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『亡国のアキト』脚本家インタビュー 大野木寛×浅川美也全文掲載

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『コードギアス 亡国のアキト』の脚本を担当した大野木寛さんと浅川美也さんに5月2日より劇場上映される第3章の見どころなどを伺った。

赤根監督はシナリオライターに
優しくない(笑)

──脚本を担当されることになった経緯は?
大野木寛(以下、大野木) 河口(佳高)プロデューサーから渋谷の喫茶店に呼び出されてまして(笑)、そこで話を頂いたという感じです。 浅川美也(以下、浅川) 以前から赤根(和樹)監督の作品(『ジーンシャフト』『ヒートガイジェイ』など)に参加させて頂いていたこともあって、赤根監督から直接声を掛けて頂きました。
[V-STORAGE online 限定]―― 赤根監督も脚本として参加されていますが、三人の作業分担はどのような感じだったのでしょうか?

浅川 ストーリーの大きな流れなど基本的な部分は赤根監督が全て一人で考えて、それを私や大野木さんがサポートするといった感じです。第1章の頃は、キャラクターの部分を主に担当していたんですが、今はメカのシーンも含め、まんべんなく担当させてもらっています。 大野木 僕は全体的な流れをどうまとめていくかという部分と、メカの戦闘シーンの部分を主に担当しています。第3章で言えば、大まかに別けると、前半パートを浅川さんが担当し、僕が後半パートを担当しています。

──『亡国のアキト』の脚本を担当されて苦労した点は?
浅川 赤根監督は何度も打ち合わせをしていく中で、キャラクターを作り込んでいくタイプの監督なので、その度に脚本を修正することになる訳です。そのやりとりが大変でしたね。 大野木 まさにその通りで、赤根監督とのキャッチボールが上手くいけばいいんですけど(笑)。たまに、あらぬところから球が飛んでくることもあるんで、その対応に四苦八苦してましたね。
──脚本家から見て、赤根監督はどのような監督ですか?
浅川 サッカーが大好きですね(笑)。打ち合わせの際もサッカーの話だったり、作品のことだけなく様々な話をされる方なので、打ち合わせをしていても楽しいですよね。とても面白い監督だと思います。 大野木 凄く才能のある監督だと思います。でも、シナリオライターには優しくないかな(笑)。これほど稿数を重ねる現場はほとんどないと思います。通常のTVシリーズの1話分で言うと、多くても3稿か4稿なんですけど、『亡国のアキト』に関しては桁が違いますからね。 浅川 10稿くらいまで進んで「もう終わるかな」って思いきや、物凄いちゃぶ台返しが起きて、またプロット作りから始まるみたいな…。リセットしたところから稿数がまた変わるので、最終的に何稿までいっているのか私たちも把握してないんです。 大野木 浅川さんとは打ち合わせで本当に毎週のように会ってましたからね。
──キャラクター部分の脚本を書く上で注意した点は?
浅川 赤根監督の中にキャラクターのイメージが何となくあって、それをどう掴まえてシナリオに落とし込んでいくかということなんです。提出してはダメ出しされてという感じで、何度もやりとりを繰り返して方向性を決めていくので、注意した点というのは特にないですね。ただ、長年ずっとやっているので、何となく赤根監督が嫌いなものは分かっているつもりなので、品がないものとか、そういうものは入れないようにしてましたね。赤根監督の頭の中に浮かんでいるキャラクターのぼんやりとした輪郭を、はっきり描き出していくような、そんな感じですね。

ランスロットの登場シーンと
アキトたちの様々な表情が見どころです

[V-STORAGE online 限定]──その中で特に苦労したキャラクターは?

浅川 全部大変でしたけど、強いてあげるならアキトですね。元々が無口なキャラクターなので、どんなセリフを喋らせればいいのか苦労しましたね。 大野木 シンも大変でしたね。常識を外れたキャラクターにしたいという赤根監督の意向があったので、どうすればいいか凄く悩みました。

──メカ部分の脚本を書く上で注意した点は?
大野木 先程キャラクターの部分で話していたことと全く同じです(笑)。赤根監督の中で「あれもしたい、これもしたい」というものがどんどん膨らんできて、僕の方から「これをこうするなら、こちらはこうしましょう」って提案すると、「それも良いけど、でも、こっちも」って(笑)。そんな感じのやりとりが何度もありました。
──第3章「輝くもの天より堕つ」の見どころを教えてください。
大野木 第3章では、CGのメカ戦という意味では最先端の映像が楽しめると思います。特にランスロットの登場シーンは必見です。あと、第2章で登場したジュリアスやスザクの活躍にも注目して欲しいですね。 浅川 キャラクターの部分で言えば、アキトが徐々に仲間たちに心を開いていくところが見どころだと思います。どうしても戦いの中にいると殺伐とした雰囲気になりがちなんですけど、今回は戦いから少し離れたシチュエーションで、アキトたちの物語は展開していくので、彼らの様々な面を見ることができると思います。あと、アキトたちが出会う人たちにも注目して欲しいですね。彼女たちとの出会いが、アキトたちの様々な表情を引き出してくれていると思います。それと、レイラの過去が垣間見られるシーンもあるので、その辺も楽しみにしていてください。

PROFILE
大野木 寛(おおのぎひろし) 脚本家。数多くのアニメ作品の脚本やシナリオ構成を務める。主な作品に『地球少女アルジュナ』『創聖のアクエリオン』などがあり、赤根監督の『ヒートガイジェイ』『ノエイン もうひとりの君へ』を担当。 浅川美也(あさかわみや) 脚本家。アニメ作品を始め、映画や舞台などの脚本も務める。主な作品に『ブレンパワード』『∀ガンダム』『とある科学の超電磁砲』などがあり、赤根監督の『ジーンシャフト』『ヒートガイジェイ』を担当。

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