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アニメ評論家・藤津亮太氏が京田知己総監督に鋭く切り込む!『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』アニメ誌連合試写レポート

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新たな構想に基づいて、全てのセリフを再構築、新たなストーリーで紡がれる劇場3部作『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』の第1部が、2017年9月16日(土)より劇場公開される! そんな中、情報解禁時に話題となった史上初のアニメ誌連合試写が、9月8日(金)、秋葉原のUDXシアターにて開催された。上映後にはトークショーが実施され、京田知己総監督とアニメ評論家の藤津亮太さんが登壇。藤津さんが全てのアニメファンを代表し、本作について聞きたいことや知りたいことを京田総監督に質問。果たして、京田総監督は何を語ったのか? 貴重な会となったトークショーの模様をレポートする。

連日のPR活動に『こんなにやるんだ…』と漏らす京田総監督

盛大な拍手の中、登壇したのは京田知己総監督と進行を務めるアニメ評論家の藤津亮太さん。挨拶の後、「連日の試写で、舞台挨拶や取材はいかがですか?」と藤津さんが問いかけると、「4日連続でやっています。今日は大阪から帰ってきました(笑)。『こんなにやるんだ…』って思いましたね」と心情を吐露。藤津さんが「全国107館での公開ですので、このぐらい稼働するんじゃないですか」と返すと、「そういう仕事を今までしたことがないので、他の人もやるのかなって考えました。多分、水島精二さん(代表作『鋼の錬金術師』)なんかは上手くやっているんだろうな」と答え、会場を笑わせた。続いて話題は、アニメージュ(徳間書店)、アニメディア(学研出版)、ニュータイプ(角川書店)という出版社の枠を超えて実現した今回の試写会「“我らのエウレカ!”アニメ誌3誌連合試写」について。藤津さんが「アニメ誌は何派でしたか?」と質問すると、京田総監督は「僕はアニメック派でした。中学生の時に友達から教えてもらって、それで出渕裕さんやGAINAXの皆さんの名前を知りました」と中学生当時の思い出を語った。

「僕らはもうレントンにはなれないね」と企画が立ち上がった時から話していました

いよいよ本編の話へと移り、「中学時代の話が出ましたが、14歳のレントンを描く際、ご自身の中学時代の感覚などは反映しているのですか? それとも少し距離を置いて作っているのですか?」という質問に、京田総監督は「自分自身の中高生時代をエピソードに反映しているつもりはないので基本的には距離があります。でも、最初のTVシリーズの時よりは反映されていると思います。チャールズとのやり取りの部分を実は微妙に直していますけど、その修正は14歳の自分だったらこういう反応をするのかなって考えて入れています」と答えた。それに対し、「修正というのは、TVシリーズの絵と同じように見えるけれど、実は比べると違いが分かる訳ですよね?」と藤津さんが切り込むと、「そうですね。物理的に絵が残っていなくて、完成した映像になる直前のデータとなるアフターエフェクトしか残っていないデータも何カットかあったんです。今回、動きや背景をもう一度作り直すためにキャラクター作画監督の倉島亜由美さんに修正を入れて頂きました。その時にどうせ直すのだったらということで、目線を変えたり、ニュアンスを変えたりしました。そこまでやるつもりはなかったんですけど、結果的にそういう機会があったのでやった方がいいなと思い、やりました」とTVシリーズとの違いを京田総監督が説明した。

次に「今回の『ハイエボリューション』では、どんな思いでレントンに接していますか?」という質問に「どっちかって言ったら、(自分の)子供に近いのかなと思います。自分がもうすぐ50になる年齢で、今さら中学生のメンタルに戻ることはできない。企画が立ち上がった時に脚本の佐藤大さんや、キャラクターデザインの吉田健一さんと『僕らはもうレントンにはなれないね』って話していました。なので、レントンを観察する感じですかね」と答えた。重ねて、「その観察の枠組として、今回レイとチャールズがすごく大きい役割を果たしていますよね?」と聞かれ、「一番変わったところかもしれないですね。レントンの周りに親というか見守る人がいなくなっちゃって、元から捻くれているのに、さらに捻くれてしまう。そうならないためにはちゃんと見守る人がいるべきだろうと思ったんです。なので、レイとチャールズをちゃんと義理の親にしてあげたいなと思ったんです」と本作の軸となる親子愛の話について語った。

左から藤津亮太さん、京田知己総監督

ロマンチストじゃないと“サマー・オブ・ラブ”なんて言い出さないですよね

続いて、話題はレントンの父親であるアドロック・サーストンへ。京田総監督は「アクセル・サーストン役の青野武さんが亡くなられて、これは我々スタッフのワガママかもしれないですけど、青野さんの声じゃないアクセルは見たくないということで、アドロックの話をやろうということになりました」と“サマー・オブ・ラブ”の誕生秘話が明かされた。また、「声優を古谷徹さんにお願いした理由は何だったんですか?」という質問に、「キャラクターの設定画だけを見ると、渋いオジサンに見えると思うんですけど、特攻する渋いオジサンだけにしたくなくて、アドロックというキャラクターを考えていくと実は凄く繊細な人で、ロマンチストな人だと思ったんです。ロマンチストじゃないと、あんな作戦を考えないですし、“サマー・オブ・ラブ”なんて言い出さないですよね。色んなものを背負って物事を解決する強さと繊細な弱さが声で分かるようにしたいと思った時に古谷さんしか考えられませんでした」と語った。

アドロックと一緒にいたエウレカについて、「シリーズ全体でどのように描きたいと考えていますか?」と聞かれると、「ヒロインとして描きたいなと思っていたんですけど、ただ普通のヒロインにはしたくないなっていう気持ちがずっとありました。例えば、男の子と女の子が出会って成就する話だとして、そこで終わっちゃう話にはしたくないなと。なので、エウレカに対して辛い課題を与え続けています。この間、吉田さんと『課題を与えることに対して僕らは臆病になってきているね』と話していたんです。昔だったら、作品のためだから与えるべきだって言えていたのに、今の自分たちは作品として正しいものだとしても、本当に課題を与えられるのだろうか…と一緒に悩んでいたんです」と心境の変化を口にした。さらに、京田総監督は「エウレカはどっちかって言うと(自分の)子供じゃないんですよ。“強い生き様を持って自立して生きていく人”であって欲しいんです」と力強く語った。

音楽で閉塞感などレントンの心情も表現しています

続いては音楽の話題へ。「音楽の佐藤直紀さんのスコアでレントンの心情が伝わるようにされていて、最後に尾崎裕哉さんが歌う主題歌「Glory Days」に繋がることで設計されていると思いました。音楽についてはいかがですか?」と藤津さんに聞かれ、京田総監督は「音響設計までやらせてもらったので、行き届いた部分があると思います。前半の戦闘シーンのところは広く厚くしてあり、後半のレントンの部分はホームドラマというか、空間の広がりも音も小さくしています。それにより閉塞感などのレントンの心情も表現しています」と音楽にもこだわっていることが分かるクロストークが繰り広げられた。

最後に、京田総監督は「イベントの最後には毎回これがあるので、もう10回くらいやっているんです」と会場の笑いを誘った。「作っている僕や現場のスタッフは奇跡で成り立っていると話しているんです。『エウレカセブン』というタイトルは人に恵まれていて、みんなに愛されているんだなと実感しました。なので、ここまで辿り着けましたし、ここに至るまでの12年間、好きでいてくれた方々の支えがあったからこそだと思っています。本当に感謝していますし、それをちゃんともう一度返さなきゃいけないなと感じています。12年前に作ったものよりもっと良いもの、みなさんに喜んで頂けるものを作って、観て良かったと思ってもらえるものを作っていけたらと思っています。第2部・第3部に向けて、あと2年間ほどお付き合い頂けると有難いです」と締めくくり、濃密な話が満載のトークショーは幕を閉じた。


<公開情報>
9月16日より全国ロードショー


<商品情報>
劇場版3部作の公開を記念して全2巻のBOXで登場!
TVシリーズ 交響詩篇エウレカセブンBlu-ray BOX/DVD BOX

交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 公式サイト

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