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実力派アニメスタジオ「WHITE FOX」初のオリジナル作品『装神少女まとい』迫井政行監督インタビュー全文掲載

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これまで『刀語』や『Re:ゼロから始める異世界生活』など、大ヒット作のアニメ制作を請け負ってきた実力派アニメスタジオ「WHITE FOX」が生み出す初のオリジナルアニメは“和風魔法少女”もの! 監督に『天体のメソッド』の迫井政行、シリーズ構成・脚本に『ガンダムビルドファイターズ』シリーズなどで知られる黒田洋介が加わった新感覚ジャンル×気鋭のスタッフで贈る『装神少女まとい』が、いよいよ2016年10月4日よりTOKYO MX他にて放送スタート。そこで今回は、大役を担った迫井政行監督に、本作誕生のきっかけから見どころまで伺った。

観ていて明るく楽しめる、前向きな作品にしたい

──作品誕生のきっかけを教えてください。

迫井 本作のプロデューサーを担当されている、インフィニットの永谷さんから「WHITE FOXで初のオリジナル作品をやるので監督をやってもらえないか」とオファーをいただきました。「何かやりたいことがあったら、ぜひ」というお話だったので、ビジュアルなども含めて考えて、アイディアをご提案させていただきました。

──監督が提案されたアイディアはどのようなものだったのですか?

迫井 最初は、物に宿っている人の思念を読み取れる少女が、いろんな事件を解決していくようなミステリー・タッチというか、ちょっと神秘的なものでした。そういったジャンルの作品が好きで、いつかはチャレンジしてみたいという思いがあったので。

──ストーリーを作るにあたって、シリーズ構成の黒田洋介さんとはどんな作品にしようと話しましたか?

迫井 先ほど言ったような、僕がイメージしていたミステリー的なストーリーは、エンターテイメントとしては伝わりづらいかも、と感じていました。そのうえで、自分自身もやりたいことなどを考えていった時に、もっと明るくて観ていて楽しめる作品にしたい、と思うようになったんです。それらを踏まえて、黒田さんとは「本当に前向きな作品にしたいね」って話しました。

──魔法少女アニメを制作しようという提案は監督から?

迫井 僕が提出したアイデアがベースになっています。いわゆる“変身もの”という作品って、いろいろあると思うんですよ。魔法少女に限らず、戦隊ヒーローなんかもそうですよね。「変身」という要素に対して、「なぜそういう風に変身するの?」って部分を、もうちょっとリアルに、というか突き詰めて表現できると面白いかな、と考えていたんです。なおかつ、人によっていろいろ見方や姿形が自在に変化するという“神様”を纏ったら、その人物が変身するっていうアイディアは面白いかなって。それがいろいろブラッシュアップされた結果が、魔法少女という本作のコンセプトとなりました。

──オリジナル作品の制作に対する難しさはありますか?

迫井 原作ありきのタイトルならば、「こういうことがやりたい」という部分や作品が持つテーマ性などが、すでに明示されていますよね。完全オリジナルストーリーの場合は、そういった部分を最初に提示するのは難しいんです。作品を作っているうちに「ああ、こうことだったのか」という風に、少しずつ明確になっていくんです。今回、原作というベースがないところからスタートしましたので、黒田さんの力がすごく大きかったです。自分が抱くイメージを各セクションの皆さんに伝えるという作業が本当に難しかったです。

変身というコンセプトに真摯に向き合うことが鍵

──ヒロイン・まといのモチーフは何ですか?

迫井 まといの変身後の衣装は、太陽を象徴する赤と、巫女をイメージさせる純白の聖なる力ということで、赤と白にしました。

やはり、魔法少女ものの主人公のカラーリングはピンクと赤なんですね(笑)。

迫井 結果的にそうなってしまったところはありますね(笑)。

──主人公を3人の女の子にした理由は何ですか?

迫井 神様を纏って変身するという「和風魔法少女」というコンセプトの原点をたどっていくと、巫女という存在に行き着いたんです。なので、少女を主人公にしました。3人という人数は、1クールのお話のなかでちゃんと描ける人数だから、という理由ですね。

──魔法少女ファンに対してどういったアプローチの仕方を考えていますか?

迫井 ヒロインたちが着ている服が神様への貢ぎ物のような扱いになり、そこに神様が宿ることで彼女たちは変身するんですが、それが解除されると裸になってしまうという設定になっています。これは制作スタッフの方が出されたアイディアなのですが、それを聞いた時に〝変身〟というコンセプトと真面目に向き合ってみたいという、僕の望みと繋がる部分があると感じました。ヒロインたちが魔法少女になったことで受ける、リアルな部分での弊害などを面白おかしく描けたら、きっと楽しい作品になるだろうし、そこから生まれる悩みなどもドラマとして描ける。魔法少女たちの活躍を、より日常と密着した形で描けたら、今までにない魔法少女アニメをお見せできるんじゃないか、という気持ちでさまざまなチャレンジをしています。

─等身大の少女たち、といったキャラクター同士の会話なども、リアルな描写を補強する部分なのでしょうか。

迫井 そうですね。心情をちゃんと真面目に描くと、キャラクターを取り巻く環境にもリアルさが必要かなって思っていたので、誤魔化す部分は誤魔化すけど、そういう描くうえで必要な部分というのは、周りも含めて、ちゃんとリアルに描いて、よりまといたちの悩みやドラマにリアリティを出したいというのはあります。

キーワードは“タイカツ”…子供も楽しめる作品に!

──本作が目指している目標は何かありますか? たとえば、女子小学生の間でブームにしたい…などなど。

迫井 魔法少女というくくりで観ていただいても構わないとは思ってはいるんですけど、ただ、それだけでは終わらない、新しい見せ方ができればいいなと思っています。女の子が3人出てて、もちろん可愛い日常シーンもあって、楽しいんだけど、ちゃんと骨太なドラマも描いていて…。そういった、ひとつの作品として魔法少女というくくりを超えた、新しいジャンルをこの作品で築くことができたらいいな、と思います。

──『装神少女まとい』で描くテーマとしてこだわった部分を教えてください。

迫井 作品のひとつの軸として、ヒロインのまといと、その父親の伸吾、そして今は消息不明のお母さんとの家族の絆みたいなものも描きたいと言うのはありますね。我が家にも小学生の娘がいますし、黒田さんにも娘さんがいらっしゃるので、その辺で自分たちに重なる部分も含めて、どうやって娘に接していけばいいのかっていう部分は探りながらリアルな表現ができるのかなって思っています(笑)。

──娘さんに観せたいというお気持ちは?

迫井 野望としてはあります(笑)。娘が観て「面白い」って食いついてくれると、本当は嬉しいです(笑)

──監督ご自身、魔法少女に思い入れがあれば教えてください。

迫井 どちらかというと、魔法少女よりも、戦隊ヒーローものにのめり込んだ方で(笑)。なので、戦隊ヒーロー的なことを女の子のキャラクターで描けるといいな、という気持ちが今回もあるんです。「可愛いけれど戦っている時はカッコイイ女の子」みたいな、そういうギャップみたいなものも描ける作品かなと思っています。

──バトルシーンも描かれるのでしょうか?

迫井 そうですね。毎話バトルがあると思うので、そこは見どころになるといいなと思っています。作るのは大変なんですけど(笑)、頑張りたいところではあります。

──本作で監督が特に力を入れている、思いを込めている部分はバトルシーンですか?

迫井 バトルシーンもそうですし、日常のコミカルな部分やヒロインたちの周りの大人といったサブキャラクターたちのドラマもシナリオも含めて描いている、その辺を楽しんでもらえるといいなっていうのがありますね。もちろん、バトルや変身シーンも見どころですね。あと、異次元に行って戦ったり、神様が顕現するイメージも今までなかったような表現にチャレンジしているので、視聴者の皆さんに「面白い」と思っていただければいいなという気持ちで制作しております。

────魔法少女ものというだけでなく、少女たちの日常コメディ、大人たちのクライムサスペンスというように、さまざまな要素が盛り込まれているので、一度見ただけでは作品の奥深さを味わい尽くせない作りになっていると思いますが、そこは意識して作られているのでしょうか?

迫井 そうですね。最初から見直した時に新たな発見ができるという作りにはしたいな、というのが毎回の課題というか、何度観ても面白い部分が出てくるように細部にまでこだわって作っています。いろんな部分に遊びが入れられる作品かな、と思っていますので、そういうところも楽しんでいただけると思います。

──最後に読者にメッセージをお願いします。

迫井 今回、制作を担当されているWHITE FOXさんの、やる気のあるスタッフたちが一丸となって鋭意制作しているところです。皆さんに楽しんでいただける作品を目指していますので、ぜひご覧になっていただきたいなと思います。

の付いたインタビューはV-STORAGE online限定の記事です。

PROFILE

迫井政行(さこいまさゆき)
鹿児島県出身。監督作品に『天体のメソッド』(14)、『NEEDLESS』(09)、『仮面のメイドガイ』(08)などがある。


<放送情報>
■TOKYO MX:2016年10月4日より毎週火曜23時〜
■サンテレビ:2016年10月4日より毎週火曜24時〜
■KBS京都:2016年10月4日より毎週火曜24時〜
■BS11:2016年10月5日より毎週水曜24時30分〜
※放送日時は変更になる場合がございます。

装神少女まとい 公式サイト

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