)。

──お店に西住みほ役の渕上舞さんがいらしたそうですね。

 TVアニメの放送終了後、まだ『劇場版』の話もなかった頃に、別作品のお仕事でスタッフさんと一緒に来られました。ただ恥ずかしながら、その頃の自分は渕上さんのお名前もお顔も知らず、ごく普通のお客さんとして接客していたんです。するとスタッフの方が気を遣ってくださって「あの方は『ガルパン』の主役の声優さんですよ。サインもらっとかなくていいんですか?」と教えてくれました。そこでTV版の宣伝ポスターにサインをしていただきました。今にして思えば何たる大失態! 大変失礼な事をしてしまったと後悔しています。是非もう一度お会いしてその時のお詫びを直接したいとずっと思っています。

──お店にはいつ頃からファンが訪れるようになったのでしょう?

TV放送の時から来られていたと思います。ただ当時は今のようにTシャツを着たりバッジを付けた方はいらっしゃらないので判別できなかったんですよ。明らかに増えたのは『劇場版』公開前後で、その頃からグッズを身に付けた方が何度も来店されるようになりました。ファンの皆さんは大洗在住の僕以上に大洗に詳しいんですよ。ファンの方のSNSで存在を知ったお店もありました(笑)。

──来店客に変化はありますか?

 『劇場版』で増えた後に『最終章』でさらに増えました。リピーターだけでなく新規のお客さんも確実に増えています。大洗を訪れるファンはまず劇中に出た場所を目指すので、商店街と逆方向にある当店は観光コースから外れていたんですよ。でも大洗にハマった方は何度も町を訪れるので、近年ようやく当店のようなエリア外の店にも足を伸ばしてくれるようになりました。また大貫商店会でも各種イベントやオリジナルクリアファイル・缶バッジの配布等もやっており、その地道な活動によりこの地域もファンの方に認知されたのだと思います。

──『ガルパン』に感銘を受けたファンが大洗を訪れ、何度も足を運ぶのはなぜだと思いますか?

やっぱり居心地が良いからだと思います。ガルパンギャラリーやブロンズのような有名店だけでなく、普通の商店にもファンを歓迎するムードがあるんですよ。僕も県外から来た移住者なので良く分かります。大洗に住み始めたのは以前の仕事の関係ですが、その時から町の皆さんに本当に良くしていただき、良い人間関係を築かせていただきました。僕がここで開業する決意をしたのは、そんな人間関係や自然環境の良さからなんです

──そんな大洗を故郷同然に考えているファンも多いですね。

町を訪れるファンは「大洗に帰る」と言いますからね。そして親戚の家に挨拶回りに行くように、同じ店を同じルートで回るそうです。一方の僕らも常連客というよりは親戚の子が帰ってきたような感覚になります。実際、関西に住んでいるファンの子がいるのですが、東京に住んでいる自分の息子よりも会う頻度が高いんですよ(笑)。そんな子達がここで出会って意気投合し、一緒にドルフィンに行ってカラオケで歌ったりするんです。他にも旅館で相部屋になったのがきっかけとか、この町は『ガルパン』を通じて人と出会えるコミュニティの場になっています。そういう出会いは見ていて自分も楽しいですね。

──今後の抱負をお願いします。

まずは、もっともっとガルパンのストーリーを研究してそこからファンの方が思わずクスッと笑えるようなコラボラーメンを作っていきたいと思います。具体的にはプラウダをそろそろ完成させたいですね。タイミング的にはBC自由学園も面白いですが、ラーメンをフランス風にするのはなかなか難しいです。デザートはどうにでもなるのですがね(笑)。また、高校単位ではなく登場人物個人にちなんだラーメンもいいですね。

──でもメニューを考えるのは楽しそうですね。

聖グロのラーメンを作ると予告した時、皆さん「紅茶味ですか?」って言うんですよ。あとアンツィオなら「3種のチーズのラーメンですか?」とかね。いやいや、そんなベタなことはしませんよ(笑)。それにノリや形だけではダメなんです。目指すのは『ガルパン』を知らないお客さんにも通じるラーメンです。お金を払って食べる価値があるメニューでないとお出しする意味がありませんからね。またヘッツァーのパネルを預かっている以上、前生徒会にちなんだラーメンは作らなければならないと思っています。

──最後に次の取材相手のご紹介をお願いします。

公認ガルパングッズの石札などを作られている小野瀬石材さんに繋ぎます。経営しているのがオタクの夫婦で、二人でコミケやワンフェス、ニコニコ超会議とかも行ってるんですよ。そんなオタクぶりを恥ずかしがらずに語ってほしいです。

PROFILE

中野 澄(なかの・きよし)
1962年2月生まれ。東京都出身。損害保険会社勤務からペンション経営を夢見て企業迎賓館の支配人兼料理長に転職。2001年保養所管理人として大洗へ移住し、2007年に大貫町にて麺屋渡来人開業。ファンの間ではラーメンだけでなくスイーツの名店としても親しまれている。

<Blu-ray&DVD情報>


ガールズ&パンツァー TV&OVA 5.1ch Blu-ray Disc BOX
2018年12月21日(金)発売!

<上映情報>
ガールズ&パンツァー 最終章 第2話
2019年6月15日(土)劇場上映!

ガールズ&パンツァー 最終章 公式サイト

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