インタビュー | 仮面ライダーJ

雨宮慶太監督による劇場作品『仮面ライダーJ』野村佑香キャストインタビュー

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大ヒット作品『牙狼<GARO>』シリーズでお馴染みの雨宮慶太が描く脅威のVFXとハードな世界観でコアな人気を誇るOV作品『真・仮面ライダー/序章』をはじめ、監督を務めた劇場作品『仮面ライダーZO』『仮面ライダーJ』がHDリマスターでファン待望のBlu-ray BOX化!12月24日に発売されます。 そこで今回は、『仮面ライダーJ』に子役として出演し木村加那役を演じられた女優・野村佑香さんを直撃。雨宮慶太監督の印象や監督とのマル秘エピソードなど、当時の撮影秘話や思い出話に花が咲いたインタビューの模様をお届けします。

緊張することなく参加できた人気シリーズ

──本格的な物語への出演は『仮面ライダーJ』ですね。

野村佑香(以下、野村) それまでコマーシャルなどには出させてもらっていたんですけど、ドラマ仕立ての長編、しかも映画という形も初めてでした。そもそも芝居をすること自体が初めてでしたね。

──出演が決まった時はいかがでしたか?

野村 初めてが映画だったということでとても嬉しかったですね。台本に(自分の)名前が書いてあるっていうことから何もかもが初めてづくしで。今でもいろんな場面の撮影や、スタジオの隅で遊んでいたことなど、結構覚えています。やっぱり自分にとってはすごく新鮮で、刺激的な現場だったんだなと改めて思いますね。

──出演以前、「仮面ライダー」シリーズは観られていましたか?

野村 もちろん「仮面ライダー」というタイトルは知っていましたが、私が姉で、妹がいるんですが、やっぱり男の子の番組なのであんまり観ていなかったですね。

──では「仮面ライダー」シリーズに参加するという特別感は?

野村 初めての映画出演という緊張はあっても、「仮面ライダー」シリーズだからという緊張はあまりなかった気がします。その分、変に気負わなくて済んだというのは良かったんじゃないのかな。仮面ライダーが好きだったら逆に出演することがプレッシャーになっていたと思います。子どもだったし緊張で手も足も動かなかったら現場がストップしてしまいますからね。でも、今でもファンの方々に「仮面ライダーに出てたね」とか「観てたよ『仮面ライダーJ』」って言われたりするんです。その度に、本当に「仮面ライダー」シリーズって愛されているんだなって。もう21年も前ですけど、出演させてもらえて本当によかったなと思います。

──特にJは「巨大化するライダー」のインパクトが大きかったですしね。

野村 さすがの私も当時、ユニークだなって思っていました。「仮面ライダーが大きくなるんだ!?」って驚きましたね(笑)。

刺激と興奮が満載の特撮撮影現場の日々

──雨宮監督との印象的なエピソードはありますか?

野村 (主演の)望月さんと2人、夜の川原での撮影で、敵の宇宙船(機械獣母艦フォッグ・マザー)が空を移動するのを見上げるシーンだったんですけど、驚く演技をしなくてはならなくて。だけど驚いて口を空けていると息が白く映るので(監督に)「息を止めてください」と細かく指示していただいたことがとても印象的でした。「驚く演技というのも、顔だけじゃなくて肩も動かすと驚いているように見えるんだよ」とか、そういう細かい指示で、わかりやすく教えていただいてもらいました。

──宇宙船を合成で入れるのが当時はピンっとこなかったのでは?

野村 そうですね。何かがそこを通るっていうことだけはわかりましたけど。後から映像を見て「これが通っていたんだ」っていう感じでしたね。

──雨宮監督の印象はいかがでしたか?

野村 凄く物静かな印象があって、スタッフの人たちにも声を荒らげているイメージはなくて、相談とかを素早くしながら現場が進んでいるイメージがありましたね。あとはスタッフ用のスウェット・シャツに描かれたイラストかな。

──といいますと?

野村 現場の方々が着ていたんです。正面に監督が描かれた怪人のイラストがプリントされていて。敵の怪物すらも美しいなって思うようなビジュアルだったんです。蜂の形の女の人(ハチ女ズー)が黒地のスウェット・シャツに銀色で描かれていて、それが凄く格好良くて、子どもながら「敵なのにこんなに格好いいんだ」って思っていました。みんなで「これ監督が描いたやつなんだよ」「カッコイイね〜」 みたいなことを話してましたね。サイズもいろいろあって、私は家で着ていました。

──本作での思い出になっている撮影はありますか?

野村 やっぱりワイヤーアクションですね。初めてでしたから。崖にそって敵に連れ去られるシーンなんですけど、「(こういう撮影は)こうなってるんだ…!」みたいに感じたことをすごく覚えています。確か何度かリハーサルをしていたと思うんです。けど、私、子どもの頃から遊園地のアトラクションにあるバイキング船みたいな、胃が浮くような感覚が凄く苦手で、「これ(ワイヤーアクション)はどうなんだろう…」って不安だったんですけど、実際にカメラの前で連れ去られている時は全然大丈夫でした(笑)。崖沿いだったので吊られていた位置は結構な高さだったと思うんですけど、何故か平気でしたね。さらわれるシーンは安心しながらさらわれています(笑)。

──特撮セットはいかができたか?

野村 本当に新鮮でしたね。小さい頃は言葉で説明できたわけではないんですけど、雨宮監督の世界観というか。凄く不思議な遊び場に来たっていう感じがありました。細部がとても凝っている凄いアトラクションだったというか。大人の目線と子どもの目線って違うじゃないですか。だから「どういう風にできてるんだろう?」「どういう風に大人の人たちはこれを動かすんだろう?」ってとにかく興味深かったですね。あとスモーク。よく覚えているのが言葉を話す大きなバッタ・ベリーが、呪いをかけられた私を助けに来てくれるんですけど、敵に攻撃されて死にそうになるんです。その時にカタカタって音を立ててバッタから煙が出るんですけど「この煙は身体に良くないからねー」ってスタッフの方に言われて。私はてっきり「吸ったら死ぬんだ」と思って、しばらく息を止めていたんですけど我慢できなくなって、どうにか煙の混じってない空気を吸えないかと焦って。そしたらスタッフの方に「そこまではやらなくていいよ」って言われて(笑)。

初出演作でモデルから女優業へ開眼

──3歳からのモデルの世界と本格的な演技の世界。発見はありましたか?

野村 いろんな現場があって、その場その場でいろいろなものを求められるというのはモデルでも『仮面ライダーJ』の現場でも同じでした。瞬時に対応しなきゃいけないっていうところは、モデル業での経験が活かせたとは思うんですけど、それ以外はやっぱり違いましたね。止まった瞬間に服を見せるのと、叫び続けたりするのは別ですから。『仮面ライダーJ』の後半なんて「お兄ちゃん!」とか「キャー!」の連続でしたし(笑)。ただ、自分の持続力や体力、飽きずにずっと出来たことは発見かもしれません。この作品を撮り終えられたというのは自分の中で自信になったんじゃないかなと思います。最初から女優になりたくてモデルになったわけじゃなかったですけど、この作品への出演が楽しかったから女優という職業を考える大きなきっかけになったんじゃないかなと思います。

──ドラマ、映画を作るという業界自体の違いも感じましたか?

野村 (モデル業界とは)雰囲気が全然違いますよね。(映画業界は)職人さんの集まりみたいに感じていましたね。大人の男の人たちが凄く熱心にやっている姿。ファッションモデルの現場だと女性の方が多かったりするので、そこの違いは感じました。10歳ながらに映画業界の職人肌なところを感じたりしましたね。監督ももちろんそうですけど、カメラマンさんも演技の指導をしてくださったりとか。みんなが真剣に一つのものを作っているという空気を感じながら演じていました。

──TVと違って劇場作品でしたからね。

野村 しかも今考えたら、あれをフィルムで撮っていたのかと思うと本当にびっくりします。ワイヤーアクションとかも多かったのに、(やり直しのきかない)フィルムだったのかって。本当に贅沢な現場だったんだなと思います。

──今回、改めて作品を観られて本作のテーマはいかがでしたか?

野村 今でもずっと続いている問題を描かれていたんだなと、改めて観てよく分かりましたね。撮影当時は、私の演じたヒロインの役割も「亡くなってしまった動物のためにお墓を立てる優しい子」くらいにしか思っていなかったんですけど、地球のこと、環境のこと、その他今でも続くような社会的な問題を象徴していたんですよね。こういう深いテーマを持った作品に出られて本当に恵まれているなと改めて思いました。

──この作品に出演したことはどんなプラスになりましたか?

野村 演技そのものが初めてだったことに加えて、ワイヤーアクションで掴んでぶら下がるとか、どんなことにもトライできたことは良かったと思います。演技に対して「何が来ても大丈夫」って感じになれたというか。野山で転がったりもしましたけど、それが役だし、芝居なんだっていう感じで、汚いとか怖いとかそういうことよりも「みんなでひとつの作品を作り上げるんだ」っていうことをすごく教わった気がします。それが初めての出演作品だったということは大きかったですね。

──あえて当時の自分にアドバイスするとしたら?

野村 元々芝居のレッスンもしたことなかったのに「思ったより芝居できてるじゃん。頑張ったじゃん」って(笑)。細かく色々言ってあげたいことはありますけど「デビュー作品としては頑張ったじゃんて。よかったね、みんなに支えてもらって」って言いたいですね。

──ファンにメッセージを。

野村 待ちに待ったBlu-ray。今も皆さんの心に『真・仮面ライダー/序章』『仮面ライダーZO』『仮面ライダーJ』がいると思います。年末年始は、より新しくなった映像を大画面で楽しんでいただけたらと思います。

PROFILE

野村佑香(のむらゆうか)
1984年3月20日生まれ。3歳でモデルデビュー。10歳で『仮面ライダーJ』(94)にて映画初出演。以降『パパサヴァイバル』(95)『木曜の怪談 怪奇倶楽部』(95)などのドラマで活躍。現在もBS TBS「僕たちは昭和を生きた」、フジテレビ「みんなのニュース」うちのパパママコーナーに出演中。

<Blu-ray BOX発売情報>
仮面ライダー:真・ZO・J Blu-ray BOX
2015年12月24日発売
¥15,000(税抜)
「仮面ライダー:真・ZO・J Blu-ray BOX」新作レビュー

写真/原地達浩

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