インタビュー | コメット・ルシファー

10月放送新番『コメット・ルシファー』菊地康仁監督インタビュー

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アニメスタジオ・エイトビット初のオリジナル作品として大きな注目を集めるボーイミーツガールのSF冒険譚『コメット・ルシファー』が、いよいよ10月より放送スタートする。“メカと美少女のスペシャリスト”と称される菊地康仁監督が紡ぎ出す新たな物語。先の展開がわからないオリジナル作品として、楽しんでもらうための“こだわり”が詰まっていると語る。

時代に合わせたボーイミーツガール作品

──本作の発想はどこから?

菊地康仁(以下、菊地) まず初めに、種の営みと星の関わりから話が作れないかな?というところからスタートしています。じゃあ星は何で出来ているんだろうと考えて、石、鉱石で出来ているなと。じゃあ異世界の鉱石“ギフトジウム”を掘っている人に焦点をあてるのはどうか、という風に、大きい発想から、どんどん連想していきました。

──本作のヒロイン・フェリアは謎を多く抱えて登場しますよね。

菊地 フェリアは記憶喪失がゆえに無邪気でピュアな存在として出てきて、人と関わって知識が増えていきます。そんな彼女との出会いと、主人公たちと成長する姿をしっかりと描きたいなと。初めは親だったのが、同級生みたいな感じになって、主人公たちに心の移り変わりをみせなきゃなって。普通の人だったら年数をかけて変わっていくわけですけど、フェリアはひと月とか、短い期間でどんどん変わっていく。それに戸惑う主人公たちも面白いんじゃないかなと(笑)。

──キャラクターたちの動向が楽しみですね。

菊地 そうですね。基本テーマはSF冒険活劇なので、ボーイミーツガールの要素がふんだんにありますから。フェリアと、主人公のソウゴ・アマギたちが触れ合って、どんどん成長していく過程を楽しんでもらいたいです。

──では、キャラクターデザイン・総作画監督に高橋裕一さんを起用された決め手とは?

菊地 高橋くんはライトで爽やかなイメージを受けたんです。あまり構えないでも、スッと自然に入ってくる感じですね。だから、フェリアみたいなピュアなキャラクターを描くのにピッタリだと思ったんですよ。特に本作はキャラクターを重点的に描いているので、アクションも多く、よく動く作画になっていますし、ライトなタッチが向いているかなと。

──ソウゴ・アマギ役に小林裕介さん、フェリア役に大橋彩香さんを起用されたのは?

菊地 高橋くんの作画タッチと同じで、ライトな方がいいなと。前にガンガン出るタイプより、ふわっとして、それでいて存在感がある人っていうのが基準でした。後は冒険ものなので「フェリアーーー!」とかって叫べないといけないので、そこも基準にしました(笑)。

──監督が生み出すのに一番苦労したキャラクターは?

菊地 しっかり話し込んで決めたのは、カオン・ランチェスターや、ロマン・ヴァロフとかですね。それでも何か足りないと思っていた時に「あ、馬鹿な奴が足りない」と。そこに辿り着くのに一番苦労したかも(笑)。

──馬鹿な奴が(笑)。

菊地 みんな真面目なキャラなんですよ。じゃあ馬鹿なことを言う小さいやつ付けようか、という軽い感じで、モウラ(モ・リティカ・ツェツェス・ウラ)が出来たんです。コメディリリーフの役割を果たしてくれます。やっぱりユーモアが欲しいですよね。見ていて楽しい作品にしたいので。

──作品のテイストとしては、ユーモアな部分が結構盛り込まれるんでしょうか?

菊地 基本はそうですね。彼らの会話はコメディ的な勘違いだったりして、みんながハチャメチャなことをしていくんだけど、その最中に周りのごたごたに巻き込まれて…お約束ではありますけど、それをどうやって楽しくみせていこうかなと考えています。


先読みできないわくわく感を大事に

──異世界、惑星“ギフト”のビジュアルを作るうえで、基調になったものはありますか?

菊地 ギフトジウムを掘っている世界の参考にするために長崎に取材に行きました。元々ダイヤモンド鉱山みたいな“ギフトジウム鉱山”があって、そこが採取しつくされ、ぽっかりあいた場所を再利用するために街を作った感じにしたかったんです。そのモデルに長崎がぴったりだったんです。石切り場や、銅山とかも行きましたね。長崎みたいな市街地を作っていこう、という感じで。設定を多く作ったほうが面白いと思ったので、誰かが一言アイディアを言ったら、みんなで膨らませるっていう作り方をしています。想像以上の設定がたくさん積み重なっているので、見ているお客さんにも常にワクワクしてもらえると思います。

──そう考えると、画面の隅々まで伏線が散らばっている可能性があるということですか?

菊地 そうですね。初めはただの風景として現われるんですが、それにはこういう理屈があって~っていうのが伏線らしくなるように構成していますし、見返すことで発見できるような作りにもなっています。

──MVの制作もされていましたが、そこにも監督の意向が反映されているんでしょうか?

菊地 シリーズ構成の、大体この辺りでこんな流れがありますので、物語の進展に合わせてイメージを汲み取ってね、ということをMV制作スタッフに伝えて制作してもらっています。本編だけでなく今後公開されていくMVも見ることで、本作の世界観を広げていただけると思います。

──では最後になりますが、放送間近の本作について、見どころを教えてください。

菊地 まず、1話はちょっと固めに作っています。ただ、冒険ものと思わせつつ、ボーイミーツガールもので、しかも実は怪物もので…と、僕の好きな“ごった煮”感を出して(笑)。なんだこれって思わせたところで、2話は女の子が可愛い日常ものになったりとか。色んなテイストを取り込むことで、全編通して見たときの満喫感も満腹感もいっぱいになるようにしています。オリジナル作品の良さって、一切の先読みが出来ない部分にありますので、常にわくわくしてもらえると嬉しいです。

『コメット・ルシファー』
■TOKYO MX/10月4日より毎週日曜 22:30〜
■KBS京都/10月4日より毎週日曜 23:00〜
■サンテレビ/10月6日より毎週火曜 24:00~
■BS11/10月6日より毎週火曜 24:00〜
■AT-X/10月11日より毎週日曜 17:00~
■バンダイチャンネルほかにて/10月4日より毎週日曜 22:30~ ※第1話は常時無料

コメット・ルシファー 公式サイト

PROFILE

菊地康仁(きくちやすひと)
1964年、青森県生まれ。アニメーション制作会社エイトビットに所属するアニメーター、アニメーション監督。近年はメカと美少女の出る作品を手掛けることが多く、『マクロスF』(08)や『IS〈インフィニット・ストラトス〉』(11)、『武装神姫』(12)など、人気作の監督を務めた。

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