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高精細映像で蘇る幻の海外産ウルトラマン 〜ウルトラマンG & ウルトラマンパワード〜
文:氷川竜介(アニメ・特撮研究家)

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『ウルトラマンG(グレート)』と『ウルトラマンパワード』の初のBlu-ray化にあたり、当時の映像がいかにしてリマスターされたのか。知られざる画像調整の現場に、アニメ・特撮研究家の氷川竜介氏が訪問。HD誕生の裏側に隠されたプロフェッショナルのこだわりをレポートしていただきました!

円谷プロダクションと海外の合作、『ウルトラマンG(グレート)』と『ウルトラマンパワード』の2タイトルが、ついにBlu-ray化される。1990年代、日本の枠組みを大きく超えようとした挑戦であったものの永らく「幻の作品」であった。その分、膨大な手間をかけた最良の状態となって発売される。

90年代は過渡期で、作品ごとに映像原版の状態がまちまちである。かつてはフィルムが最終原版として標準化されていた。しかし80年代後半から放送局への納品形態がコスト的に優位なビデオ原版へ移行していった。一方、特撮は伝統的な技術の継承と質感へのこだわりから撮影はフィルムのままで、ビデオへ変換した後に電子的合成や編集などポストプロダクション作業に入るケースが増えた。その結果、撮影原版と完成原版が必ずしも一致しない作品が増えたのである。

SD画質ではこの差も目立たなかったが、HD時代の大画面では際だつ可能性がある。そこで今回のBlu-ray化に際し、イマジカの最新技術を適用して、原版の状況に最適な手法を選択しつつベストなリマスター作業が行われた。以下、その概要を解説していこう。

●ウルトラマンG

1990年から全13話でリリースされた作品。ビデオレンタル店が普及し、パッケージビジネスが急拡大する80年代末に企画され、全世界展開を見越して英語圏のオーストラリア(South Australian Film Corporation)での制作に挑んだ作品である。

制作は現地クルー主体で進められ、広大な地形や鮮烈な太陽光を活かしたオープン撮影を多用した臨場感あふれる映像が満載となっている。その上で手前奥を意識した構図の多用など、日本側から参加した初期ウルトラスタッフたちの意向も反映されている。

▲SDに比べHDではマスクの陰影が鮮明になり、エッジもはっきりとなった
※左がSD、右がHD

フィルムで撮影後にビデオへ変換し、ビデオ編集・コンポジット機材を活用して仕上げることで、プラズマボールの紫電を重ねる変身シーンなど、光学合成では至難なデリケートな合成も可能となった。グレートの造型は細やかな輝きを見せる特殊繊維が採用されていて、原版仕上げ時にはそんな質感も重視しつつ、ビデオ上で彩度・明度・色味など画質統一の調整が行われている。


▲ウルトラマングレート Blu-ray BOX・スペシャルPV!
HDリマスター映像を初公開!

毎秒24コマのフィルムから毎秒25フレームのPAL方式のビデオに変換され、その後毎秒30フレームのNTSC方式のビデオに変換を行った後にビデオエフェクトをかけた部分もあるため、「ビデオ原版」こそが最良と判断され、その精密な再現とHDへのアップコンバートが行われた。また当時の1インチテープ(アナログ)とD-2テープ(デジタル)の混在したビデオマスターからデジタルデータ化して作業が行われた。SDからHDへ単純に拡大するとジャギー(階段状のノイズ)が目立つため、ピクセルを複数に分割してから処理を行なう等、最良の状態になる処理が積みかさねられている。

▲全体の彩度が高くなり、車体のマーキングなどもクリアに判別できる
※左がSD、右がHD

●ウルトラマンパワード

1993年末から全13話がビデオリリースされた後、1995年と早い時期にテレビ放映もされた作品。『ウルトラマンG』の実績をもとに、娯楽映画の本場である米国ハリウッドのスタッフで初代『ウルトラマン』のリメイクを実現する企画である。バルタン星人からゼットンまでウルトラ怪獣の人気者をディテールアップしたデザインは、後に『平成ガメラシリーズ』や『シン・ゴジラ』を担当する前田真宏によるもの。日本側スタッフとして樋口真嗣、三池敏夫が渡米するなど、後の特撮に対する大いなる原点となった作品である。

▲HD版ではケムラーの背中を覆う外装裏の模様がより細部まで映し出されている
※左がSD、右がHD

本作の場合は、映画の伝統を重視するハリウッドらしく、35ミリフィルムで撮影された後にネガ原版が組まれ、納品されていた。そのため1コマずつ最新設備でネガテレシネを行うことが可能となり、そのデジタルデータから新たにBlu-ray用原版が作成された。35ミリは劇場用の高密度であり、ハリウッドはロサンゼルス郊外を中心としたオープン環境の強い陽光を目的に選ばれたという歴史のある場所のため、他作に類をみない鮮烈でパワフルな映像が、隅々までHD環境で再現されることとなった。

▲登場人物のシルエットが浮き立ったことで室内の奥行きも強調された画面に
※左がSD、右がHD

フィルム上の画角は広めに取られていることも判明したが、過去の商品を参考にフレームを決めている。エフェクト、合成はビデオ処理だが、あくまでフィルム主体で考えられていたことも分かった。第1話のみダミーだったためビデオ原版からのアップコンで差し替えているが、以後は制作当時にキネコ(ビデオからフィルムへの変換)で35ミリフィルムを作成して原版に組み込んである。その結果、Blu-rayへの収録も24Pとすることが可能となり、さらなる高画質が実現した。


▲ウルトラマンパワード Blu-ray BOX・スペシャルPV!
HDリマスター映像を初公開!

本作のウルトラマン、怪獣の質感も他とは異なる独特のアメリカンテイストであるが、今回のBlu-ray化はその感覚もビビッドに伝わってくる。なお国際版として制作された英語バージョン(日本語字幕付)は今回が初のリリース。効果音、音楽の違いやオリジナル役者の声など、音の面でも楽しめるパッケージとなっている。

PROFILE

氷川竜介(ひかわりゅうすけ)
1958年、兵庫県生まれ。特撮・アニメ研究家。「ウルトラマンシリーズ」のBlu-ray解説書の構成・執筆、書籍「ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ」のメイン・インタビューアーを担当。

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