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映画評論家・尾﨑一男の『メガロボクス』はココを見ろ!

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『あしたのジョー』連載50周年企画として制作されるオリジナルTVアニメ『メガロボクス』。TV放送にさきがけて映画評論家・尾﨑一男が鑑賞し、本作の見どころを解説!

コンセプトをイメージ通り具現化させる森山美学!

『メガロボクス』が初監督となる森山 洋は、主にコンセプトアーティストとして数々の人気アニメに携わり、作品のカラーを決定づける重要な役割を担ってきた。そんな森山自身が本作で監督とコンセプトデザインとを兼任することで、氏の創り出すハイ・イメージが脚本や演出家、アニメーターらを繋ぐ共有手段としてだけでなく、独自の世界観を圧倒的なまでに形成している。

特に今回の場合、〝デストピア〟と〝ユートピア〟の渾然とした世界を舞台に、戦うことでしか自己を主張できないキャラたちが主線の力強い劇画タッチで表現され、観る者を引きずり込むに充分なインパクトを放っている。またそれは同時に「『あしたのジョー』のリ・イマジネーション」というコンセプトを見事に具現化しているといえるだろう。強化ギアを用いた激闘を荒々しく描くかたわら、飛散する血や汗をアートのように演出する、このように際立ったコントラストもまた、森山美学をド派手に主張するのである。

偉大なるオリジンをどのように活かし、どう変えていくのかに注目してほしい

やはり『あしたのジョー』を換骨奪胎(かんこつだったい)させた作品だけに、偉大なるオリジンをどう活かしているのかが最大の興味どころだろう。矢吹ジョーを彷彿とさせるジャンクドッグの野性的な佇まいや、力石 徹のDNAを感じずにはおれない勇利の好敵手ぶりなど、こうしたキャラクターの置き換えをはじめ「立つんだ!」「明日のために」といった名ゼリフの扱いに至るまで、全神経を注いで注目せざるをえない。

個人的には2話までを観た限り、誰もが知る古典を大胆にアレンジしながら、細部まで気を配った作りに好感触を覚える。加えて拳と拳、肉体と肉体がぶつかり合う格闘技にハイテクノロジーを融合させた『メガロボクス』の設定も、この物語にどう作用していくのか大いに関心を引くところである。原典がボクシング漫画だからといって単純にボクシングを反復するのではなく、かの伝説のキャラクターたちがどこまでその飛躍した設定に呼応し、また変化を見せるのか─?そんな作り手側の挑戦的なアプローチも、しっかりと観て欲しいポイントだ。

PROFILE

尾﨑一男(おざきかずお)
映画評論家&ライター。主な寄稿媒体に「フィギュア王」「チャンピオンRED」「映画秘宝」「映画.com」「ザ・シネマ」などがある。

<放送情報>

4月5日(木)深夜25:28〜TBS他にて放送開始!

メガロボクス 公式サイト

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