『しんちゃん通信』映画作品ちょこっとレビュー第1回 "友情編"

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2017.10.5 UP

『しんちゃん通信』映画作品ちょこっとレビュー第1回 “友情編”

今年で25周年を迎えた「映画クレヨンしんちゃん」シリーズ！　本コーナー「ちょこっとレビュー」では、第1作目『映画クレヨンしんちゃんアクション仮面VSハイグレ魔王』から最新第25作目『映画クレヨンしんちゃん襲来!!宇宙人シリリ』までの作品の見どころや名シーンを『シリリ』にこめられた6つのテーマに沿って紹介。第1弾となる今回は、“友情”をテーマに4作品を紹介するゾ！
（文 / 大山くまお）

劇場版第25作
『クレヨンしんちゃん　襲来!!　宇宙人シリリ』

『襲来!!　宇宙人シリリ』は、野原一家が協力して苦難を乗り越えるファミリーロードムービーであり、しんのすけと宇宙人シリリが友情を育みながら旅をするバディムービーでもある。最初はまったく理解し合っていなかったしんのすけとシリリだが、さまざまな体験を経て徐々に信頼が生まれ、ついに“友だち”となる様子を見ていると、「友だちって“作る”ものじゃなく、“なる”ものなんだな」と改めて思い知らされる。

劇場版第12作
『クレヨンしんちゃん　嵐を呼ぶ！夕陽のカスカベボーイズ』

古びた映画館「カスカベ座」で遊んでいるうちに映画の西部劇の世界に迷い込んでしまった、かすかべ防衛隊の面々。子どもたちを探しに来た野原一家も西部劇の世界から出ることができなくなってしまう。しんのすけたちは春日部に戻るため、西部の街の支配者・ジャスティス一味に立ち向かう！　水島努監督による劇場版第12作。本作最大のポイントは、しんのすけ、風間くん、ネネちゃん、マサオくん、ボーちゃんのかすかべ防衛隊の友情と活躍にスポットを当てたところ。野原一家よりもかすかべ防衛隊が前面に打ち出されているのは、映画『クレヨンしんちゃん』シリーズで初めてのことだ。しんのすけが記憶をなくして西部の街の住人として暮らしていたかすかべ防衛隊の４人と友情を取り戻し、クライマックスではスーパーヒーローに変身してジャスティスロボと激闘を繰り広げる！

劇場版第21作
『クレヨンしんちゃん　バカうまっ！B級グルメサバイバル!!』

春日部で行われている「B級グルメカーニバル」を目指す、しんのすけとかすかべ防衛隊。なりゆきで謎の女性・しょうがの紅子から「伝説のソース」を預かったしんのすけたちだが、なぜか春日部の山中で迷子になってしまう。さらにB級グルメ撲滅を狙うA級グルメ機構の刺客たちから狙われて大ピンチに！　橋本昌和監督による劇場版第21作は、かすかべ防衛隊をメインに据えたご近所アドベンチャー。かすかべ防衛隊の強い絆は、空腹の前に崩壊寸前！　しんのすけたちがわずかな食べ物をめぐってバトルを繰り広げるシーンで思わず爆笑してしまうが、それも『クレヨンしんちゃん』らしさ。5人が力を合わせて空腹とピンチを乗り切り、みんな大好きなB級グルメを守り抜く！　悪役グルメッポーイとその両親の関係は、『襲来!!　宇宙人シリリ』のシリリと父親の関係に共通する部分もあるので、そのあたりもぜひチェックしてほしい。

劇場版第6作
『クレヨンしんちゃん　電撃！ブタのヒヅメ大作戦』

しんのすけとかすかべ防衛隊の面々が、謎の秘密結社・ブタのヒヅメにさらわれた！　必死にしんのすけの消息を追うひろしとみさえ、そしてしんのすけたちを守ろうと奮戦する国連直属の秘密組織・SMLのエージェント“お色気”と“筋肉”。ブタのヒヅメが狙うのは世界を巻き込んだサイバーテロ。はたして、しんのすけたちとSMLはブタのヒヅメの陰謀を阻止できるのか!? 原恵一監督による劇場版第6作は、ハリウッド超大作に負けないスケールのアクション巨編。冒頭からハードなアクションが連打されるが、シリーズ屈指の過酷な境遇に置かれたしんのすけとかすかべ防衛隊の友情は見どころの一つ。そして後半で描かれる、しんのすけと“親友”ぶりぶりざえもんの友情も物語の大きなカギを握る。2人のせつない別れのシーンは観る者の涙を誘うだろう。

劇場版第10作
『クレヨンしんちゃん　嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』

戦国時代にタイムスリップしてしまったしんのすけは、偶然、春日家の侍・井尻又兵衛の命を助けたことによって、春日城下の又兵衛の元へと預けられる。又兵衛は幼い頃から仕えていた廉姫と想いを寄せ合っていたが、身分違いの恋は実ることもなく……。そして、廉姫との政略結婚が破れた隣国の大名・高虎が大軍勢を率いて攻め込んできた。しんのすけを追ってやってきた野原一家も巻き込んで、ついに合戦の火ぶたが切られる！原恵一監督による記念すべき劇場版第10作は、徹底した文献調査と時代考証を重ね、戦国時代の合戦や生活を丁寧に描いた本格時代劇。文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞をはじめ、数多くの賞を受賞し、実写映画としてリメイクもされた。「生と死」が大きなテーマだが、しんのすけと又兵衛の時代と年齢を超えた友情も見どころの一つ。又兵衛がしんのすけを一人前の男として扱う「金打（きんちょう）」のシーンは印象的な名場面だ。