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ジャ・ジャンクー監督最新作『山河ノスタルジア』来日記者会見レポート

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時代のうねりに翻弄されながらも日々を精一杯に生きる市井の人々の「生」の瞬きを描いた『長江哀歌』でヴェネチア国際映画祭金獅子賞(グランプリ)を受賞、さらに『罪の手ざわり』でカンヌ国際映画祭脚本賞を受賞。昨年のカンヌ国際映画祭では審査員を務めた、中国の名匠ジャ・ジャンクー監督の最新作『山河ノスタルジア』が、4月23日(土)よりBunkamuraル・シネマ他にて全国順次公開される。その公開を記念して、ジャ・ジャンクー監督と、本作では25歳から50歳までに至る女性の半生を見事に演じ、世界から絶賛された主演女優のチャオ・タオさんが来日し、3月3日(木)、渋谷・Bunkamuraにて二人揃っての来日記者会見が行われた。今回は、その模様をレポートする。

ジャ・ジャンクー監督が『山河ノスタルジア』で撮りたかったものとは?

世界三大映画祭全てで受賞を果たした名匠ジャ・ジャンクー監督が最新作で描くのは、母と子の愛から浮かび上がる、過去・現在・未来へと変貌する世界と、それでも変わらない市井の人々の想い。1999年から2025年までの26年という長い時間を通して、急激に発展する中国の移り変わりと、その変わりゆく中でも変わらぬ人々の想い、そして故郷への想いを描いた本作は、第68回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、上映後には5分以上にわたりスタンディングオベーションが贈られ、世界中の映画人やマスコミ各社から絶賛された傑作だ。

ジャ・ジャンクー監督は「本作『山河ノスタルジア』では、前作『罪の手ざわり』と違うものを描いているように感じるかもしれないが、実は同じものを違った視点で描いている作品だと考えている」と語り、「どちらの作品も中国の急激な変化に翻弄されていく人々を描いた物語であり、『罪の手ざわり』ではそれが暴力という形で顕在化させたが、今回は一般の人々の感情の変化を描いた」と力説。そんな中、一つの例として「この作品では主人公のタオが子供の親権を手放す決断をしますが、彼女の価値基準では夫のほうが経済的に豊かだという理由で、子供の将来のことを考えての選択でした。そういう部分でも、中国社会の急激な発展や貧富の差が個々に大きな影響を与えていると思います」と説明した。また、本作の構想のきっかけについては「長い時間の中で、どういう影響を受け、本来の自分からどのように変わっていくのか。人は生きていく中で色々なものを手に入れるけれど、失ったものや代償になったものがたくさんあると思う。その過程を本作では撮りたかった」とも語った。

25歳から50歳までに至る女性を演じて…チャオ・タオさんが語る役作りのポイント

ジャ・ジャンクー監督第2作『プラットホーム』以降、『長江哀歌』『四川のうた』『罪の手ざわり』など全ての作品に主演し、本作では小学校教師タオの26年にわたる半生を一人で演じきったチャオ・タオさんは「演じる年齢に幅があるので、その年齢に適した人物をどのようにリアルに演じ分けるか、私にとって大きなチャレンジでした」と打ち明けた。また、25歳から50歳までの一人の女性を演じるにあたっては工夫が必要だったとも語り、「身体的な面と情感的な面を、年齢が上がるにつれて入れ替えていく演技が要求された。若い頃はエネルギッシュで身体機能を使った大きな表現、40代では情感が豊かになる代わりにその若さがだんだん失われていく精神的な表現。そこがタオという女性を演じる上でとても大きなポイントだった」と自身が演じた役について振り返った。また、脚本に書かれていないタオの空白の半生は自分の想像によって補ったとも語り、「タオが生まれてから1999年までどう生きてきたのか、彼女の伝記のようなものをノートに書き溜めたんです。そうすることによって、タオが生きてきた時間が熟成していって、撮影が始まる頃には自分の中にタオという女性が作り上げられていました」と役作りについても語ってくれた。

また、映画のラストシーンについてジャ・ジャンクー監督は「脚本を書き終えた時、実は自分が納得できるラストではなかったんです。その後、車を運転している時に、ふと思いついたのが、中年の女性が青春時代を過ごしていた時に聴いていた音楽を聴きながら当時の踊りを踊っている、というシーンなんです。それを思いついた時、自分の中で手応えを感じたというか、非常に興奮したのを今でも覚えています」と作品制作の舞台裏を明かしてくれた。その後も記者たちの様々な質問に対し、一つひとつ丁寧に言葉を選びながら答えていくジャ・ジャンクー監督とチャオ・タオさん。最後に、本作の公開に向けて一言ずつコメントを寄せた。ジャ・ジャンクー監督は「人生というものは、ある程度の年齢までいかないと分からないこともあるけれど、映画ならば歳を取らなくてもそれを体験することができる。特に若い人たちにこの作品を観て欲しい」と力強く呼びかけた。チャオ・タオさんも「ぜひ映画館に足を運んで頂ければと思います。そして、映画をご覧になってくださった日本の観客の皆様の心の中に深い感動が届くことを祈っています」と訴えた。

『山河ノスタルジア』公開記念!
世界3大映画祭を魅了したジャ・ジャンクー監督の
7作品が配信スタート!

1998年のベルリン国際映画祭で最優秀新人監督賞を受賞し鮮烈なデビューを果たした、初監督映画『一瞬の夢』から、2006年ベネチア国際映画祭で最高賞にあたる金獅子賞を受賞した『長江哀歌』、2013年カンヌ国際映画祭にて脚本賞を受賞した『罪の手ざわり』まで、世界の映画ファンを魅了したジャ監督作品7作品がインターネット配信で見られることが決定しました。

■『一瞬の夢』、『プラットホーム』、『青の稲妻』、『世界』、『長江哀歌』、『四川のうた』、『罪の手ざわり』
3月より Amazonビデオ、ひかりTVにて配信
4月以降 GYAO!ストア、GEO Online、DMM.com、VIDEX、bonobo他にて
順次配信開始予定
※配信情報は変更になる場合がございます。詳細は各配信サイトをご確認ください。

<公開情報>
山河ノスタルジア
4月23日(土)よりBunkamuraル・シネマ他にて全国順次ロードショー!
第68回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門正式出品
第63回サンセバスチャン国際映画祭 観客賞(ヨーロッパ映画)
第52回台湾金馬奨 オリジナル脚本賞・観客賞

監督・脚本:ジャ・ジャンクー
撮影:ユー・リクウァイ
音楽:半野喜弘
プロデューサー:市山尚三
製作:上海電影集団、Xstream Pictures、北京潤錦投資公司、MK Productions、ARTE、CNC、バンダイビジュアル、ビターズ・エンド、オフィス北野

出演:チャオ・タオ(『長江哀歌』『罪の手ざわり』)、チャン・イー(『黄金時代』『最愛の子』)、リャン・ジンドン(『プラットホーム』)、ドン・ズージェン、シルヴィア・チャン(『恋人たちの食卓』)
配給:ビターズ・エンド、オフィス北野
2015 年/中国=日本=フランス/125 分
原題:山河故人
英題:Mountains May Depart

山河ノスタルジア 公式サイト
▼映画『山河ノスタルジア』公式Twitter
@Jia_Zhangke
▼映画『山河ノスタルジア』公式Facebook
https://www.facebook.com/sanga.movie

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